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京都からすま和田クリニック 和田洋巳の相談室 このページをアンテナに追加 RSSフィード

2016-05-21 講座:新しい概念を用いたがん治療12 このエントリーを含むブックマーク このエントリーのブックマークコメント

前回は、トリテルペン類を含むハーブ・サプリメントである梅由来のミサトール・梅エキスががんに影響することを示す知見と、ミサトールの製造過程について紹介しました。

今回は、このミサトールをはじめとするトリテルペノイドを含む製品が、がんに作用する機序についてさらに説明していきます。

以下の患者さんは、悪性黒色腫を罹患している女性で、原発巣である左足裏を外科的に切除した方で、化学療法を続けていましたが、左大腿部に転移を認めました。そこで、ミサトールの飲用を開始したところ、4ヶ月後には、皮膚転移性の病巣は激減しました。

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ミサトールの原料である青梅は下右図のように、トリテルペノイドの中でも、ウルソール酸を多く含むものとして知られています。

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下記の論文では、ウルソール酸が、脂肪酸合成酵素の働きを止める効果があることを報告しており、これは、強力な抗炎症作用を持ち、がんの成長・転移を抑える働きがあることを示唆しています。

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また、ウルソール酸の強力な抗炎症作用は、NF-kBの抑制を通して伝達されることも、同じ論文中で示されており、将来的にウルソール酸が、炎症性疾患の治療に用いられるようになる可能性について言及しています。

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このように、天然物の中で民間伝承的に用いられている物質(梅エキスは和歌山の伝統食品)の中には、強力な抗炎症作用、ひいては抗がん作用を持つものが少なからずあります。

これらは薬にしようと思うと、非常に難しくコストがかかり、さらに副作用が出る可能性が出てきますが、伝統食品として、そのままサプリメント的に摂取した場合は安価かつ副作用も少なく済む可能性があると私は考えています。

今後のがん治療は、このような裏付けをしっかりと判断できる医師のもと、治療を進められるようになっていって欲しいと思います。

これまで何度も話に出てきているように、がん治療においては、炎症を如何に抑えるかが重要になってきます。

その上で、ここ3回はミサトールを例として、私の治療方針におけるハーブ・サプリメントの役割について話してきましたが、次回からはもう一つの重要な治療方針について紹介していきます。

2016-05-08 講座:新しい概念を用いたがん治療11 このエントリーを含むブックマーク このエントリーのブックマークコメント

前回は、トリテルペン類を含むハーブ・サプリメントである梅由来のミサトール・梅エキスを治療に活用した症例を紹介しました。

今回は、ミサトールががんに効く背景を少し説明したいと思います。

トリテルペン類(トリテルペノイド)は、乳がん細胞を選択的に縮小させる植物由来物質であることが、最近の研究によって明らかになってきています。また、治療だけでなく、予防にも効果がある可能性が示唆されていることも特徴の一つです。

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オレアノール酸、ウルソール酸、ベツリン酸が、三大機能性トリテルペンとされています。果実の皮の裏側などに含まれる物質ですが、梅エキスなどには、ウルソール酸が大量に含まれています。

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ミサトールは、ADABIO社の製品ですが、梅エキス製品の一つです。

http://www.adabio.co.jp/misatolall.html

この製品については、下右図に示すように、NF-kBを抑制する効果が認められています。

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この製品は、熟す前の青梅を良く煮詰め、梅エキスにした後に、独自の製法でサプリメントにしているもので、私も、監修をさせていただいており、比較的安価なサプリメントですので、クリニックではよく使用しております。

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次回は、さらに、このミサトールをはじめとするトリテルペノイドを含む製品が、がんに作用する機序について説明していきます。

2016-04-27 講座:新しい概念を用いたがん治療10 このエントリーを含むブックマーク このエントリーのブックマークコメント

前回は、がんの退縮に影響を与えるハーブ・サプリメントの一つ、夏白菊の主成分であるパルテノリドについて、ご紹介しました。

今回と次回は、同様に、ハーブ・サプリメントの中で、抗がん作用を持つ、トリテルペン類について紹介していきます。

まず、以下の患者さんの事例をご覧ください。

この患者さんは、37歳のときに乳がん手術を受け、45歳で肺転移が認められ、2011年1月に私のところへ診療を受けに来ました。

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私のクリニックに来た頃は、抗がん剤のタキソテールを80mg/3週間隔で投与されていましたが、抗がん剤治療を進めるに従って、がんはむしろ進行していっていました。

そこで、生活指導を開始し、それとともに徐々に抗がん剤を減らしていくように指導しました。抗がん剤の減量に伴って、腫瘍の縮小を認めだしたことから、結果的に2012年9月に抗がん剤の一切の投与をやめました。

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この患者さんへの生活指導の中身は、食事を植物中心のホールフードにし、ミサトール・梅エキスといったサプリメントを1日に10グラム以上摂ってもらうというものでした。またこれに加えて、週に2回ほど、ビタミンCの大容量投与を行いました。

上左の図のように、生活指導を開始した2011年1月から、約2年半が経過した2013年6月には、腫瘍がかなり縮小していることがわかります。

また上右の図では、乳癌の縮小に伴い、好中球リンパ球比が下がり、CRPが大幅に減少していることを示しています。

この患者さんは抗がん剤をやめた2012年9月以降、一切抗がん剤治療を受けていません。

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このような腫瘍縮小・抗がん剤治療の回避を実現する上では、食事治療に加え、ミサトール・梅エキスに含まれるトリテルペン類が重要な要因であると私は考えています。

次回はこのトリテルペン類のがんに対する効果について紹介していきます。