いろは丸事件、積み荷の銃は龍馬のはったり? 広島

http://sankei.jp.msn.com/region/chugoku/hiroshima/080412/hrs0804120310000-n1.htm

紀州藩の軍艦「明光丸」(887トン)と衝突、沈没したいろは丸をめぐっては、龍馬が船体のほか、積み荷の最新式銃などの補償をめぐって紀州藩と交渉。巨額の賠償金の獲得に成功しているが、これまでの調査では銃の部品はまったく見つかっていない。
このため、調査にあたった水中考古学研究所の吉崎伸理事(水中考古学)は「積み荷に銃があったとしたのは、補償交渉を有利に運ぶための龍馬のはったりだったのでは」と話している。

坂本龍馬に関心のある人であれば、必ずと言って良いほど知っている有名な事件ですが、現在であれば、

坂本容疑者については、紀州藩の軍艦「明光丸」(887トン)と衝突、沈没したいろは丸をめぐり補償交渉を行った際、積み荷の中に高価な最新式銃などが存在したなどと嘘を言って巨額の賠償金を騙し取った疑いが浮上し、紀州藩からの告訴を受けた東京地検特捜部が内偵を進めてきた経緯があり、坂本容疑者及び海援隊関係者数名について、近日中に詐欺容疑で強制捜査に着手するという重大な局面を迎えています。
騙し取った巨額の資金が薩摩藩長州藩などに流れた疑いもあり、本件は、京都政界を舞台とした大掛かりな経済事件へと発展する可能性も出てきています。

といったことにもなりかねないかもしれません。

前管区警察局課長を懲戒免職=官舎共益費着服−警察庁

http://d.hatena.ne.jp/yjochi/edit?date=20080413

前課長は2007年10月から08年2月まで、高松市内の国家公務員宿舎の共益費などを預かっていた通帳から引き出すなど10数回にわたって約67万円を着服。パチンコ代などの遊興費や生活費に充てていた。

私も、公務員時代、公務員宿舎に住んでいたことがありますが、一種の「自主管理」のような面があり、事件に追われて忙しいのに、当番にあたってしまい、夜中に隣近所の部屋の水道メーターを一つ一つ確認して水道料金を計算したり、草取りに駆り出されて敷地内の草むしりをしたりしたこともありました。今では懐かしい思い出ですが、当時は、身柄の満期も迫っていてこんなところで草むしりをしている場合じゃないのに・・・などと情けない思いもしたものでした。
上記の記事を読んでいて、なぜか、そういう昔のことを思い出しました。

悲惨事件審理、裁判員に「心のケア」…最高裁が方針

http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20080412-OYT1T00722.htm?from=navr

裁判員裁判の対象となるのは、殺人や強盗致死などの重大事件。刑事裁判では、検察側の冒頭陳述や被害者の証人尋問などで、残忍な犯行場面が再現されたり、遺体の解剖写真や傷口の写真が証拠として示されたりすることがある。
こうした事件を審理する裁判員の中には、ショックを受けて精神的な変調を訴える人が出てくることも考えられる。実際、模擬裁判に協力した企業からは「社員が心的外傷後ストレス障害(PTSD)になって職場復帰できなくなるような心配はないか」といった不安の声も上がっていた。

最高裁は、企業などを対象に心理カウンセリングの電話相談サービスを行っている民間のカウンセリング機関に窓口の設置を委託し、裁判員が裁判でショックを受けたり、不安を感じたりした場合は、いつでも電話相談ができ、経験豊かなカウンセラーからアドバイスを受けられるようにする。電話相談で問題が解消されなければ、臨床心理士医療機関を紹介し、予約も行うという。

「事件」、特に刑事事件では、人間の負の部分、残虐性、冷酷さ、醜さ、悲惨さといったことが凝縮して現れる面があり、通常一般人は、そういった世界とは無縁なところで生きているものですから、不運にも裁判員にあたってしまい、一生の間に見る以上の残虐で、冷酷で、醜い悲惨な人間の姿をこれでもか、これでもかと見せつけられれば、精神的におかしくなってしまう人が次々と出てきても何ら不思議ではないでしょう。こういったところにも、裁判員制度の問題点があると思います。
とはいえ、国民の多くが反対しても、問題点を次々と指摘されても、日本が勝ち目のない戦争に突入したように、裁判員制度実施は強行されるようですから、せめて上記の記事にあるようなケアは必須でしょう。電話相談やカウンセリング、治療程度で到底カバーできないような悲惨な例が続出することは確実と思います。

無銭宿泊に「無罪」地裁 「故意と認めず」

http://www.yomiuri.co.jp/e-japan/ishikawa/news/20080412-OYT8T00118.htm

判決によると、男は昨年10月18日、金沢市内のホテルで宿泊したが、所持金は60円しかなく、詐欺容疑で現行犯逮捕された。
しかし、男は「ホテルで女性と待ち合わせをしていた。利用代金は女性に払ってもらうつもりだった」として公判で無罪を主張。検察側は「女性との約束はなく、男の供述は信用できない」として、懲役2年を求刑した。
同地裁の竹内大明裁判官は3月28日の判決で、男がホテルの宿泊中に、利用代金の支払いのために金を借りる電話を知人にかけていたとして、「当初から無銭宿泊をするつもりでホテルを利用したとすれば行動が矛盾する。男の説明は合理的で自然」として検察側の主張を退け、無罪を言い渡した。

無罪判決後に、また無銭宿泊で逮捕された、ということで、無罪判決に対しても検事控訴があったようですが、この種の「ツケがきくと思っていた」「知人、友人が支払ってくれはずだった」といった弁解は、無銭飲食、無銭宿泊といった事案では、時々出ることがあります。
そういう弁解が出たから、即、犯意がない、ということにはならず、この種の詐欺事件で問題になる「支払意思・能力」の、特に支払能力の点をより深く掘り下げて考えて、利用者の立場(サービス提供者と顔見知りかどうかなど)、そもそもツケがきくような店かどうか、知人、友人が支払ってくれることの可能性、確実性やそのことを正直に話した場合にサービス提供が受けられる状態であったかどうか、等々を丁寧に調べて、被疑者からも騙された側からも調書化しておく必要があります。上記の無罪判決の理由をきちんと見ないと正確な評価は困難ですが、宿泊中に「金を借りる電話を知人にかけていた」ということは、そういう事実があったとしても、それだけ支払の可能性、確実性が低かったことの現われと言えるように思われ、犯意の捉え方がやや安易なのではないか、という印象は受けます。
詐欺事件というものは、なかなか難しいもので、詐欺の捜査、事件処理ができるようになれば検事としても一人前、と言われますが、一見、簡単に見える無銭飲食、無銭宿泊のような事案であっても、なかなかの難易度ということを、上記の事件は示しているように思います。

ビラ配布:解説 表現の自由、制限範囲明示を

http://mainichi.jp/select/jiken/news/20080412k0000m040103000c.html

判決はまた「表現そのものでなく、表現の手段が問われた事件」としてビラの内容を判断の対象としていないことを示している。だとすれば、広告など「商業ビラ」の配布が問題にされないのに、3人を摘発したことへの疑問は残る。捜査当局にはこれまで以上に公平かつ説得力のある権力行使が求められる。

最高裁で上告棄却となりましたが、この事件に対する感想としては、以前、

私的と公的の間
http://d.hatena.ne.jp/yjochi/20041229#1104253701

で述べた通りですね。
住居や建造物への「侵入」行為にあたるかどうかを、管理者の意思に基づいて判断するという最高裁、実務の多数説のスキーム自体は是認されるとしても、「意思」がどこまで明示されているかどうかという問題は常にあり、形式的に不特定多数の出入りを禁止する意思が明示されていたとしても、禁止されているはずの出入りが事実上野放しになっているような実態があれば、そういった意思そのものの存在が疑問視されることもあるでしょう。また、そういった実態に照らし、違法性のレベルで、可罰的違法性を否定すべきケースも、やはりあるように思います。
そもそも、日本の裁判所は、捜査機関の事件選択の恣意性について立ち入らないという立場に立ち(例外は職務犯罪を構成するような場合程度ですが、そこまで極端なことは、通常、起こらないでしょう)、我々は出された料理しか食べませんよ、出されるまでに捨てられたものは関係ないですよ、という、お気楽、無責任な裁判所になってしまっていますが、ピザ等の宅配チラシ、各種の商業ビラ等々、種々雑多なチラシ、ビラは放置される中で、政治的なメッセージを、特に、自衛隊の官舎に自衛隊の活動を批判するビラを配布した行為「だけを」ことさら取り上げ、立件した捜査機関の事件選択の恣意性について、最高裁は何ら立ち入っておらず、これが何も問題ではない、などという詭弁を受け入れられる人は非常に少ないでしょう。
裁判員制度で市民の感覚を刑事裁判に導入してどうのこうの、などと歯の浮くような美辞麗句を並べ立てても、こういうことをやっているようでは、国民に真に信頼される裁判所には永遠になれない、ということは、よく覚えておくべきではないかと思います。

塀に登っただけでも「侵入」罪

http://www.nikkansports.com/general/news/f-gn-tp0-20080411-347035.html

昨年10月の大阪地裁判決は「『建造物』には建物のほか塀や壁に囲まれた土地も含むが、塀や壁自体は含まれないと理解するのが自然だ」と侵入には当たらないとしていた。
この日の高裁判決は、土地と塀との境界線には言及せず「よじ登ったことは土地への侵入行為に当たる」と判断した。
判決によると、男は昨年1月10日夜、大阪府八尾市の八尾署で、捜査車両を確認しようとコンクリート塀(高さ2・4メートル)によじ登るなどした。

この事件の1審無罪判決については、

http://d.hatena.ne.jp/yjochi/20071016#1192492702

とコメントしたことがありますが、証拠を見ていないので今ひとつわかりにくいものの、これで「侵入」になるのか?という疑問は、やはり感じますね。
原審が理由をつけて判断したものを控訴審で覆す場合は、なぜそのような判断に至ったかを明示してもらわないと、今後の事件処理等の参考になりません。

ニュージアム:報道の博物館オープン−−米ワシントン

http://mainichi.jp/select/world/news/20080412dde041030051000c.html

名称は「news」と「museum」を組み合わせた「ニュージアム(Newseum)」。実物のベルリンの壁など歴史的事件にまつわる展示品や、過去5世紀の重大ニュースを伝える3万点以上の新聞紙面もあり、「報道の殿堂」として観光名所になりそうだ。

ワシントン、ニューヨーク、ボストンには、かなり前に行った後、行きたいと思いつつ行けずにいるので、そろそろ再訪したいと考えていますが、その際には是非訪れてみたいですね。