週末の記録



土曜日は千葉へ出掛けた。目的は、先週「ボストン美術館展」で観てとても良かった曽我蕭白を取り上げた企画展「蕭白ショック!! 曾我蕭白と京の画家たち」。初めての千葉市美術館は落ち着いた感じで居心地よかった。旧川崎銀行千葉支店の建物を保存・修復したという施設低層部で記念写真。展示は時代順に多くの作品が並び見ごたえあった。お気に入りは鳥獣戯画、猿や馬の愛らしいこと。特に屏風画など、うまく言えないけど、一枚の中に色んなレイヤーがあるようで奇妙に面白い。



帰りに千葉の駅ビル・ペリエの地下食料品売り場でお買い物。前にも来たけど、地元のものが多く旅行気分でテンションがあがる。今更ながら、同居人の好物は幼少時に数年ながら過ごした千葉のものばかりだと気付いた。お酒からお菓子まで買い込みすごい荷物…って、私が持つわけじゃないけど(笑)写真は思わず駆け寄った「しっとりハムカツせんべい」。意外にも濡れせんべい風で、かなりしょっぱい。乗ったのはこれも初めての特急「さざなみ」。知ってるルートなのに、ちょこっとレールの位置?が違うだけで、風景も違い楽しかった。



日曜日は飛鳥山に出掛けた。目的は、ポスター見かけて興味を持った「澁澤倉庫株式会社と渋沢栄一」展。飛鳥山の3つの博物館のうち、本展開催中の渋沢史料館はこれまで入ったことがなかった。まずは旧渋沢庭園内の重要文化財、晩香廬と青淵文庫に閉館5分前に滑り込み。庭園美術館をコンパクトにしたようで楽しかった。タイルから薪つかみ?まで全てが素敵。展示の方は「日本の物流業界の原点を探る」もので、当時の倉庫業の様子が写真や映像で見られて興味深い。



帰りはせっかくだからと都電に乗って、王子駅前から東池袋四丁目に出る。お茶は西口のコメダ珈琲にて。レジ横で販売してるおつまみの豆に、新たに10倍サイズのものが出てたので買ってもらう。これまでの小袋と比べた写真。
その後、東武百貨店で開催中の「初夏の大北海道展」へ。ミセス・ニューヨークのマンゴータルトを食べて、銀座屋というお店で「インカのめざめカレーパン」など数点購入。どちらも美味だった。

早稲田こみちの会


柳亭こみちお菊の皿
宮田陽・昇(漫才)
 (中入)
柳亭こみち「百川」
 (5/11・東寿司)


10回記念ということで、ゲストは旦那のコンビ。まずは枕で「(後で)何でも聞いてください」と夫婦の話。「(コンビのどちらが旦那ですか、と聞かれることもあるけど)自分と似てる人とじゃなければ一緒になりません」(笑)
宮田コンビを見るのは久々、畳敷きの部屋で1メートルほどの至近距離で見上げる漫才って新鮮。夫婦ネタで結構ひっぱるのが面白かった。


こみちさんの「お菊の皿」はナマでも、昨年末に出た光村図書「飛ぶ教室」の付録CDでも聴いており、後者などとても固く、お客のいない場で落語をやるのって難しいんだなあと思ってしまったけど、この日の一席はとても楽しかった。そういや出てくる「客」は男ばかりだけど、おかみさん連中が「どこへ出掛けてるのか」とこぞって見に行くも「大したことない」と帰ってくる、というくだりは初めて(笑)こういうくすぐりも含めて、この噺っていくらでも自分の色が出せる、ポップになるもんだなあと思う。
中入後は珍しく袴姿で登場、とても可愛らしい。枕で「しじんけん」について、見たことがないと思い切った一言に好感(笑)後で同居人いわく「手の叩き方だけが(苛々してる感じが伝わってこず)勿体無かった」。こみちさんの手は小さいから、そういう空気を出すのも難しいかもしれないなと思う。

ル・アーヴルの靴みがき・その2



ル・アーヴルの靴みがき」公式アカウントで知った、「JUHA」(=「白い花びら」)というカフェに出掛けてみた。座ったのは窓際の、「街のあかり」のポスターの下の席。雨を感じながらトーベ・ヤンソン短編集を読む。


新宿に戻り、せっかくだからと?「ル・アーヴルの靴みがき」二度目の観賞。ホームの武蔵野館!で、カウリスマキを観られるなんて。サービスデーということもあってか満席だった。
(初めて観た際の感想
・前回書きこぼしたことなんだけど、マルセルが高級靴屋の店員に「テロリスト!」と罵られるのと、新聞で密入国者を取り上げたニュースに「アルカイダとのつながりは?」と見出しが付いてるのには、アキのヨーロッパ観とでもいうものを感じる。
・皆の瞳をよくよく見ていると、なぜか目に涙をたたえているような場面が多い。でも決して涙は流さない。「泣くだけ損だ」とは本作の決めゼリフ。
・マルセルがアルレッティをソファに運ぶ場面、彼女が病院の窓から外を眺める場面(アキ映画にしては珍しく眺めがいい!笑)、最後に彼が彼女を迎えに行く場面などで流れる音楽は、「ラヴィ・ド・ボエーム」を思い出させる。アキにとってああいうのが「フランスのドラマの音楽」なのかな。でもって音楽つながりで、展開を知って観てると、予告編に使われてるアコーディオンの曲は、まるでジャン=ピエール・レオーの出囃子のよう…いわゆる「出オチ」みたいなもんだけど。携帯電話、右手の人差し指一本で操作してた(笑)

幸せの教室



トム・ハンクスが製作・脚本・監督・主演をつとめた作品。低学歴を理由に解雇されコミュニティ・カレッジに通い始めたラリー・クラウン(=原題/トム)と、スピーチの授業を担当している講師メルセデスジュリア・ロバーツ)の物語。


予告編から受ける印象とずいぶん違う映画だった。よく分からないやつらがとりとめのない話を繰り広げる、学校ものって感じもしない、面白いわけじゃないけど、まあいっかと思う。最後にトムが言うように「君に会えた」んだもの。


思えばこれは、トム・ハンクスジュリア・ロバーツを笑顔にするまでの物語だ。前半は冴えない表情のジュリアにこっちもしょぼんとしちゃうけど(その代わり、瓶ごと入りそうな大きな口でクスリを飲んだり、車の中で大声でオペラを歌ったり、という魅力的な場面が用意されている)、最後には幸せそうな笑顔にほっとする。彼女をヒロインにしたのは正解だったと思う。しかしそれなら、トムの役の、ひいてはトムの魅力って何だったんだろう?前半ジュリアがシケてるのは、主に旦那のせい。彼女のパートナーをあんなひどいやつにしておいて、自分はそれと「正反対」のキャラ(「guy」じゃないやつ)としてくっつくなんて、少々釈然としない。


「サングラス映画」でもあった。主役二人はいずれもサングラスを掛けて登場する。トムはオープニングの仕事の時と、スクーターを運転する時に掛けるし、ジュリアは通勤の車から降りて教室に入るまで掛けたまま。作中トムのクラスメイトの恋人が、トムと彼女がいちゃついてる(ように見える)前でサングラスを掛ける場面があるので、何か見たくないものに対する態度なのかなと思う。そしてエンドロールでは、二人は揃ってサングラスを外し「こちら」に向かって笑いかける。


それにしても、トムがああいう住宅街で隣人と付き合ってると、いまだに「メイフィールドの怪人たち」(好きな映画!)をイメージしてしまう(笑)本作には、住宅街から、キャンパス、お店、街など、うまく言えないけど、トム・ハンクスアメリカ、みたいなものが全篇にあふれている。加えて「Yes,we are OPEN!」とでかでか書かれているがあくまでもお金を遣う側にしか開かれていないお店…に象徴される、ちょこっとの「今」成分、そして時代錯誤めいた味わいのエンドロール。


ジュリアが開口一番、講義に必要なものとして互いの「care」を挙げるのが、「大学」(この場合コミュニティ・カレッジ)なんだなあと思わされる。子どもには、子どもの側からの気遣いを「求める」ことはできないもの。またそれに欠く彼女の「現状」を表してもいる。夫は「俺は男だ!」と(本当に・笑)叫ぶが、彼女が彼を嫌うのは、男だからではなく、全く「気」が無いからだ。
また、知らずに観たところ、ジュリア以外の講師役がパム・グリア(授業場面は無し)とジョージ・タケイ(授業場面たっぷり!)だったのには得した気分になった。巨大化したパムは、お昼をサラダだけで済ます。ジョージについては、彼がああいう「普通」の脇役をしてるのって珍しいんじゃないかな?いずれにせよ、あの配役はずるい!スタートレックネタも一応あり(笑)