南原清隆が「ごきげんよう」に初出演していた


見事にごきげん


フジ系「ごきげんよう」にウッチャンナンチャンのナンチャンこと南原清隆が出演していたのは 1 月 20 日(火)、21 日(水)、22 日(木)の 3 日間だったのですが、録画しといたのをようやく昨日あたりに見終えたので、今さら更新のネタにしようと思います。

仕切るひと

ナンチャンは今回が「ごきげんよう」初出演だったようです。

司会の小堺一機もオープニングでナンチャンを呼び込んだあとで、

「いやいや、なんかゲストって無いでしょナンチャン。仕切るほうだもんね。いやぁ〜、うれしいですね」

と、かなり時間を取って、ひとしきり感慨深そうにしていました。「仕切るほうだもんね」。このリアクションひとつとってもナンチャンの出演はそれなりに「異例」といえると思います。

これはまだちゃんと調べてないのですが、ウッチャンダウンタウンとんねるずタモリビートたけし島田紳助あたりの、「仕切るほう」の、なんとなく「お笑いヒエラルキー」的なピラミッドの最上位にいるタレントは、まだ一度も「ごきげんよう」に出演したことがないはずです。

年末に明石家さんまが出演することが恒例になっていますが、これは小堺と同時代を生き延びてきた仲良しタレント同士の親しみがあってこその「特例」と思われます。

ちなみに中山秀征とか小倉智昭も「ごきげんよう」には出ますが、また意味合いが違いますね。

そこへきての唐突なナンチャンの出演。時代は変わったというべきでしょうか。

ウンナンはいま

ウッチャンナンチャンといえば、誰が言ったか「お笑い第三世代」の中心的存在として「やるやら」「ウリナリ」「笑う犬」「気分は上々」など数多くのヒット番組でめざましい活躍をしてきました。

って、こんなものは今さら説明するまでもねーですね。多くの日本人の心にそれぞれのウンナンは生きている。

しかし 2000 年代に入ってからというもの、ウッチャンナンチャンという「コンビ」として見たかぎり、決して致命的な没落こそしていないものの、往時に比べれば活動に物足りなさを感じることもたしかです。

2009 年 2 月現在、ウッチャンナンチャンのコンビとしてのレギュラー番組は TBS 系「イロモネア」のみ。特番からレギュラー化への流れで好調なようですけど、ほんのこれだけです。そんなこといったらとんねるずも「みなさんのおかげでした」一本だけなんですけど。それはそれです!

内村と南原、ともにいわゆるピンで番組を抱えてはいますが、これまでのようなテレビお笑いバラエティの世界では、どうも「ウッチャン孤軍奮闘」という印象が拭えません。ウッチャンが「スリーシアター」や「ドリームマッチ」出演などわりと「攻めてる」ように思われるいっぽう、ナンチャンの影は今ひとつうすい。


そんな状況下、さて「ごきげんよう」という空間で、あらためて、ゲストとしての、キャラも何も入ってないままの南原清隆が、たったひとり呈示される。ナンチャンがナンチャンのまま剥き出しだ、と。

これはあまり経験のなかったことです。スポーツ番組の司会などはナンチャンの「冠番組」も同然で、ナンチャンありきで番組が成立してるわけですから、まだ立場が明確なわけです。

だからこそ「ごきげんよう」での一ゲスト扱いというのは、視聴者にとっても、おそらくナンチャンにとっても、めずらしい体験でした。

ナンチャンのはなし

しかしさすがにナンチャンはナンチャンでした。


まず出演初日は「へこんだ話」というサイコロの目を出したナンチャン。

「声のワークショップ」という、発声やナレーションなどの研鑽を積むという催しに一般人に混ざって参加したものの、一般人からタイマンで「もっと大きな声で話せばいい」「自信を持って!」「噛む噛むと思うから噛むんですよ!」とはっきり酷評されたあげく、いざ発声の実践をしようとしたら緊張して噛みまくった、という自ギャグ話を披露してました。おもしろトークでした。


二日目は「当たり目」ってやつで「 COROZO クエスチョン」。

「あがり症」を自認しており、ネタおろしのときによく「えづく」といいます。

ウッチャンのことも話してました。

年末に内村とトークライブをやったんです。ふたりで漫才をやろうと。やったことないけどチャレンジしようと。

出番前、別々の楽屋だったんですけど、初めてなんでウケるかどうか不安で、「ウエウエ〜」って。うわー気持ち悪いナー、と思ってたら、隣から「ウエウエ」って。

内村もえづいてたんですよ。

コンビして「えづいてた」という仲睦まじいエピソードです。


三日目もまた「当たり目」で「日頃のウップンたまって箱」。

海外の空港の税関がいつまで経っても慣れない、という話をしてました。テレビ番組のために持っていたちょんまげのカツラの説明に困ったとか、もうちょっと税関の人に印象をよくしてもらいたいとか。

まぁこれは芸能人あるあるみたいなよく聞く話ですけどね。


とにかく 3 日間トータルで、上記のようなサイコロトークはまともでした。また「蟹江敬三に似てる」とかちょっと懐かしげなネタを繰り出したり、石野真子宝田明など他の共演者とも適切に絡んだりして、実にソツのないナンチャンぶりだったのです。

それ絶対やっちゃダメ

重箱の隅かも知れませんが、ちょっと気になったのは、初日、二日目とサイコロを投げるとき、「サイコロ蹴ってた」ことですね。


はしたない


3 日目は気が変わったのか、しおらしく丁寧に転がしてました。

狂言

3 日目、最終日のエンディングには、全国ツアーをするという「現代狂言」の舞台の宣伝をポスター片手にしてました。この話はトーク中にもちょいちょい挟み込んでいたのですが、最近のナンチャンは狂言や落語など、お笑い方面の伝統芸能めいたところに活動の重心を置いているみたいです。

ウリナリ狂言部」が事の発端だといいます。また高校時代は落語研究会に所属していた様子。なるほどお笑いの「芸」を極めるという意味では、古典への回帰は「正道」とさえ言えるのかも知れません。あんまり世の中に伝わってない気はしますが。


現代狂言」の舞台には島崎俊郎野々村真などいろんなタレントが出演するようです。

そのポスターの中には「エネルギー」や「イワイガワ」などの名前がありました。どちらも「浅井企画」という芸能事務所に所属しているお笑いコンビです。

小堺一機も言わずもがな「浅井企画」の看板タレントです。

そういう関係性が、もしかしたら今回のナンチャンの「ごきげんよう」初出演につながっているのかも知れないなー、と、最後にちょっとした種明かしをされたような気になりました。