週末の記録



土曜日は神楽坂へ。よく行く「あおもり北彩館」を覘いてから、近くの出店で「フランス風かき氷」を買ってみた。掛かってるのは赤いけど苺じゃなく、ワインのシロップ。生クリームと一緒に食べると、何となく焼きりんごみたい。

同居人の提案で、カナルカフェのボートに乗る。もともとそう暑くなかったけど、風が吹き渡って気持ちいい。デッキサイドに降りてピッツァマルゲリータハイネケンに、サングリアを注文…した所に雨が降ってきたので、パラソルの下に避難。止んでから、祭り直前の神楽坂通りをぶらついて、Paulの出店で銀河高原ビールとホットドッグを食べた。
その後、新宿に出てバルトで「コクリコ坂から」を観たんだけど、こんなに自分に合わない映画は久々。言い捨てるだけなのも嫌なので、後日何か書けたらいいけど。


日曜日は銀座へ。さくらでお昼を食べてから、シネスイッチにて「人生、ここにあり!」。立見も出るほどの混みよう。とても面白かった、感想を下に。
その後、鳩居堂本店へ。先日実家から香炉を持ち帰ってきたので、香木などを買うため。新宿に戻ってからも少々買い物し、帰宅。

遊雀玉手箱


三遊亭遊雀「蒟蒻問答」
三遊亭遊雀「野ざらし
春風亭昇太「オヤジの王国」
 (中入)
三遊亭遊雀「らくだ」


いつもはお辞儀した頭部からゲストを当てるのも楽しみだけど、今回の昇太は「デイビー・クロケット」&めくり&ハンチングで堂々の登場(笑)
中入前の枕では、なでしこについてとうとうと述べた後「でも笑点ではこんなこと、言いません!」といつものシメで笑いを取る。ネタは新橋に近い会場を考慮したのか?「オヤジの王国」。この噺、いつも「このおっさん、裸だよね?」と思ってたものだけど、今回初めてその問題が解決された(笑)


「蒟蒻問答」はきわめて「普通」。鯉昇のは「普通」でも最高に面白かったのを思い出し、へんな言い方だけど、遊雀さんの若さを感じた。
続いて乗り物ネタ、と思わせて「妄想」ネタの枕から「野ざらし」へ。後半の妄想シーンから乗ってきた感じ。暴れながら「昇太師匠の影響!」(笑)
中入後は袴で登場、終演時刻まで15分ということもあり?枕なしで本編へ。聴いたことのないタイプの「らくだ」。まずらくだの兄貴が全然怖くない…んだけど、要所で怖くなる(「ハイって返事が好きなんだ…返事は!」「ハイ!」)。遊雀さんのキャラクターを考えたらこれしか無い、という感じの演じ方。屑屋さんの変貌もとても丁寧に描かれており、面白かった。

大鹿村騒動記



楽しかった!私も婆さんになったら、原田芳雄と店の台所の小さな机で一緒にごはん食べながら暮らしたい。


おそらく前年の「大鹿歌舞伎」の模様に続いて、うねる山道を車の視点で村へ入ってゆくオープニングに、愛情のようなものを感じ、面白そうと思わされる。
第一村人はバスの運転手役の佐藤浩市。何だか違和感を覚えるのは、彼が「青年」役だから。しかし爺天国の中で、次第に瑞々しく見えてくる。これが「青年団」的マジックか(笑)
リニア誘致の会議において「若者を呼び戻す」という話題が出るので、過疎の問題を抱えているんだろうけど、瑛太らが登場することで、(映画を観ている間は)将来どうなるんだろうと考えずに済む。ただ、爺の伴侶である婆が出てこないのは少々不自然に感じられた。


ヒロイン・大楠道代の細いこと、並ぶと松たか子が一層、健康優良児に見える。佐藤浩市と同じ枠だから効果的だ。
大楠演じる原田の妻は「病気」によりぱけらったとしているが、「我に返った」時の声や仕草は「良妻」のそれだ。駆け落ち相手の岸辺一徳がつい口にしてしまった「嘘」の内容、「善ちゃん(原田)、お金のこと、全部彼女に任せてたろ?」というセリフ、また彼女自身が夫に漏らす「あの人は私を女として見てくれたから…」という告白などから、かつてはそれなりに苦労したんじゃないか、ぼけてやっと「ラク」になったんじゃないか、と思ってしまう。もっともこうした事情は、彼女が「悪い女」じゃないというエクスキューズにもなってるけど。


リニア誘致をめぐって小倉一郎と対立した石橋蓮司は、もう歌舞伎に出ない!と言い出す。「リニアと歌舞伎は関係ないだろ」「直接的には関係ないけど、直接に近い間接的には関係あるんだ」とのセリフが、その場では単なるギャグに感じられるんだけど、後々効いてくる。村は一つの生命体なのだ。タイトルは「大鹿村を舞台に起こる騒動」というより「大鹿村そのものの騒動」という意味だといえる。
皆の問題とリンクした内容の歌舞伎の見せ方もいい。90分の上映時間があっという間で、席を立つのが名残惜しかった。

人生、ここにあり!



「分かってないな、皆が反対するのは、君がしてきたことの成果じゃないか」



83年(作中「バック・トゥ・ザ・フューチャー」を観に行く場面あり)のミラノ。新法に基づく精神病院の閉鎖により、元患者達は協同組合に集められ、単純作業に従事していた。そうした組合の一つに派遣されたネッロは、彼らに「仕事をしてお金を稼ぐ」ことを提案する。


薬漬けで意に沿わない切手貼りなどをさせられている患者達を前に、ネッロはまず「組合員会議」を開く。いわく、このまま慈善事業という名の単純作業を続けるか、「市場への参入」に挑戦するか。この「市場への参入」が大ごとなのかと思ったら、そうではなく、作中重要なのは、組合員の持つ権利である「会議」…自分で物事を決めるということなのだった。


彼らの提供する「寄木貼り」には価値があるため、仕事の獲得はわりと順調に進む。しかし皆が世界を広げるのに伴い、様々な問題が起きる。
ネッロは仲間のため、世のためと頑張るが、恋人に「あなたは大きな事に気を取られて、人間が見えていない」と指摘される。実際、彼が「世の」精神患者のためを思っての提案は、仲間に反対される。「自分の生活」を始めたばかりの彼らにはまだ時期尚早なのだ。


「先生は仕事が僕達のためになると言った、それならセックスもじゃないか!」というのは笑いどころなんだろうけど、それは「対・人間」だからちょっと違うだろ、と思ってしまう(セックスそのものについての問題とは違う)。でもお金を介在させると、笑えるシーンとして済んでしまうんだよなあ。


仲間にはそれぞれ「得意分野」があるため、「黄金の七人」タイプの作品としても楽しめる。「理事長」はあのカッコ、お仕着せのままなのか否か、考えてしまったけど(笑)
やがて彼らの目は「外」に向けられる。最後に出た字幕になるほどと思わせられた。