アリス・イン・ワンダーランド ドジスン先生と非実在少女
というわけでティム・バートンの最新作「アリス・イン・ワンダーランド」を観てきた。「シャッター・アイランド」に続いて頭のおかしい人がたくさん出てくる映画だぜ!
IMAX3Dにて鑑賞。予告編は「アイアンマン2」「トイ・ストーリー3」そして!!・・・まさかの「トロン」!リメイクか続編か、満を持しての登場だ。
3D映画は過去にも何度か観ていて日常からメガネ装着者にはメガネ・オン・メガネは少し辛いとか、字幕だと字幕が飛び出て見えるとか色々問題点はあったけど今回も新発見。今回はレイトショウで観たのだがさすがに少し疲れて首をかしげると3D映像が二重になってしまう。快適な3Dになるにはまだまだ時間がかかりそうだ。
ふしぎの国のアリス
今回の作品はルイス・キャロル(以下ドジスン先生)の「ふしぎの国のアリス」「鏡の国のアリス」のその後という設定。
アリスは19歳になりどうやら結婚することを求められている。逃げ出したアリスは再びふしぎの国「アンダーワールド」に迷い込む。ところがアリスは以前に来たときのことを忘れており「アンダーワールド」の住人もすっかり成長したアリスを別人と思ってしまう。帽子屋「マッド・ハッター」だけはアリスを本物と認めてくれる。彼が話すところによると現在「アンダーワールド」は赤の女王の恐怖政治に支配されている。アリスこそがヴォーパルの剣を手にし赤の女王の切り札ジャバウォッキーを退治する救世主だというのだが・・・
ドジスン先生の原作は一説によると「聖書」の次に発行部数を誇るらしい大ベストセラー。ドジスン先生の本職は数学者で言葉遊びやパズルが得意だった。で、現在ではいわゆるロリコンの元祖としても有名で「ふしぎの国のアリス」のモデルにもなったアリス・リデルの写真なんかをたくさん撮っている。有名なのは下記の「乞食の仮装をするアリス」だが、
この辺は、まだ序の口で(アリス・リデルその他の)少女写真がたくさんあったらしいのだが、死後遺族によってさすがにまずいと感じたのか処分されてしまったそうだ。ただドジスン先生の名誉のために言っておくと彼は一線を越えたことはない。
今回の映画版では19歳のアリスという設定になっているのでいわゆるロリコン要素はほとんどない。また、原作にあった言葉遊びの要素もほとんどなく、ただキャラクターのおかしさを利用しているだけのように感じる。
またストーリー上、正義の白の女王と邪悪な赤の女王(二人は姉妹)の対決、という体裁をとっているので物語がきちんと整っていて原作の混沌とした感じはない。
ティム・バートン
少し思い出話をば。
監督のティム・バートンはタランティーノと並んで文字通り僕の人生を変えた人物だ。最初の遭遇は1989年の「バットマン」。バットマン自体は先にアニメか何かでおおよその設定は知っていたが衝撃を受けた。不遜を承知で言えば
「本来僕が作るべき作品を先に作られてしまった」
という感じだ。その後バートン作品とバットマンはそれぞれ別々に好きな分野となるが「バットマン・リターンズ」で僕のバートンに対する心酔は頂点に達する。バットマン作品としては「ダークナイト」の方が上だと思うし物語は破綻しまくっててはちゃめちゃだが心の締め付けられる作品としてはあれ以上の物はないと思う。文句なしに僕のオールタイムナンバー1作品だ*1。
ずっと追いかけてきたバートンだが個人的に「シザーハンズ」「バットマン・リターンズ」「ナイトメアー・ビフォア・クリスマス(これの監督は「コラライン」のヘンリー・セレック)」のクリスマス3部作(今名づけた)が最高傑作だと思う。僕もそうだが一時バートンファンは「バートンが不幸になれば傑作が作られる」と思っててリサ・マリーと別れたときは喝采したものだがすぐその後ヘレナ・ボナム・カーターと一緒になって少し残念に思ったものだ。現在はバートンとカーターの間には子供もいるのでさすがにそんなことは思わないが90年代に比べると作品のパワーはダウンしているように思う。
とはいえ、セットデザインなどはバートン印満載で基本的にはそれだけで満足なのは惚れた弱みという奴か。
ジョニー・デップその他
本作はバートンとジョニー・デップのコラボ7作目。「ダークナイト」の続編でリドラーをやるとも噂されてるデップだがどうせならそのままマッド・ハッター役で出れば面白いのにね。
見所はやはり赤の女王のヘレナ・ボナム・カーター。現在のバートンのパートナーで「猿の惑星」以来、バートン作品の常連になっている。頭がでかく口癖のように臣下の首をはねる。元々ブラナー版「フランケンシュタイン」とかに出てた人なので本質的にバートンと気が合うんだと思う。
これまでバートン作品に出たことがなかったのが不思議なくらいはまっているのは「バック・トゥ・ザ・フューチャー」のお父さんで有名なクリスピン・グローバー。赤の女王の右腕として執拗にアリスやマッド・ハッターを追い詰める。少し前ならマイケル・ウィンコットあたりが演じてた役かなあ。この人全然歳をとった感じがなくいつまでも若い。この人も根っからのオタクらしいし実は今回一番儲け役だったと思うので次からは常連になって欲しい。
そのほかマイケル・ガフやアラン・リックマン、クリストファー・リー御大など常連さんたちも声で出演している。
ダニー・エルフマン
一時期喧嘩別れしていた時の「エド・ウッド」とミュージカルの舞台を映画化した「スウィーニー・トッド フリート街の悪魔の理髪師」以外の全ての作品*2で音楽を担当したダニー・エルフマンが今作も担当。
エルフマンは初期の頃はテーマ曲も分かり安い「ダークなジョン・ウィリアムス」という感じだったが最近は音楽が映画に溶け込んでいるジェリー・ゴールドスミスのような領域になっているような気がする。どっちが良い悪いではないが昔ほど耳に残らない。ちなみに主題歌はアブリル・ラヴィーン。
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バートン作品としては決して傑作とはいえないと思う(愛するティム・バートン作品だけに逆に通常より厳しい目で見てしまう)がもちろん及第点以上の作品。ただ、ジョニー・デップとの作品も少し食傷気味なのでそろそろ次は違う俳優主演の映画を観たいところではある。