DOAシリーズを振り返る その1

DEAD OR ALIVE XTREME2(以下DOAX2)の発売が近づいてきましたので、DEAD OR ALIVE(以後DOA)シリーズについて少し振り返ってみようと思います。

1996年。バーチャファイターが不動の人気を獲得し、鉄拳がそれに続いて評価を受け、3D格闘ゲームは一つのジャンルとして定着した頃、DOAというゲームがゲームセンターで稼動を始めました。
バーチャにも鉄拳にもついて行けず、3D格ゲーは諦めていた俺でしたが、リュウ・ハヤブサが出ているという事だけでこのゲームを始めました。

リュウ・ハヤブサファミコン忍者龍剣伝というアクションゲームの主人公。
俺が実際にプレイしたのは3のみですが、アクションゲームとしては一番好きな作品です。

リュウ・ハヤブサを使いたくて始めたものの、実際にゲームを見てみるとハヤブサだけではなく魅力的なキャラが多い事に驚きました。
今まで、ブルース・リーをモデルにした格ゲーのキャラはたくさんいましたが、そのどれもがイマイチで、「叫びがうるさいだけ」「ネタ寄り」という印象が強かったのですが、DOAジャン・リーは本当に格好良かった。技のモーションも見栄えが良く、一発一発の打撃も爽快感があり、「ネタ」にされがちの怪鳥音もちゃんと「格好いい」使い方をしていました。
そういうキャラクターの格好良さだけではなくシステムのわかりやすさも、このゲームにはまったのはシステムのわかりやすさも大きい。
ハヤブサは少々トリッキーな技を使う上に最大のダメージ源がコマンド投げと、素人がいきなり使うには敷居が高いキャラクターではあったのですが、ホールドというDOA独自のシステムのおかげで技を使いこなせなくてもそれなりに戦える事が出来ました。
俺がバーチャや鉄拳で一番ついて行けなかった理由が「殴られっぱなしで何も出来ずに負ける」という事でしたから、相手の打撃を切り返す事の出来るホールドは画期的なものに思えました。
無論、バーチャや鉄拳もただの殴った者勝ちではなく、駆け引きがあるというのはわかるのですが、素人には何をどう駆け引きしているのかわかりにくい。
しかしDOA「打撃はホールドに負け、ホールドは投げに負け、投げは打撃に負ける」という三すくみに駆け引きの全てが集約されているため、システムさえ理解すれば素人でも負けた原因がわかりやすい。
打撃に対する切り返し技があるゲームは珍しくはないのですが、DOAほどはっきりとシステム化している物はないですね。
ステージの端にはデンジャーゾーンというエリアが設置され、そのエリアでダウンするとダメージを受けるだけでなく、特殊な真上に吹き飛ばされるという特殊なダウンになってしまうので追撃で大ダメージを受ける危険性もありました。
他のゲームにないシステムで差別化は図れたものの、格ゲーとしての出来は「あと一歩」という感じがあったので、格ゲーとしての世間の評価は今ひとつ……
しかし、DOAはシステム面とは別の部分で大きな注目を受ける事となった。
女性キャラの胸が無駄に揺れる
ハヤブサやジャン・リー、そしてゲン・フーといった男性キャラに魅力を感じてプレイしていた俺は、
乳揺れゲー
という世間の評価を聞くまで、そんな事は気にもなっていませんでした。
言われてみて初めて注目してみましたが、
別の生き物みたいで気持ち悪い……
という印象しか持てませんでしたし(笑)。
サターンやプレステにDOAが移植されると、女性キャラクターに様々なコスチュームが追加され、中にはスクール水着の様なあからさまなネタもあって、DOAは女性キャラ重視という雰囲気が強くなっていきました。

ま、何はともあれ家庭用で人気を得た事でシリーズは続いていき、1998年にはキャラクターを増やし(プレステ版で2キャラ追加になった)システム面を強化したDOA++でアーケード二度目の挑戦。
しかし、これはシステムがあまりに難しく、一部のコアなファンにしか支持されず、置いているゲーセンも少ければ家庭用にも移植されずで 「知る人ぞ知るゲーム」で終わりました。
DOAでは、相手の打撃を受け流すディフェンシブホールドは上段中段と下段という二択だったので、比較的手軽に使う事が出来ましたが、DOA++では上段パンチ、上段キック、中段パンチ、中段キック、下段パンチ、下段キックの六択というピンポイントホールドになったため、相手の攻撃を読み切らないとホールドが出来ないという状態になりました。
しかしこの細分化が、ホールドを「ただの防御手段」から「重要な駆け引き駆け引き」へと昇華する切っ掛けとなっているのは確かですし、++から導入されたクリティカルイカウンターという要素が、後のDOAのゲーム性を決定づける事になっていますから、DOA++はある意味DOAで最も重要な作品と言えます。

そして1999年。遂にDOA2がアーケードで稼動開始。
出が遅いが相手の打撃を潰せる投げとして重宝したオフェンシブホールドは廃止になり、ディフェンシブホールドは、上段、中段パンチ、中段キック、下段という四択になって、お手軽さが無くなった代わりにホールド成功時のダメージが大きくなりました。
これにハイカウンター(相手のホールドを投げると言った感じで、三すくみの駆け引きで勝つとより高いダメージを狙えるシステム)の要素が加わる事で、三すくみの駆け引きがより明確な物になりました
クリティカル誘発や牽制の要となる技の多い中段だけをパンチとキックの二択にした事で、打撃とホールドの読み合いも絶妙なバランスになっています。
ステージの種類が豊富で(タッグモードではステージ固定)、壁や床に設置された「爆破」、下の階に落とされる「落下」、足下が滑る「スリップ」など、デンジャーゾーンの種類や効果も様々になりました。
DOAのゲーム性がはっきりしてきて、格ゲーとしての出来も良くなった事から、ゲーセンでの対戦人口も増えました。
ちなみに、ポスターや広告用に女性キャラの水着姿を描かれるようになったのは2が最初。
2からは、女性キャラの乳揺れやネタ衣装といった「ネタ優先」の部分を抑え気味にし、「ビジュアルやキャラクター性を重視する」という方向に進み始める。
女性キャラ重視という根本は変わりませんが(笑)
女性キャラばかり注目されがちですが、DOAといえば忘れちゃいけないと思うのは、各流派の技の格好良さでしょう。2以降はそれが際立っています。
中でも特に印象的なのが中国拳法でしょう。
格ゲーには、自称中国拳法とか、中国拳法風味はたくさんいますが、イメージだけでやっている適当な物が多いです。特に2D格ゲーはその傾向が強い。
3Dになってからは、八極拳蟷螂拳といったしっかりした流派の物を使うキャラも増えましたが、DOAは他の格ゲーに比べて中国拳法を使うキャラの数が多いです。
DOAでは太極拳心意六合拳の二つでしたが、2で劈掛拳(ひかけん)、3で蛇拳酔拳、4で八極拳形意拳が増えています。
DOAは単純に技のモーションが格好いいだけではなく、ホールドというシステムのおかげで、他のゲームでは強すぎてバランスを崩す恐れのある技も入れられますし、受け流しつつ攻撃するという技も自然に取り入れる事が出来ると言う事も大きいかも知れません。
俺はDOAが切っ掛けで拳児という中国拳法の漫画にはまりましたが、拳児を読んでから改めてDOAをやると、随所にDOA拳児に影響を受けている部分を発見出来て面白いです。

DEAD OR ALIVE2初回限定版

DEAD OR ALIVE2初回限定版

DOA2 HARD・CORE PlayStation 2 the Best

DOA2 HARD・CORE PlayStation 2 the Best

拳児 9 (少年サンデーコミックスワイド版)

拳児 9 (少年サンデーコミックスワイド版)

DOA2のドリキャスPS2への移植をすませ、次にDOAが動いたのは2002年。
DOAが次なる舞台として選んだのはなんとXbox。アーケードでの稼動はもちろん、PS2への移植も無し。
DOA3Xbox本体と同時発売だったため、俺は迷わず本体ごと購入。他に特別やりたいゲームがあった訳でもなかったので、DOA専用機になるこ事も辞さない覚悟。
そんな覚悟で買ったDOA3ですが、確かにXboxの性能のおかげで画面は綺麗になったものの、格ゲーとしての出来は微妙……
ホールドを、上段、中段、下段の三択に減らしてしまったため、ホールドと打撃のバランスが悪くなってしまいました。
壁に叩き付けると追撃可能という壁ダウンの導入などでダメージや爽快感は上がったものの、根本の駆け引きは目立った変化無し。中段ホールドの一択化で駆け引き要素はむしろ低下。
さらに、3から導入した軸移動技が妙に強すぎるし、それに対抗する手段がない。
DOAからDOA2への進化と同じものを期待していた格ゲーファンには不評。
そして、DOAの売りの一つともなっていたコスチュームは、グラフィックの向上で質感は良くなったものの全体的に地味なものが増えた上に数が激減したため、こっちも不評。

DEAD OR ALIVE 3

DEAD OR ALIVE 3

2003年。DOAが次に打った一手は……
DEAD OR ALIVE Xtreme Beach Volleyball(以下DOAX
DOAに登場する女性キャラクター(新キャラ一名追加)が南の島でバカンス。
「DOA3はコスチュームの数が少い」という声を受け、用意された水着は300着。
キャラクター性重視の物あり、露出の多い過激な物あり、下着にしか見えない物あり、胸に着ているキャラの名前(平仮名)が書かれるスク水あり。
女性キャラ重視の姿勢もここまで貫かれるとある意味すがすがしい。
しかし、このゲームで最も株を上げたのは女性キャラではなくザック
初代DOAから我流ムエタイを使うネタキャラとしての位置を貫いてきたザック。DOAXは、ザックがDOA3の優勝賞金を元手にカジノで大儲けして南の島を買ったという架空の話。
DOAに参加していた女性達に「DOA4を開催する」と嘘をついて島に集め、バカンスを楽しんでもらうという流れ。
ゲームの趣旨のバカっぷりと、ザックのバカっぷりが上手い事かみ合っています。
DOAはストーリーとか設定に結構微妙な印象があるのですが、DOAXザック島、島の通貨単位は「ザック」というおバカ設定の数々は良い(笑)。
ただの色物ゲームに見られがちなDOAXですが、ゲーム性云々はともかくとして、並のゲームよりよっぽど本気に作り込まれています。
ちなみに、SoftBankから
「ゲームキャラのグラビアがメインとなる攻略本」
という、けったいな代物が発売されるようになったのはDOAXが最初。
一冊目は一応攻略情報が載っていましたが、二冊目は本当にグラビアだけでした(笑)。

DEAD OR ALIVE Xtreme Beach Volleyball Xbox プラチナコレクション

DEAD OR ALIVE Xtreme Beach Volleyball Xbox プラチナコレクション

さて、無駄に早起きしてしまったので、勢いでどどーっと書いてしまいましたが、本来書きたかったDOA2UやDOA4に話が及んでいません。とはいえ、十分長くなってしまったので今日はこの辺で(笑)。