変態漫画は紳士の作品、日本漫画家協会賞作品「壬生義士伝」も紳士の作品、そんな別冊少年マガジンが大好きです

別冊少年マガジンという雑誌が好きです。グフタは個々の作品が好きですが、別マガは雑誌が好きなのです。極端なことを言ってしまえばグフタは単行本で一気に読みたくなる作品が多く、別マガはもちろん単行本で読みたい気持ちもありますが、各漫画を読みたくなるんですよね。

子供も読みたくなる、大人も楽しめる、「いちばん新しい冒険の書!!」の名にふさわしい雑誌になっているように思います。


しかし、今現在の別マガで目を引くのは「変態漫画(褒め言葉)」でしょうか。
悪の華浪漫三重奏、ぷあぷあやさんかれあなどもいい味を出しています。それら変態漫画(褒め言葉)の中でも「恋忍」は超オススメの作品です。

恋忍(1) (ワイドKC 週刊少年マガジン)

恋忍(1) (ワイドKC 週刊少年マガジン)

これは本当に面白い。雑誌で読むのが必ず一番最初。進撃の巨人よりも先に読んでいるんです。主人公の内に秘めた変態具合がもう・・・・崇高ですらあります。



性に妥協は許さない

毎回生まれる名言にニヤリとしてしまいます。最近だと「安易な裸は着衣に劣る」は別マガ史に語り継がれると思います。
出てくるキャラは基本的に変態。男の娘や幼女なんて当たり前。それにツッコミを入れる主人公が実は最も変態だったという展開は本当に凄かったです。



そして、そんな素敵な漫画と一緒に日本漫画家協会賞の優秀賞に選ばれた壬生義士伝が別マガには載っています。

壬生義士伝(1) (KCデラックス 週刊少年マガジン)

壬生義士伝(1) (KCデラックス 週刊少年マガジン)

同名小説を愛と誠で有名なながやす巧先生が漫画化したものです。小説作品としても有名。ドラマ化されて有名。映画化されて有名。しかも、映画にいたっては日本アカデミー賞の最優秀作品賞に選ばれています。
そして、漫画化した同作品も日本漫画家協会賞の優秀賞に選ばれています。ちなみにこの賞は漫画家さんが集まった協会で選んだ賞であり、変な縛りもなく、漫画のプロが選んだ純粋な賞です。

この作品は新撰組を題材にしたものであり、その中でも吉村貫一郎に注目した作品です。吉村貫一郎は元々脱藩して新撰組に入ったのですが、鳥羽・伏見の戦いで死を目の前にした吉村が脱藩した盛岡藩に助けを求めるところから始まります。そこで出会ったのは旧友。その旧友に言い渡されたのは・・・もちろん切腹。作品としては、そこから元隊士によって吉村を語ってもらうスタイルになっています。

ちなみに、この吉村という男は新撰組の中でも最も強かったと言われていました。そんな男が死を前にして逃げ込むという行為をした。士道不覚悟で切腹という重い誓いを持つ新撰組の人間がどうしてそんな行為をしたのか。そんな情けない男だったのか。とても興味がそそられます。



死にだぐねぇがら人を殺したのす!

原作が面白いところに、ながやす巧先生が描くと圧倒的に凄みが増します。
そんな作品に「凄いねぇ・・・」とつぶやくのは浦沢直樹先生。漫画の帯文を読むだけでちょっと読みたくなってしまいます。

迫力が違うんですよね。絵も作品も。生き死にが伝わるというよりも、吉村貫一郎という人間の生き様に、吉村が何のために生きようとしたのかに魂が震えそうになります。1巻ではまだその途中だなと感じる部分はありますが、これから絶対に話題になる作品だと思います。

余談ですが、実はこの作品は元々コミックチャージに掲載されていた作品です。しかし、休刊してしまったことに伴い宙ぶらりんになっていたのを別マガ編集部が来てもらったそうです。偉いぞ編集部!!
ながやす巧先生は「壬生義士伝」を漫画家人生のすべてを懸けたライフワークだと語っています。これはちょっと・・・堪りませんね。
現在、3巻・4巻くらいまでの話が出来上がっているそうです。それを読んだ編集部は全員泣いたそうです。上の人間まで泣いたそうです。そんな作品に対し「もう少しでペンに慣れてくると思うので、次はもうちょっといい原稿をあげられると思いますので・・・」と言ったそうです。もう感服するしかありません。



結論:変態漫画も壬生義士伝も読める別マガは最高