読書感想文 小林多喜二著『蟹工船』

蟹工船・党生活者 (新潮文庫)

蟹工船・党生活者 (新潮文庫)



別にそうするように意識しているわけではないのですが、自己分析してみると私が書く読書感想文の多くは作り手が何を考えているか?を想像しながら書いていることが多いように思えます。ここで言う作り手というのは著者作者だけではなく、出版社編集者も含んでいます。何を伝えたいのか?だけではなく、どう売りたいのかと言ったところまで含めて考えてしまっています。
そうなってしまう理由は読書的バックボーンにあるのではないかなと自分では思っています。子供の頃から推理小説ばかりを読んでいたが為に、自然と犯人、すなわち作者が仕掛ける罠を考えながら読む癖がついてしまったのではないかなと思うのです。


さて、今日感想を書く『蟹工船』。おそらくは世間には大量の感想やらレビューやらがあふれていることでしょう。最近一時話題になりましたからね。例によって他の人が書いた感想をほとんど読んでいないのですが、その多くは文学史の教科書に出てくるこの作品の背景をベースにしたものになっているのではなかろうかと推測します。
私は、あえてそれを深く考えずに感想を書いてみようと思います。当初無視しようとしたのですが、子供の頃からそう教え込まれてしまっていたので、私の力量では無視することはできませんでした。それはともかく、なぜそんな作者の意図を無視するようなことをするのか?それは『蟹工船』はそれができる作品だったからです。


このような作者の思いを踏みにじるような感想を書くことは決して良いこととは思っていませんが、その裏にどういう思いがあるのかは、この感想文の中で書けるはずです。



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