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2014-10-23

子供用防弾チョッキが示唆すること

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"Bulletproof vests for kids! 149.99$"...子供用防弾チョッキ149.99ドル!...今、アメリカではこんな信じ難い広告が掲出されているが、この広告は実際は"防弾チョッキ"の広告ではなく、逆説的な意味を持たせている。

これは2005年にフロリダ州で制定後、少なくとも全米16州で採用されている"Stand Your Ground laws"に反旗を翻す広告。"Stand Your Ground laws"は銃による正当防衛を許可する法律で、正当防衛か殺傷事件かの立証責任は被害者側にある。つまり、銃で撃たれた時に、「自分は危険な目に遭わせていない」という立証責任は被害者側が行う。既に射殺されているかも知れない被害者が。一方、撃った方は「危険な目に遭った」という証言だけでいいという、日本に暮らす自分にとっては信じ難い考え方だ。

この法律施行後、フロリダでは正当防衛による殺人事件が3倍となった。この法律の可否について論議のきっかけとなったのが、2012年フロリダで起こった"自警ボランティア"のジョージ・ジマーマンによる17才のトレイボン・マーティンの殺害。最終的にジマーマンは無罪判決となったが、これを機に抗議行動は激しくなった。

この流れを受けて"Dream Defender"なる非営利団体がリリースした上のロードサイド広告をリリースした。彼らのURLを辿ると一瞬"子供用防弾チョッキ"のショッピングページが現れる。

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その後、画面は切り替わり、以下のビデオへと遷移する。

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28時間に1人、アフリカンアメリカンが自警団や警備員に殺されている。どんな親だって子供に防弾チョッキを着せるのは嫌だ。防弾チョッキか、それが嫌なら投票を...これは11月4日の中間選挙での行動を呼びかけており、共和党の支持基盤である南部に暮らし、あまり投票に行かないアフリカンアメリカンに対して民主党に投票するよう呼びかけている(この法律共和党の発案なので)。

この法はNRA(全米ライフル協会)のロビー活動の成果とも言われている。米国政治は複雑だ。

2015年に間に合った! 遂に浮いた! 世界初 Hoverboard

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BTF2で登場したHoverboardが今から1年後の2015年10月、"HENDO"の名で世に出ることをMarty McFlyが発表した。BTF2の年代設定通りの2015年だ! 4つのディスク型エンジンをボードの底に設置し、銅性の床との間にマグネティックエリアをつくり出すことでボードを1inch(2.5cm)浮かすことが可能になる。

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商品化に向け、現在Kickstarter資金調達を実施中で、目標額は250,000ドル(-12/15)だが、既に270,000ドルを突破。まだまだ資金が集中しそうな勢いだ。

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今年の春、Hoverboardのビデオが出回って、一瞬胸躍ったけど、これはビデオゲームの宣伝用フェイク動画であることが判明し、"やっぱり"という感じになった。

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しかし、今回は間違いなく現実のようです。寄付最高額が10,000ドル以上で設定(上限10名)されており、HENDOを最初に受け取ることができるというメリットが付与されていますが、既にソールドアウトという人気ぶり。1年後が待ち遠しいです。

2014-10-22

広大な劇場空間でコンパクトカーの良さを訴える唯一の場所

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Smart(コンパクトカー)の売り文句は"どんな場所にもフィットする"。たとえ、こんな場所だって...。劇場広告として、これはかなり斬新。以前こんな渋いこともやっていた。

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難解な計算問題も一撃で解ける

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複雑な数式もスキャンするだけで一撃で解答がわかる。1クリックすればその計算プロセス理解できる。凄いアプリが出たものだ。

こういうのがドンドン出てくると日本の数学の授業も米国のように、計算機使って"問題解決としての数学"を学ぶような形になっていくだろうか。そちらの方が数学の醍醐味が味わえるし、計算機で代用できるようなことを学ぶのは馬鹿馬鹿しい気もする。

2014-10-17

デジタルサイネージに人格を付与する

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最近妙にユーモアに反応してしまうので、このSpriteがナイロビで展開中の"Bill"という名のBillboardなんかは完全にツボでございます。

"私の名前はBoard, James Board"とか...

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"Billboardって楽じゃ無いよ"とか...

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他多数のバリエーションあります。

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デジタルサイネージって画面が次々に切り替わる訳でライブ感をつくることはできる。そこに人格を付与するというのが面白い発想です。

超長尺動画広告の裏に仕掛けあり

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基本的に動画コンテンツは短い方が良いというのが定跡形なんだけど、この"Have You Been Flying BLAH Airlines?"(BLAHエアラインで空の旅したことある?)は5時間45分と信じがたい長さだ。

ここで言うBLAH Airlinesとは架空の航空会社だけど、5時間45分とはニューアーク空港〜サンフランシスコ空港までの飛行時間であり、大陸横断フライトの退屈で健康に悪い機内の様子が描かれている。リリースしたのは機内体験に絶対の自信を持つVirgin Atlantic。ディスカウントエアラインが参入し、人気になっているこの路線で巻き返しを狙っている。

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演じているのはパペット。子供は泣き叫び、鼾は壮絶で、身体のあちらこちらが痛くなる...5時間45分も流石に見ていられないが、スキップしながら観る限り、結構丁寧につくっている。また、わざわざBLAH AirlinesのWebsiteも用意し、チケットを購入できる風を装っている。Virgin Atlanticは"自動操縦でパイロットは悠々自適なのに、客がこの扱いとは酷い旅だ..."と訴えているそうだ。

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今週は超長尺広告週とでも言おうか、“The Longest Ad In The World”という挑戦的な広告も公開された。25時間という気の遠くなるような長時間で、薄暗い部屋で男がはぁはぁ言っている退屈極まり無い映像をどの程度我慢して視聴できるかという趣向。

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3分でギブアップすると"あなたはたった3分でやめることができたけど、他の人は何ヶ月も何年も生きさせられ続けている"というメッセージと共にDMDなる尊厳死を推進する非営利団体への寄付を薦められる。はぁはぁ言っている男は苦しいにも関わらず死ぬに死ねない状況にある不治の病にかかっている男...という訳だ。

超長尺の裏に仕掛けあり、です。数年前のスーパーボールのティザー広告で本編に登場する女性モデルが5時間に渡ってチェッカーフラッグを振り続けるという無駄に長いだけのセクシー動画広告があったけど、そういうのとは違います。

2014-10-14

存在を再定義する...Audiの哲学的なアプローチ

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"Audi A7 Sportback"は知性レベルの高いエグゼクティブを理想的な顧客として掲げている。よってそのTVCMはライバルであるJaguarやLincolnのようにセレブリティなどを起用せず、極めて哲学的な語りを表現の中心に据えている。

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机の上に置かれた蓄音機。“Presence: How to Obtain It.”(存在...それをどうやって得るか)と題されたレコードをかける。"何人かは持っていて、何人かは持っていない"とか"固い握手に失敗は無い"とか、"尋ねるな、語るな"とか言葉が断片的に繰り出された後(有名な哲学者の言葉かな?)...Audi A7 Sportbackが、その蓄音機をひっくり返す。

タグラインは“Presence. Redefined.”(A7が古くからある存在論を再定義する) ...大人の世界だなぁ。また、"The Economist"とパートナーシップを結んで、ブランデッドコンテンツを展開しているそうだ。"The Economist"のようなハイエンドなメディアがどんな企画を展開するか、とても興味深いです。

2014-10-13

Femvertising が大流行か?

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以前"女性ブランドにとってフェミニズム的ストーリーが流行?"や"女性に自信を持って生きることを呼びかける物語の重複"等のエントリーで"フェミニズム的ストーリーテリング"の流行について書いたけど、この趣向は女性をターゲットとするブランドに確かな効果をもたらすようだ。

女性のライフスタイル情報サイト"SheKnows"の"Femvertising"(フェミニズム広告)に関する調査(n=628)によると、52%の女性が広告に女性を応援する姿勢が見えるかどうかは購買行動に影響を与えると答え、43%がブランドを応援したい気持ちにさせると答えている。更に、25%が広告での女性の描き方が好きで無い場合は、その商品を使い続けないだろうと答えた。

また、92%が女性を勇気づける広告を少なくとも1つは知っており、その筆頭格が"Real Beauty"(Dove)。これは"あなたは自分が思っているよりも美しい"をテーマに昨年広告賞を多数受賞した作品だ。

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Doveは数年前からフォトショップを一切使わず、女性の本当の姿を描き始めて以降、セールスが25億ドルから40億ドルにジャンプアップした。

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Getty Imageの女性をテーマとしたコレクション"Lean In Collection"は2014年2月以降54%の伸びを見せている。

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Nikeは女性向けマーケティング強化の効果もあり、四半期ベースで15%の成長を記録した。

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その他、好意的なブランドは...

Always(P&G) / LikeAGirl。"女の子らしい"というステレオタイプに大人がはめようとするあまり、彼女たちは萎縮し、やがて自分らしさを失ってしまう...というテーマ。

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Panten(P&G) / Not Sorry。直ぐに"Sorry"と言ってしまう女性。もっと堂々と自信を持てばいいんだよ、というアプローチ。

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その他 Hanes, Olay, COVER GIRL, Under Armer, Searsが好感を持たれている。

調査結果の一部を以下に列記します。

  • 51%が女性を応援する広告が好きであり、性差別の壁を壊すことに貢献していると考えている。ある働く子育て女性によると"最近の広告は消費者はバカ扱いしており、そんなブランドの商品を買う理由は無い。男であろうと女であろうと、そういったチープな広告はやめるべきだ"と考えている。
  • 5人に4人はより若い世代にとって女性の存在をポジティブに描くことが重要だと考えている。圧倒的多数がキャンペーンにおいて女性がどのように見られているのかが、少女たちが自信をもって生きていくことに役立つと考えている。あるミレニアル世代(25〜34才)のママは"過剰なフォトショップ加工をするのではなく、本当の女性の姿を見せて欲しい"と考えている。
  • 71%の女性は女性向けブランドの広告は女性をポジティブにする機会として活用する責任があると考えている。
  • 94%の女性は、女性をセックスシンボルとして描くことは性差別問題にとって危険であると考えている。あるジェネレーションX世代(30-50代)のママは"女性向け広告の多くは性的魅力を強調し、それが女性の美と尊厳を描くことに繋がるという考え方だけど、これからはより知的でエモーショナルな部分をそれに含めるようにすべきだ"と考えている。
  • 75%は女性の日常的な姿を描くことに好意的であり、ミレニアル世代の学生は"男女の間で交わされる言葉や会話も、より現実的なものにして欲しい。女性を物として扱ったり、人間らしく描かないことはやめて欲しい"と語っている。
  • 89%は性差別問題は人権問題であると考えている。

"SheKnows"という女性のライフスタイルメディアの調査なので、信憑性に若干の疑問はありますが、17才のMalala Yousafzaiさんがノーベル平和賞したこともあって、ジェンダー問題は益々クローズアップされそうだし、そうなると益々"Femvertising"が増えそうで、ストーリーの重複、交通渋滞が激しくなりそうです。

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