日毎に敵と懶惰に戦う

酒と食い物と美術と旅と横浜…などの記録。Twitterやってます @zaikabou

レインボーブリッジを歩いてお台場へ、そして噂の構造物を見に

凄い雷鳴で起床、今日も雨かあ。自転車で出かけられない。とりあえず横浜東口で血小板20単位献血、浜松町まで出て昼飯。夜、お台場に用事があって、自転車で行こうと思っていたけれど、このはっきりしないお天気ではナア。だから、せっかくなので、自転車だったら出来ないことをしましょう。というわけで、歩いてレインボーブリッジを渡ってみることにする。
芝浦付近の臨海部は、水門も多くて興味惹かれるんですけどね



…今日はそれは、まあ、ほどほどにして。ゆりかもめの高架下を辿っていくと、芝浦ふ頭の駅前でこんな看板が見えるから、歩いて渡るのに迷うことはありません。無料、自転車は禁止!このあとも『自転車禁止』の看板がシツコイほど出てきて、よっぽど、自転車で渡ろうという人が多いのかな、と

ほいで、ちょっと進めばもう見えてくる、レインボーブリッジどーん

ケーソンどーん

幾度と無く渡っている橋だけれど、こういう位置から改めて見たことって、あんまりなかったなあ。いいっすね。そして案内看板に従ってずんずん進むと

橋の真下に出て

ここからケーソンに付帯した建物の中に入って、遊歩道に向かうエレベータに乗るんだけれど、実はレインボーブリッジには歩いて渡るためのルートは2つあるのですね

サウスルートとノースルート。サウスルートは橋の南側を通るので、港湾部とかお台場とかがよく見える。ノースルートは橋の北側を通るので、都心の高層ビル群が良く見える。橋は、真ん中にゆりかもめ、その両側に一般道、さらにその両側に遊歩道という構造なので、一旦遊歩道に出ると、サウスとノースの行き来が出来ない(正確には、お台場側のある地点までできない)。
だから、ここでルートを選ばないとならんのです。そして、間に障害物がたくさんあるから、片方のルートからは、もう片方のルートの眺めはまったく見えないわけであり。ここが運命の分かれ道。ちょっと考えた末、私はノースルートにしてみました。深い考えではない。思い付きである。で、上がった遊歩道、これです。

横を車がびゅんびゅん通るので、音が相当うるさい。でも、眺めはさすがに良い


少し歩くと主塔の下に出て、そこは見晴らしの良い展望スペースになってます



レインボーブリッジの主塔の高さは120m。羽田空港の制限があるので高さは150mが限度で、船舶を通すために桁下の高さと主塔間の距離も確保しなければならず、設計は試行錯誤だったみたい

なんか、不穏な感じの雲が素敵…ほいで、主塔の真ん中を過ぎて

遊歩道もここで真ん中だ、と思ったらさにあらず。ずんずん進み、もう一つの主塔を過ぎて、さらにお台場側のアンカレイジを過ぎてさらに進んでも、遊歩道はまだまだ終わらない!

レインボーブリッジは、アンカレイジ間は普通につり橋なんだけれど、その両側の道路の着き方は両側でかなり異なっておるのだね。台場側のアンカレイジは海上にあって、その先にもさらに橋は続くのです。ノースルートを進んで、お台場側でちょっとサウスルートも…という、すけべい心を持っていた人、そんなに簡単じゃありません!(それは私だ)
ほいで、ゆるやかなカーブを描きながらだんだんと遊歩道を下っていくんだけど

あるところを過ぎると、いきなりフェンスが無くなって手すりが低くなるんだこれが

いや、見通しはいいんだけどさ、海面からまだ30mくらいあるし、結構こわいよ…

橋を渡ったらとってもワイルドな無法地帯に、ここは攻殻機動隊の出島か。なんつーことを考えながらしばらく歩くと、ノースルートとサウスルートの架け橋が!

いそいそと橋の下に張り付いた連絡通路を渡り、サウスルートへ。これは歩いても渡れる台場公園

台場側の主塔まであるいて、これは歩いては渡れない第六台場

台場側主塔からの眺め

概ね堪能して、ではこのまま、サウスルートをお台場へと進みましょう

ここがお台場側の出発点、ノースルートとサウスルートの分かれ道

というわけで、無事渡り終えてお台場へ。なお、渡り終えた方にご注意。ちょっと進むと幼稚園と小学校があるので、本気なカメラは持っている方は、あらぬ誤解を生じませぬよう、早めに仕舞っておくことをおすすめします…
さてさて、お台場まで来たからには、今、見ておかなければならないものがありますね!先日、ビッグサイトから見えた巨大構造物
http://d.hatena.ne.jp/zaikabou/20090505/1241660227
いったいなんだろう?と疑問に思ったら、id:j0hnさんがブクマコメで教えてくださって
東京港臨海大橋の海上架設始まる、約1500tの箱桁を一括吊り上げ|日経BP社 ケンプラッツ
おおこれだこれだ、と思いつつ、旅行中に読み逃したブログを補完していたら、東京エスカレーターのtamura38さん、なんともタイミングの良いエントリを書いてらしたではないか
旧東京エスカレーター
すごいなあ、インターネット。というわけで見にいかねばなりません。これがそもそもなんであるのか?についてはtamura38さんのところをお読みいただくとして(手抜きだ手抜きだ)、まあ簡単に言えば、トラス橋のバカデッカイ一部分を作っているんだぞ、と。とにかく見に行かねば
で、見に行くにあたって。tamura38さんのありがたい御神託に従っていくのが正解なのだろうけれど、ちょっと見てくださいこの地図
大きな地図で見る
トラス橋の構造部分を作っているのは東京ビッグサイトの先、鉄鋼ふ頭というところ。でね、この地図を見ていると、対岸の、フェリーターミナルがある埠頭から見てみよう、という気にはなりませんか。私はなりました。だったらレッツゴー!
『フェリーふ頭入口』の交差点を曲がって、ふ頭に渡る橋の上から、さっそく見えますこの勇姿

フェリーふ頭は、遠距離のフェリーが発着するふ頭であり、貨物の倉庫にもなっている。だから

こんなことになっているけれど、歩行者立ち入り禁止というわけでもなし、この先には一般客も利用するフェリーふ頭があるんだから、別に入ってもかまわんでしょう。ふ頭内には、コンテナが積まれていたり、こんな荷物の山が

国鉄って…いつから放置されているんだろう、このコンテナ

んん、ふ頭は面白いんだけれど、とは言え、トラス構造物を建設中のふ頭側の岸壁には近づけないのだよね…で、一番のベストショットがこれ。建物の間から見えた!

一応、この先のフェリーふ頭にも行きましょう

このフェリーふ頭から出るのは、徳島経由北九州行き、苫小牧行き、それぞれ1日1便。前はもっとあったみたいだけれど、今はこれだけ、だからターミナルも閑散としたもので。テナント募集していたけれど、こんなところに入るのかなあ…

ほいで、ここから見えた構造物はこんな感じ


んー、ちょっと遠いし、角度がよろしくないし、この構造物を見るためにフェリーふ頭まで来るのは、あまりオススメできないっすね…。とは言え、若洲と中央防波堤を結んで建設中の橋そのものがみえるので


これはちょっと収穫。もう少し眺めていようかとも思いましたが、その場に現れた男性が、椅子に座っていた疲れた感じの男性に『…変なプライド棄ててさ…みんな養わなきゃいけないもの背負ってるんだから…』『はい…』みたいな会話を始めたので、いたたまれなくなって去りました…
というわけで、こんどは素直に、ビッグサイトの先に歩いて行きました。うう、見えましたよ!

おお

すごい



すごいなあ。やっぱり、はじめからこっち来るのが正解だったなあ。ここで完成したら、さっき見た、工事中の現場まで運ぶわけですね。ほいで

輸送工事担当に、深田サルベージの文字が。以前に言及したことがあるんだけど
http://d.hatena.ne.jp/zaikabou/20051204/1133696758
この深田サルベージと言う会社は、起重機船をいっぱい持ってる会社なのですね。今回、1500tを一気に吊る工事になるので、おそらく
http://www.fukasal.co.jp/senpaku/1_musasi.html
このへんの起重機船が活躍することになるんでしょう。俄然、来年の工事も楽しみになってきました。トラス構造物の工事はまだまだ来年まで続くので、お好きな方はそんなに焦らず、見に行きましょう。そして来年の、構造物を吊る工事も見たいものだなあ

お台場の大きな虹

その後、日本科学未来館の常設を見たり、早めの晩飯をとったりしましたが、降ったり止んだりの雨の止み間に、青空が少し広がって

西日で建物がキラキラ輝いているようだなあ、と思っていたら

そのまま、お天気雨になってきた。不思議な天気だと感心していると、それはそれは綺麗で大きな虹が。

端から端までしっかり見えて、外側の副虹もちゃんと見える。わりと広角の自分のデジカメでも1枚で収まりきれなかったので、3枚で



綺麗だなあ…ちょうど、テレコムセンターにも虹がかかっていた

東京中から見えたみたいだね
http://urasoku.blog106.fc2.com/blog-entry-685.html

日本科学未来館で『科学で味わう日本酒』

日本科学未来館で行われた、『科学で味わう日本酒』というイベントに行ってきた。昨年、ワインで同じようなイベントを行ったらしい。今回、60人の募集に対して、234人の応募があったとのこと。運良く当選したので、行って来ました。
日本科学未来館は17時閉館で、イベントは19時から。通用口から続々入場して、夜の科学未来館の5Fカフェでのイベントです


座席に座ると、さっそく、日本酒が8種類、プラスチックカップに入れて運ばれてきます…実は、『W』は白ワインだったんだけどね

それにしても、なんだかいろいろごちゃごちゃと並んで、机の上が忙しないです…

今回の先生は、酒類の香味成分研究などを専門にしている、独立行政法人酒類総合研究所主任研究員の宇都宮仁さんと、 日本酒スタイリストの木村克己さん。木村さんは元はソムリエで、その後、日本酒の利酒師の資格を創設した人。
最初に、日本酒の香りについて。科学的にはガスクロマトグラフ質量分析計を使い、香味成分の分析を行うんだけれど、香りによって実際の強さと人間の感じ方には差がある。ほいで、日本酒の香りとしては200種類とか300種類とかあるのだけれど、評価するために、統一した官能評価軸が必要…というわけで、日本酒の香り評価には、以下の7つの香りを軸にします、というわけ。
それが、 バナナ・メロン/りんご・洋なし/アルコール・スパイス/木・草・緑/米・麹/カラメル・醤油/ヨーグルト・チーズ の7種類。今回、その香り成分の見本が配られており

さっそく、それぞれの嗅ぎ分け。ん、たしかに、はっきりとそれとわかる香り。で、これを元に、日本酒の香りを実際に利いてみましょう、というわけで。勿論、日本酒の香りはいろいろな香りが複雑に混ざっているんだけれど、今回は香りがわかりやすい日本酒ということで、イロハニの4種類が用意されていました。実際に香ってみると、イ・ロは所謂吟醸香で、イはバナナ、ロはりんご。ハは樽の香りがして、二は熟成させたあまーい香り、これはカラメル系か。うん、まだ香りはわかりやすいぞ。こういう香りが日本酒の瓶に表示されることはあんでしょうか?という進行役の人の質問に対して、木村さん『無理でしょうねえ…ソムリエ出身の私が日本酒の利き酒をするとなると、日本酒をワインみたいに変な表現で評価して!みたいな反発がありましたから』などと。
次に『甘口・辛口』について。まずは『ロ・ハのどちらが辛口でしょうか?』ということで、評価。ん、『ハ』と答えたけれど…。みんな評価が分かれているな。日本酒の『甘口・辛口』というと、所謂日本酒度が一般的な評価軸になって、とりあえず、日本酒度は表示されていることが多い。ほいで、この日本酒度、溶け込んでいる成分が重いほどマイナスとなり、溶けているのはほとんど糖類だから、マイナスになると甘口、と評価されるわけです一般的には。
ところが、今回の日本酒、ロは日本酒度+6で、ハは日本酒度+3。なのに、ハのほうが辛口に感じられるのはなぜなのか?
人間の味覚として、甘口辛口の基準になるのは、ほぼ、その日本酒の酸度と、含まれるぶどう糖の量であるとのこと。実は『ハ』のほうが酸度が高い。そして、比重は『ハ』のほうが重いのだけれど、ぶどう糖の量は『ハ』のほうが少ない。それで、『ハ』のほうが辛口に感じるのです、ということ

だから、日本酒度だけだと甘口・辛口はなんとも言えないのだね。こういう、酸度やぶどう糖が表示されているともっとわかりやすい、と。
さてはて、休憩時間となり、食べ物と評価シートが配られます


ん、ここからは本格的にテイスティング、食べ合わせの確認。なんだか『科学で』ってのとちょっと離れてきたような…。まあいいや。豆腐、コハダの昆布〆、チャーシュー、チーズと、日本酒3種類、白ワイン1種類の食べ合わせ。日本酒は1が香りが強めの吟醸酒、2が主張の強くない辛口の酒、3が個性の強い…山廃かな、というお酒。日本酒の銘柄は、先入観を持たないように…ということで、最後まで教えてくれないのです。
で、テイスティングするんだけれど、んん、豆腐が結構美味しい。いや、そういうことじゃなくて。食べ合わせてみると、ワインは合わせるものを選ぶけれど、日本酒は概ねなんでも合うなあ、というわけで。ほいで、何と何が合う、とわかりやすい話でもなくて。この豆腐、非常に大豆の味が強いなあ。チャーシューもタレが変わるとぜんぜん変わってくるし。
◎から××で評価して、参加者にアンケートをとる…という、非常に地道な作業を繰り返して。水溶性の日本料理が世界的に見ても特殊、みたいな話もあったけれど、概ね、日本酒っていろんなものに合いやすいですね、みたいな話にとりあえず落ち着いたわけではあります。
科学的に『食べ合わせ』ってどう評価されるんでしょう、という話になったけれど。白ワインの亜硝酸と魚のDHAが合わさると生ぐささが際立つ、とか、鉄が多いと魚と合わない…みたいな『合わない』話はわかりやすいけれど、相性が良い、ってのを評価するのは難しいですね、という話。

相性の傾向の違いに関するグラフが出てきたんだけど、ぶれぶれになてしまった…
そして、『美味しさ』の科学、という話になり

『おいしさ』を決定付けるのは、生理的欲求、幼児期の嗜好形成、情報による嗜好、やみつきになる薬理的嗜好。日本酒の場合、薬理的…という話になればアルコールはアルコールだし、幼児期の嗜好形成はあるはずない。情報による嗜好は当然あるでしょうね、ということになると、生理的欲求はどうなのか?というわけで

ラットに日本酒を飲み比べさせて、明確な差が出るか実験したようだ。そしてその結果、明確な差が出るようなのですね。ちなみに、ラットはともかく、蝿に飲み比べをさせたりするのは、お酒に関わる人がみんな一度はやってみるらしいですね。

あと、お酒の初心者群と経験者群の嗜好の違いを実験したものがあって、それによると、飲み始めてからある程度時間の経った初心者はラットと同じ嗜好を示す、とか、経験者はファーストインプレッションからのブレがない、などと、いろいろ面白い話がきけた。
で、お酒に酔わないようにするには…という話になったのだけれど、お酒は適量に、ちゃんぽんは止めましょう、冷酒が後から酔う…ってのは、温度が上がるまでアルコールが吸収されにくいため、酔う前に沢山のんじゃうからじゃないですかね、とか。当たり前と言えば当たり前なんだけど、そりゃそうだよね、って話。
あ、そうそう、お酒の銘柄は、最後に教えてもらいました。イ『黒龍 純米吟醸』、ロ『澤乃井 大吟醸』、ハ『菊正宗 本醸造樽酒』、二『華鳩 貴醸酒』、1『雨後の月 吟醸』、2『菊水 純米』、3『菊姫 山廃純米』、W『ロバートモンダヴビ ウッドブリッジ シャルドネ』。みんな、720mlで1200円くらいまでのお酒、ということで。大変面白いイベントでしたが、もうちょっと、『科学で味わう』の部分を強く押し出してもよかったかな、って気はします。