大洋丸文献探索＞東京朝日新聞記事要約＞ロス大会へ大洋丸出航

○オリンピックへの行進！第二部隊の出征、希望に輝く選手達、国民的熱情で
見送る群集、思い同じく、ただロサンゼルスに掲揚する日章旗と君が代である。
その決心に燃える多勢の女流選手と、拳闘、レスリング、端艇、水球の勇士達、
それに役員併せて百四名をのせて、ニッポン晴の６月３０日、大洋丸は解らん
した。（「東京朝日新聞１９５８７」１９３２.７.１ｅ ｐ１）
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○サイン・写真・挨拶などと目を廻しているうちに、ドラが鳴り渡り、
荘厳なる君が代・オリムピック応援歌・校歌に送られ、大洋丸は横浜埠頭を離岸。
選手達の船上生活が始まった。信州の山国に育ち、海は数えるほどしか見た事の
無かった私は、荒れ狂う波ばかりを想像して、どんなに恐ろしかろうと、
心配していたが、そんな心配はいらなかった。海は来る日も来る日も、風も無く、
波も無く、静かだった。時々飛魚が銀色の腹を見せ、紺碧の海面をつーと飛んだり、
沖にポッカリと、イルカが浮き出る事も、アホー鳥が船を追って来る日もあった。
（「第十回オリムピック大会報告」三省堂１９３４ ｐ２４７ 真保正子）
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○女子水泳の前畑孃達は、まだ水をいれない空のプールの周りに集まって
「泳ぎたいわ泳ぎたいわ」と歓声をあげたが、女子陸上のグループにピンポンの
試合を申込み、Ｂデッキで対抗競技が始まる。
（「東京朝日新聞　１６５８７」１９３２.７.７ｄ　ｐ１１）
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○７月１日、波は昨日よりもあり、船は大分動揺しているので、気に弱い選手は、
今にも船に酔うのではないかと心配し始めた。鉄棒上の試技は、船の動揺で恐らく
一番難しく、鞍馬が一番平易に出来るであろうと考えていたが、全く正反対で、
コーチもいささか面食らった。こんな動揺する船の上で練習すると、陸上で具合が
悪くなるから、よい加減にした方がよいなどど横着な意見もでた。
（「アスレチックス　１０.９」 大日本体育協会　１９３２　ｐ１３７ 高木武夫）
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○東京で規則正しい合宿練習を終え、皆さんの御見送りを受けて大洋丸に乗り
込みました。船に不慣れな私は、この永い航海を何よりも心配しました。
そして刻々と船が故国を離れる時、必勝を胸におさめた私は、一層その思いの
切なるものを覚えました。故国でのコンディションを船中で、彼地で保持せねば
ならぬのが第一条件でしたので、船中では高田通先生、山岡先生が私共の身の上を
非常に心配され、ある時は練習に、ある時は遊戯に談話に、絶えず御指導下さい
ました。船に酔う心配をした私でしたが、甲板で競争や遊戯をしたり、器械馬に
乗って遊んだりして、なんとか愉快に練習ができました。
（「第十回オリムピック大会報告」 三省堂　１９３４　ｐ２４３ 広橋百合子）

大洋丸文献探索＞国枝タカ子ほかの記事要約＞ロス大会日程

●この「はてなダイアリー」筆者taiyomaruは、「大洋丸」という文字のある文献
（図書・雑誌・新聞の記事）を探しております。
「大洋丸」は第一次世界大戦で戦勝国となった日本へ敗戦国であるドイツから賠償
として譲渡されたkap finisterre号の日本名で、大正１０年から米潜水艦の雷撃で
撃沈する昭和１７年まで２０年間、太平洋航路の豪華客船時代から太平洋戦争の
徴用船までの関係事件記事・関係人物記事を読んで、この時代を自分史に重ねて
再認識したい考えからです。
「大洋丸」記事は、この論文の末尾にある「引用文献」リストにないだろうかと
考えますが、このなかですでにみたものは「第十回オリンピック大会報告書」
（三省堂１９３３年）です。
雑誌の「ＪＯＡ　ＴＩＭＥＳ１７、１９」（日本オリンピック・アカデミー
１９９４、１９９６）が未見で「大洋丸」記事がありそうだと推測されます。
「はてな諸賢」の、ご教示を得たいと存じます。
ちなみに「大洋丸記事」で既読文献の目録は、私編集の年刊誌「文献探索」の
ホームページ
http://members.aol.com/j60409/
に「大洋丸記事筆者名目録」として約２００点をリストアップしてありますので、
ご覧いただければ幸いです。
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○第１０回ロサンゼルス・オリンピック大会日本選手団遠征の日程は一九三二年
（昭和七年）六月二〇日東京会館で大日本体育協会主催送別会から始まり、
六月二三日第一グループ横浜港から龍田丸で出発、六月三〇日第二グループ
「大洋丸」で出発、七月二二日大日本体育協会会長主催の米国オリムピック委員
招待会、七月二四日在米邦人による歓迎園遊会、七月三〇日第十回オリンピック
大会開会式、八月一四日閉会式、八月一七日春洋丸でロサンゼルス出発、帰国へ。
九月三日横浜着、鳩山文部大臣からの感謝状授与式、東京市歓迎会、解散式、
九月一四月大日本体育協会報告理事会、九月二九日昭和天皇に岸清一会長が御進講、
一〇月二九日会長主催の選手・役員・競技団体代表者ほかに天皇御進講報告会、
翌一九三三年一〇月第十回オリムピック大会報告書を三省堂から発売。
（「茨城大学教育学部紀要（人文・社会・芸術）５２」２００３ｐ３１国枝タカ子）