今週火曜日であったか、夜半過ぎに帰宅してみると扶桑書房の「速報復刊1号」が届いていた。ご主人の「ひとこと」など読み感慨を覚える。しかしまあ決定的に出遅れた。例えば「荷風集」再版傷3000円とか既にないだろうし(というか瞬殺だろう)、タイミングよくこれは欲しかったというのが適価で掲載されているのを見つけるも、この時間だしまだあるだろうかと半ば諦めつつ深夜にファクスで注文を入れた。そして翌々日には届いたのが、欲しかった「窓」である。
まあ今日は昨日行けなかった城南展、終わり5分のみチラと会場を見て1冊だけ。その後扶桑書房に行ったりなど。
小山内薫「窓」(春陽堂)明治41年8月18日初版カバ欠6500円
夏目漱石「漾虚集」(春陽堂)明治39年5月22日再版4000円
尾崎紅葉「青葡萄」(春陽堂)明治29年10月23日初版カバ欠痛シミ2700円
戸井田道三「狂言 落魄した神々の変貌」(平凡社ライブラリ)カバ帯400円
ラヴジョイ「存在の大いなる連鎖」(ちくま学芸文庫)カバ帯1200円
明治本ばかり。平凡社ライブラリは、単行本で読みかけだったのに書架の奥に埋もれてしまって探しても全く出てこなかったので城南展会場で購入。ちくま学芸文庫はオークション落札。「青葡萄」も同じくである。ちょっとボロボロであるが木版口絵もあるし、この「青葡萄」は元版で読みたいし欲しかったので落札したもの。風葉が紅葉宅にて疑似コレラで隔離病院へという顛末を描いたもので、当時は衛生行政は警察がやっていたから、夜中に嘔吐する音が隣家に聞こえてしまって密告通報されないかしらなどという場面は当時の独特の緊迫感がある。口絵は…もさっと植物の塊が描かれているがこれが青葡萄なんだろうか。他に本文中、新聞連載時のと思われる挿絵がところどころ挿入されている。
「漾虚集」はこれまた嬉しい収穫。平の題箋は写真のようにちょこっと傷があるが背題箋はキレイで本自体のコンディションがなかなかよい。外装無しで完本なので痛んでいる本が多いのである。元版重版で十分なのだが、五葉の多色扉絵が収録各作品ごとについていて、やはり元版ならではの味がある。
さて、買いすぎた。もうこれからは金欠戒厳令、苦しい日々が続きそうだ。
小山内薫明治末短篇集三部作「窓」「蝶」「笛」三冊が、今回の「窓」購入でようやく揃った。この頃の小山内の戯曲ではなく短篇小説がことのほか好みであり面白く読んでいる読者としては嬉しい。「窓」、前にかわほり堂にて同じような値段であったのをタッチの差で目の前で買われてしまい、あれから八年は経過したろうか。1,2度目録で出て注文したこともあったがハズレ、ずっと探求書であった。チラッと平の題箋に欠けがあるけれどこのお値段でなら御の字。発禁になった「笛」より見ない印象がある。
以下は新刊で気になるもの。
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