富士通さんの北米テクノロジーフォーラム

に参加してきました。sunnyvaleは北米富士通研究所の拠点です。

[www.youtube.com/watch?v=5xwwKK4cAHk:title=去年のビデオ]は


[www.fujitsu.com/downloads/SVC/fla/NATF2008FinalAgenda.pdf:title=プリゼン]は

[www.fujitsu.com/downloads/SVC/fla/NATF2008FinalTechShowcaseMap.pdf:title=デモ]は

で個人的にはHPCのハードの解とtrusted computing(まあ、スマートカード
バイオメトリックと小さなディスプレーがついたというところ。)が面白かった
です。偉いさんのお話はそれなりに面白かったです。

HPCは当然スパークですが、やっぱりすごいなと思いました。アプリとして
は仮想臓器なんぞがすごいですね。心臓の動きをシミュレートして診察に
役立てる。もともとは 独立行政法人宇宙航空研究開発機構用に作ったようです。
当然infiniBandを使用。CiscoがinifiBandを無視して、FSoEでスイッチを
開発するのは当然でしょうね。

trusted computingはスマートカードlinuxを乗せて、hypervisorで上にウンドウズ
VMを乗せてるんですね。

ストレッジの仮想化はiSCSIを利用して、富士通独自で、標準はと聞いたら(な
いのを知って聞くいやらしさ)、標準がないので、LinuxTCP/IPでアクセスした人用
とのこと。

なかなか、良くおやりになっているというか。。。もっとグリーンITの話が欲し
かった!!

Android/Gphoneの業界への影響

当初はアメリカでも日本でもGphoneの賞賛記事にあふれていたが、アメリカではこれが携帯電話業界にどういう影響を与えるのか、果たしてGphoneは業界を完全に変えてしまうのかという記事が出始めた。全てを読み考えるわけにはいかないが、かなり突っ込んだ解析をしている業界のアナリストの意見を紹介しながら、筆者の意見も述べる。

http://mobileopportunity.blogspot.com/ でRubicon ConsultingのMichael Maceのブログを元に話を進める。「筆者」とか「筆者が」言わない限りこれはMike Maceの意見である。ちなみに、Androidの宣伝ビデオはhttp://www.youtube.com/watch?v=6rYozIZOgDkでみることができる。まあ、これは宣伝だからあまり多くを読み取るとこはできない。

影響を論じる前にGoogleがOSの分野に進出した(しようとしている)ということが大きなニュースだと論じている。例えLinuxえを使用するにしても、そのままでは使えない、それなりの変更を加えなければなるまい。そういう意味では、OSの会社になることを宣言したという理解であろう。また、このブログで何回も出てくるが、今後の展開がGoogle次第だと何度も主張している。単にウエブのアプリを開発するのに比して、OSの開発・保守は決定的に違うと。。。

Mikeによる、Open Handset Alliaceの発表の要約は

1.Linuxベースのオープンソースだが、変更・追加・除去のコードは戻す必要なし。
2.アプリはGoogleが開発するが、それを搭載しても良いし、自前をアプリをバンドルしても良い。但しGoogleのをバンドルするとGoogleからコミッションをもらえるようだ。
3.有名会社が多数発表に名前を連ねているが、それ自体はたいしたことはない。しょっちゅうやる手だから。しかし、ハードの分野で3社(Samsung, Motorola, LG)は既にLinuxを搭載した電話を発売しているので問題はないが、興味深いことにHTCが名前を連ねているのはMSにとっては痛い。HTCはMSのOSを積極的に採用しているから。Operatorは世界中のキャリアが入っていてよい。筆者はVerizonやATTが入っていず、何故最近落ち目のSprintなのかと興味を持つ。ATTは競合のiphoneとの絡みでわかるが (Mikeの論旨を読むとこれは関係ないと言うことらしい)、何故SprintでVerizonでないのか。Sprintが落ち目だからGoogleと協業する必要が高いということだろうか。今日(11月12日)発表のAndroidのファウンダーのAndy Rubinのインタビューではiphoneは競合でないと分析し、特にATTとVerizonを招待しなかったわけではないと発言している。日本ではドコモとAUソフトバンクなし。
4.Android上のアプリはどれも同じセキュリティのレベル。現在多くのsmartphoneはアプリ毎に違ったアクセス・レベルを提供している。どうなるんだろうかとMike...筆者も変だと思う。
5.今日の発表(11月12日)ではAndoridは携帯電話に限らず、MID(Mobile Internet Device)に適応できるとのこと。

影響

MS:
MSのWindows Mobileのビジネスは当初MSが思っていたようには言っていない。tier-1の携帯電話製造社は乗ってこないので、アジアの小さな会社に照準を当ててきたが、どうもあまりうまく行っていない。そこへ持ってきて、この話である。Googleが成功すれば、Mobileだけでなく全てのCEにも影響が出る。MSは嬉しくない。。。。

Access:
自明のとおり、かなり苦しい戦いとなる。筆者も同意見

Symbian:
一概には言えない。Nokiaの動きに大きく左右されるだろう。Nokiaが使用し続ける限り、ビジネスは続く。ようやくSamsungMotorolaに認められてきた。そこへこの騒動でどちらもAndroid支持。日本ではSymbianが強いがここでもドコモとAUAndroid支持。ライセンス費は下げなくてはならなくなるだろう。Symbianの上にAndroidのアプリを移植するなどある得るだろうか。。。。それも可能性。。。

モバイルのアプリ開発者:
同じLinuxのプラットフォームでJavaベースのアプリであれば、今のような、Javaで書いても機器が違うと走らないということが減少する。

Apple/Blackberry/Palm:
に関しては、セグメントが違うので影響はあまりないと見ている。それはこのベンダー達はシステムを開発して販売するんで、ベースが違うと考えるからだ。筆者が見るこちらの報道ではGoogleのCEOがAppleのボードに座っているので、彼はボードから出るのかという話もあった。もし、その話が問題にもならなければ、Mikeの主張は正しいと思う。筆者はそれでも多少の影響はあると思うが、Mikeは屋台骨が揺らぐような影響はないと言ってると理解している。

一般の技術産業:
携帯電話で終わらず、他にも飛び火するだろう。スクリーンのあるもの全てに飛び火するだろう。

MikeはこのGoogleがちゃんとしたものを開発し、サポートした場合に限り上のようなことが起こると言っている。それと、MikeはこれはGoogleが作るOSのプラットフォームだと言っているので、確かに他の電話のように全部やるわけではない。あちこち、ちまたから聞こえてくる評価は18-24ヶ月経たないと本当にこれが成功したと言えるか分らないと。。。

Zeekay

危うし既存のソフトベンダー、オープンソースからの脅威

MySQL KKの社長のLarry Stefonicから転送されてきた記事は現在北米でオープンソースがどのように見られているか、また既存のソフトベンダーがオープンソースからの脅威をあまり感じていないことで、将来このオープンソースの傾向を取り入れられないベンダーは立ち行かなくなると書いている。ちなみにMySQLに対して3年半に渡り日本進出コンサルをして、辞めてからもFriend of MySQLとしてextended communityとして協力できるところはしている。

この記事はhttp://www.sandhill.com/opinion/editorial.php?id=157&page=1で読める。
逐語翻訳はしないが、以下は最近のSaugatuck社の調べを基にしている。要約すると。。。。

  • 2007年のエンタープライズで使用されるソフトの15%はオープンソースで、2010年にはその比率が20%に上昇する。まだ、オープンソースが既存のソフトベンダーの牙城を崩すというところまでは行ってないが、迫っている。。
  • オープンソースの影響は既存の商業ベンダーが思っているよりも大きい。知らないのは既存ベンダーばかり。毎日見る自分の顔で、頭の白髪は気づきにくい。しかし、去年の暮れにあった親戚に一年後また会うと向こうは白髪が増えたと驚く。そんなもんだと。。。
  • Saugatuck社の調べでは200名からのアンケートによると25%の人は新しいソフトの導入の際は必ずオープンソースを考慮し、40%はよく選定の枠に入れると回答している。50%は既に自分の会社で導入して使用していると回答し、60%はオープンソースエンタープライズへの重要性を認めている。既存ソフトのベンダーはこの傾向に気づいていないことが多い。
  • オープンソースの利点は、安価、変更可能、特定ベンダーに左右されないこと。既存のべンダーは最初の点ばかりみてオープンソースの市場があるのかと思っている。この3つを含めないとオープンソースからの挑戦に勝ち残れない。
  • その他コミュニティと連帯するビジネスモデルも追加することが非常に重要。コミュニティは、1)開発の時間とコストの削減、2)多くのコミュニティの参加者によるテストで、信頼性向上、3)多くのバックグランドの人からのインプットで、更に品質向上。という恩恵をもたらす。コミュニティの影響は重要なソフトをコモディティにすることに一番顕著に見れる。これはMySQLSQLのDBをコモディティにしたことでも良くわかる。MySQLOracleを決して敵とは呼ばないが、少しづつではあるが、Oracleの牙城を侵食し始めている。
  • オープンソースの波に乗れなかった会社の衰退。例としてBEAはweb application server の分野でApacheにやられ、また方向を変えたMiddlewareでもJBossなどに追撃されシェアーを減らした。オープンソースの戦略を取り入れ、コミュニティと一緒にやっていれば、Oracleからの買収提案を受けるまで落ちぶれなかっただろうに。BEAに限らずIBMでさえWebSphereに色々な機能を追加して、オープンソースからの追撃をはらおうとしている。
  • Saugatuck社は将来はmixed source (既存のクローズドソースとオープンソースの混合体)になると予想。2つの方向。1)自前のソースにオープンソースを混在させる、2)自前のソースの一部をオープンソースとして開放する。最近あまり調子の良くないPalmPalmはハードを扱うPalmとソフトのPalmsoftに分割後、PalmSoftは日本のAccessに買収された)は自前のソフトをオープンソース化するため、Directorのレベルの人を雇うべく筆者の方に話もきたが、組み込みの分野でのオープンソフトというのはLinuxくらいしか思いつかないが。。。どちらの方向を取っても、IPやライセンスの問題が生じるが、それを解決する手間を掛けても将来のビジネスには役立つ。
  • 今直ぐにオープンソースがソフト業界を完全に牛耳るとは思えないが、以上の傾向は続き既存ベンダーも3年以内にオープンソースを考慮したビジネス戦略を立てないと消滅するとSaugatuck社は予想している。

という事は、CitrixによるXensourceの買収のようなことが今後も起こるということだろう。JBossの買収はRedhatというやはりオープンソースの会社によるものであるので、少し色合いが違う。当然Xenをどうやって今までの様にオープンソースとしての地位を保障していくことが大切で、今後どうなるか注目したい。Oracleオープンソースに限らず、その買収への食欲はたいしたもので、今後とも多くのオープンソースの会社が標的になるであろう。

RedhatとNovellに対する特許侵害の訴訟

何らかの、訴訟が起こるかもしれないと思っていたが、やはり来た。このタイミングがどうも怪しいと複数の報道がある。

Matt Asayは自分のBlogでhttp://blogs.cnet.com/8301-13505_1-9796697-16.html、どうもこの後ろにはMSがいるのではないかと臭わしている。偶然とすればあまりにも都合の良い偶然? 例えば、

  1. このIP InnovationへMSの特許関係のGMが移籍している。
  2. MSのCEOがRedhatは特許侵害で、払わなければならないと発言
  3. この後直ぐにIP InnovationはRedhatと(多分Novellにも)特許侵害の文書を送りつけ
  4. 両者の反応を待たずに、特許侵害の訴訟で有名な東テキサスの連邦裁判所に訴訟を起す
  5. その日にNovellは免責条項を変更

更に、オープンソースの著名な弁護士であるMark Radcliffeも、この一連の流れを興味深いと自分のBlogで述べている。
http://lawandlifesiliconvalley.blogspot.com/2007/10/patent-troll-fire-first-volley-at-open.html
そしてこれが、オープンソースに対する最初の攻撃でこれからも続くであろうと予想している。ところで、「パテント・トロール(Patent Troll)」とは特許を買い取ってその特許を基に他社に訴訟を起し、ライセンス契約を結び、収益を上げる会社のことである。自分からは何も生産せず、特許を安く買い上げ、恫喝とも言える手口で、ライセンスを強要する手口は望まれる企業の姿とは言えまい。今度の場合RedhatNovellも大会社というよりは中堅なので、取り立てる金額もさほどではないのかと思える。やはりこれはオープンソースに対する挑戦とみるのが正しいであろう。

MSはLinuxが200以上のMSの技術を無断で使用していると再三主張してきたが、今回はMSと深い関係のあるIP Innovationから出てきた。MSが訴訟を起すのは非常に都合が悪いのでIP Innovationにやらせたのだろうか。そもそも、この特許はユーザ・インターフェース(UI)に関するもので当初はXerox Parcで開発され、多くのUIの基礎となっている。特許取得は1991年。どのような過程で、IP Innovationがこの特許を入手したか不明であるが。。。訴訟には倍賞金額は示されておらず、陪審員をいれた裁判を要求している。特許情報は http://www.google.com/patents?id=3tUkAAAAEBAJ&dq=5,072,412

この特許を読めば、今ちまたにある殆どのUIに適用されるのではなかろうか。1つのWindowsの中に複数のWorkspaceを持つことが出来るというものだから。つまり、Apple, MS, Linux/Unixを提供するベンダーすべてに適用される。Appleといえば、今年の4月にAppleが同社から$20Mの請求を受けて、法廷で争わず幾らか払ったとも報じられている。なぜAppleか分からないが、まずAppleに投げてどう対処するか見たという見方も成り立つ。Linux/Unixということであれば、当然X Windowsということになり、RedhatNovellのみならず、IBM, HP, Sunも当然対象になるはずである。

一度に訴訟対象を広げては、リソースの問題もあるのでやらないのかも知れない。また、既にこういった会社には通知をしているのかもしれない。だが、上場企業としてはこのような訴訟関連はSECへの報告に出さなければならないので、まだと見るのが妥当であろう。

ここで興味深いのは、この訴訟がどの程度にLinux潰しなのかということである。MSのCEOの最近の発言の後RedhatはMSの脅しに対して、安心するように発言しているが、このたびの特許侵害に関してはまだ発言していない。
http://cgi.itmedia.co.jp/g/02_0c0a072d11_/enterprise/articles/0710/11/news076.html
IP Innovationはこの訴訟に力と費やすであろうが、Unixにも波及するとなると日本の国産Unixベンダーにも火が飛ぶかも知れず、今後の展開が注目される。

gphone、Trolltech、OpenMoko

Gphoneの話があちこちで語られている。ただしこれらはまた聞きであるケースが多い。というのもGoogleはこの件で何も正式には発表していないからだ。最近(10月7日付け)のNY Timesの記事はこれまでのなかでは、一番詳しくGphoneに関して取材して報道している。これに沿って内容を紹介し、現在あるOSSの携帯電話との関係に付いて述べる。Gphoneの詳細は今年遅くに発表され、実際の機種は例年発売とのことだ。
http://www.nytimes.com/2007/10/08/business/media/08googlephone.html?hp

ところで、Gphoneという呼び方は少し違うのではないかと報じている。Appleが製造・販売しているiPhoneとは違いMobile Internetでonlineの広告を提供するもので、Microsoftが色々な携帯電話にWindows Mobileを搭載しているような形を取りたいようである。そうであれば、例えばMotorolaのモデルXXXはWindows Mobileを搭載しているということで、あくまで携帯電話はMotorola製である。同様にMotorolaZZZにGoogle製のアプリを搭載しているというのが、正しいだろう。更に言えば、Googleは自社のアプリが乗った携帯のプロトタイプのみを製造して、携帯ベンダーに提供して製造を依頼するようで、AppleiPhoneのように、自社で開発・製造とはならない。Google CEOのSchmidtがAppleのBoardに座っていることからも分かるように、Appleと競合となるような方向は取らないだろう。

GoogleはこのMobileのスペースに次の市場を求めている。この市場は今まで狙ってきた市場に比較して莫大な規模になると見ている。この市場に参入するため、自分の広告などのソフトがスムーズに動作するためのソフトとハードの環境を構築したいというのがその本心のようだ。これを成し遂げるためには、1)Mobile Windowsの牙城をopen sourceで崩し、2)キャリアからソフトウエアとサービスに関するコントロールを奪い去ることだ。今までの報道のなかでは、GoogleがMobile用のOSも自ら開発するというものもあったが、これはLinuxである可能性が非常に強い。現在ある携帯電話用のOSでopen sourceといえばLinuxしかないからである。これに付いては後にもう少し述べる。

キャリアは多くの資金を投下して、この市場を独占してきた。そのため、自前の解を持っており今更、Googleに市場を提供するはずはなくJumpTap社などのアプリを採用して、サーチやアプリを提供している。VodaphoneのCEOなどは既にGoogleのサービスのようなものはMobile市場に存在しており、ここでGoogleがこれ以上何をするのかと疑問を投げかけている。この記事ではMicrosoftは既に48の機器ベンダーと160のキャリアとMobile Windowsを提供する契約を結んでいるが、いまだにわずか1200万個しか出荷できておらず、smartphoneの総出荷量の10%にしか過ぎない。この様に、新たに参入する場合、莫大な時間と資金が必要となり、Googleといえどもそう簡単には行くまいという論調である。

しかし、Googleは周波数オークションの際FCCに一部をどのベンダーにも開放するという言質を取っている。更に、SmartPhoneのソフトを開発したAndroid社も買収済みである。Gphoneに既に2年間を費やしている。もっと言えば、確かにWirelessの分野は今までGoogleが関わってきた分野とは大きく違い、そう簡単には行かないと思われる。一番てっとりばやいのは、Googleによるキャリアの買収であろう。今はそういった動きはないが、現在Sprintの買収が囁かれており、金輪際・未来永劫ないとは言えないかもしれない。最初Googleがのし上ってきた時誰が現在のようになると想像できたであろうか。期待したい。。。。

ここで最後に少し、Linuxベースの携帯電話に付いて述べる。先日SdforumのEmerging Techという会合に行き、OpenMokoの話を聞いた。OpenMokoは当初台湾のFIC社で始まったプロジェクトだったが、その後FICがOpenMoko, Inc.としてスピンオフした。OpenMokolinuxをベースにした携帯電話のソフト(GPL)とハードから成り立つ。Linuxをベースにした携帯電話用の製品を発表しているところは、スタートアップのほかにもMotorolaがある。OpenMokoアーキテクチャはここに示されている。
http://wiki.openmoko.org/wiki/OpenMoko).これがユニークなのは、ソフトもハードもオープンであることだ。更にはTrolltech社のQtopiaがある。個人的にはGoogleは新たに始めないでこういった動きと連帯するのが良いと思うのだが、それぞれの動きにはそれなりの存在意義があり、最終的には統合は困難であるかも知れない。

WiMaxの行方,日米の報道の違い。

日米のITニュースを読み比べると中々面白い。アメリカのニュースの主なものはその日のうちに翻訳され提供されている。ところが、WiMaxの記事に関しては面白いことがある。

アメリカの論調では、WiMaxに関しての報道は圧倒的な賛成派と懐疑派に分かれる。賛成派はIntel(チップ) Samsung(機器)、Sprint (キャリアー)、そして懐疑派はEricsson、Verizon Wirelessと Qualcommが上げられる。WiMaxいけいけドンドンの論調の記事の多くはABI Research社によるWiMaxサポートの記事によるものが多い。懐疑派はWiMaxではなくLTE (Long Term Evolution)に賭けている。更にここに来てCiscoWiMaxの会社買収の噂が浮上している。

Sprintはアメリカのキャリアー唯一のWiMaxの推進派で2010年までに5500億円を投入すると発表している。ただし、これは先行投資であり、現在収入を得ることのできる携帯事業では収入が減少しており、WiMaxからの収益がまだ1-2年掛かることから、大株主がCEOのForeseeに対して不信任を突きつけ、その結果BoardがCEO解任を決定して、早ければ12月にも新しいCEOが任命されるのではにないかとWall Street Journalは報じている。ちなみに現在アメリカの人口は約3億人と推定され、携帯市場のシェアーはATTが6220万人、Verizonが6070万人そしてSprint がdistant 3rdの5360万人である。この差が埋まらないためSprintは4Gの解としてWiMaxを選択して今日まで推進してきた。今のところ新しいCEOがどのような方針を展開するかは分からないが、少なくとも今までのようにWiMAxを推進していくことはなかろうと思われる。WiMaxの展開にはキャリアからのプッシュが不可欠であり、Sprintの脱落は致命的ではなかろうか。

CiscoによるWiMaxの会社買収の噂は出ては消えているが、最近再現した。買収のターゲットとされている一番人気はWiMaxの会社の中でトップを走るAlvarion社である。しかし、その他数社も可能性があると言われていて、今回は数週間で決着がつくといわれている。Sprintが方向を転換して、WiMaxから手を引けばWiMaxの立ち上がりが遅れるだけでなく、アメリカでの展開に致命的な影響を与えるかもしれない。また、Sprintが方針を変えてもCiscoは買収を敢行するのかどうか疑わしい。そのため買収の決定も12月以降に延長されるのではないだろうか。

さて目を日本市場に向けると、日本でのWiMaxの記事は既に、WiMaxが勝ち組になったような報道で、むしろどこの会社がどこと組んでどうするという記事ばかりで、ほとんどLTEなどの競合や本当にモバイル版が実用に耐えるのか等の記事を見かけない。それとも筆者が見落としていることや日本特有な事情で既にWiMaxで決まりなんだろうか。