春の嵐が吹き荒れる

高島
mycar 52km

本日の日経平均は575.68円安の16642.25円で取引を終了した。米国株式相場の
下落を受けて売り先行のスタートとなったあとも、軟調な値動きが継続。米景気の
失速懸念、それに伴う利下げ観測、円高進行などが嫌気されて、輸出関連株を中
心に下値を試す展開となった。同時に取引されているアジア株の下落も嫌気され、
世界同時株安が継続していることを示唆。業種別東証株価指数では全セクターが
下落。特に鉄鋼、非鉄金属、証券商品先物などの下落幅が大きかった。

本日は売り先行の後、一段安の展開となった。先週末の米国株式相場が大幅安
となったことで、東京株式市場でも輸出関連株を中心に売り先行の展開。円相場も
1ドル=115円台に上昇しており、自動車、ハイテクなどに売り圧力が強まった。また、
全体相場の下落を受けて証券株などの金融株にも売りが優勢。前場強含んでいた
鉄鋼株、金鉱株の一角にも売り圧力が強まり、全面安の様相となった。

投資家は短期的な突っ込み警戒感から押し目買いを入れる向きもあったが、結局
ははしごを外される形。再び下値不安が高まり、信用取引をしている投資家の投げ
も一気に加速した。週末には株価先物・オプションの特別清算指数(SQ)算出を控
えており、警戒感が強まる状況。裁定買い残も6兆円規模に膨れ上がっており、外
資系証券による売り仕掛け観測も市場に不安を与えている。
 日経平均は目標としていた16700円処の窓をスルーする形となっており、下値不
安が高まる状況。次なる下値メドは下方に空いている窓(16126.35円−16152.85円)
であり、十分な下落余地が残されている。短期的には急速なリバウンドの可能性は
残されているが、テクニカル面ではまだまだ売りのチャート。安易の買い転換は禁物
であり、一貫して売り姿勢で臨みたいところだ。

今回の下落相場でタチが悪いのは、中国の個人投資家のあまりにも楽観的な姿
勢だ。バブル未経験者の無謀な投資が調整を長引かせる結果となり、日欧米の株
式市場にも悪影響を与えそうだ。また、米国の本格的な景気減速が利下げを促す
形となりそう。日米金利差の縮小が急激な円相場の上昇を招くことになり、国内の
輸出企業には大打撃を与えることになりそうだ。この為替変動は中長期的なもの
で、決して短期的な動きではない。トレンドを見誤ると大きな損失を被りかねず、
ここは慎重に対処したいところだ。

本日の下落はまさしく「阿鼻叫喚」であった。完全にキングボンビーに取り付か
れて、ボンビラス星に連れて行かれたような状況だ。ここからは毎回、赤のマスに
止まり、とても払えないくらいのお金を放出することになる。それは一面に敷き詰
められた剣山の上をほふく前進するようなもの。前進するたびに血が噴き出してく
るイメージだ。まさに「地獄絵図」であり、現時点でこの流れから逃れる術はない。
出血を極力抑えるしかないのだ。

外国人の売りが懸念されて引き続き買い気に乏しく大幅安

日経平均            16,642.25 (▼575.68)
日経225先物         16,630 (▼530 )
TOPIX            1,662.71 (▼ 58.88)
単純平均             451.03 (▼ 17.84)
東証二部指数           4,127.80 (▼133.53)
日経ジャスダック平均       2,118.86 (▼ 50.37)
東証マザーズ指数          988.14 (▼ 79.19)
東証一部
値上がり銘柄数          27銘柄
値下がり銘柄数         1,694銘柄
変わらず             10銘柄
比較できず            0銘柄
騰落レシオ           88.94%  ▼ 7.24%
売買高            30億2610万株(概算)
売買代金        3兆9428億2600万円(概算)
時価総額          532兆6325億円(概算)
為替(15時)          115.60円/米ドル

◆市況概況◆

 週末の米国市場が軟調となったことや為替が円高に振れたこと、外国人売買
動向(市場筋推計、外資系13社ベース)が大幅売り越しと伝えられたことから
売り先行となりました。寄り付きの売りが一巡した後は底堅い動きとなる場面
もあったのですが、少しでも戻るとすかさず先物にまとまった売りが出るよう
な格好で上値が重くなり、我先にと見切る動きも出たようです。

 後場に入ってもいいところ無く一段安となりました。昼の市場外取引は金額
は比較的小さく売り買いの偏りはないと伝えられて、大きな動きがないとの見
方から売り先行で始まりました。その後も断続的な先物への売りもあってじり
じりと値を崩す展開となりました。下値をむきになって売り叩くというよりは
否応なしに投げさせられる、といった感じでした。さすがに最後は目先筋の買
戻しも入ったのか、押し目買いの動きかまとまった買いも入り、ぎりぎりのと
ころで下げ渋った感じです。

 小型銘柄も軟調となりました。出遅れ感の強い小型銘柄に多少の買いが入る
かとも思われたのですが、相場全体の地合いの悪さに見切り売りがかさみ、東
マザーズ指数の下げ幅はきつく、その他の指数も大幅安となりました。

 なかなか下げ止まらず、信用取引の「追証」も発生している感じです。特に
売り材料が出ているわけでもない銘柄まで、見切り売りに押され、売りが売り
を呼ぶような展開になっています。「野も山も皆一面に弱気なら、阿呆になり
て買いの種蒔け」という相場格言もあり、また、「まだはもうなりもうはまだ
なり」と言う言葉もあり、そろそろいったんは下げ渋ってもいいところではな
いかと思います。

マネックス証券 投資情報部長 清水洋介)

◆個別銘柄◆ 

 ディフェンシブ銘柄として電力株や医薬品株は底堅い

京セラ (6971) 10,150円 ▼270 円 :100株単位
 外国為替市場で円相場が1ドル=115円台まで上昇したことから、収益下
振れを嫌気した売りが入り軟調となりました。

住友鉱 (5713) 2,060円 ▼180 円 
 2007年3月期決算が従来予想に比べ、上回ると報じられ、好感した買いが入
りましたが、地合いの悪さから売られ大幅安となりました。

三井住友 (8316) 1,120,000円 ▼10,000 円 :1株単位
 地合いの悪さに加え、国内証券が投資判断を引き下げたことから、軟調とな
りました。

九九プラス (3338) 144,000円 △20,000 円 :1株単位
 ローソン(2651)との資本・業務提携を好感する買いが入り、ほぼ全面安の
相場の中で逆行高、ストップ高となりました。

日 駐 (2353) 9,930円 ▼2,000 円 :1株単位
 2006年6月に改正道路交通法が施行されて新規参入業者が増えたことで競争
が激しくなり、経費の負担が増加したことから、2007年7月期決算の大幅な下
方修正を発表し、失望売りが入り、ストップ安となりました。

エルピーダ (6665) 5,000円 ▼160 円 :100株単位
 為替が円高となったことや米国市場の下落を受けて、特に売り材料もないの
ですが、相場全体の下げに連動して売られ、軟調となりました。