カオスの縁 ――無節操日記 このページをアンテナに追加 RSSフィード

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2016-05-17 天地乖離す開闢の星!

[] ギルガメシュ叙事詩 23:43  ギルガメシュ叙事詩を含むブックマーク  ギルガメシュ叙事詩のブックマークコメント


ギルガメシュ叙事詩 (ちくま学芸文庫)

ギルガメシュ叙事詩 (ちくま学芸文庫)


 古典読みキャンペーン継続中。これが文庫で読める幸福を噛みしめつつ。

 元が粘土板に刻まれたシロモノで、話に欠落も多く、特にvs天の牛戦とか良いところで本文が欠落しているのでもどかしい部分もありましたが、Twitterのフォロワーさんによると、その欠落部分がかえって想像をかきたてる部分もあるそうで、実に奥深いw


 とりあえずですね、まぁ読む前の脳内イメージは『Fate』シリーズに出てくる金ピカ慢心王なわけですよ(笑)。これはもう、あのインパクト大きすぎるんでしょうがない。

 ところが読んでみると、意外に英雄ギルガメシュの心情の揺れ動きの描写が細やかで、いつの間にか“あの”イメージから遠ざかっておりました。尊大に振る舞う事もあるけど、強敵を前に戦いたり、親友の死を哀惜したり、すごく表情豊かな英雄だった。特にエンキドゥとの友情描写が熱い。

イリアス』読んだ時も思ったけど、古代の叙事詩って時々ハッとするくらいリアルで写実的な心情描写が織り込んであったりするんですよね。フンババを退治しに行くというギルガメシュに、エンキドゥがフンババの恐ろしさを語って止めようとする。けれどギルガメシュの決意が固いのを見てエンキドゥがとうとう賛成に回るんですが、こんどは国の長老たちがまったく同じ言葉でフンババの恐ろしさを説いて止めようとし始めて、それを聞いたギルガメシュがエンキドゥと顔を見合わせて、思わず笑うんですよ。そこで顔を見合わせて笑う二人の情感がすごい良かった。


 一方、二人の敵として出てくる存在もいろいろ想像をかきたてられる面白さがありました。森の守護神フンババは、倒された後に樹木が多量の木材として運ばれたという記述がある事から、文明の開発に対抗する自然側の守り神っていう、まるで『もののけ姫』みたいな近代的なテーマにも読めてしまうような存在で。もちろん今日的なエコロジーのテーマをそのまま投影するわけにはいきませんが、しかし珍しい存在と感じました。

 その辺も含めて、なかなか刺激的な読書でありました。


 有名だけど読んだことなかった作品をまた一つ制覇したわけですが。しかしなんですね、終わる気が全然しませんね、これw

[] シュメール神話集成 23:43  シュメール神話集成を含むブックマーク  シュメール神話集成のブックマークコメント



 ギルガメシュ叙事詩を読んだので、ついでにこちらも読んでしまいました。こういうのは記憶が鮮明なうちにまとめてやっつけてしまうのが一番。


 まぁ、ギルガメシュ叙事詩に比べると、内容が雑多で、また見たことない神名、地名、人名、国名などの固有名詞が次々現れてくるなど、だいぶ取っつきにくい感じはありました。巻末解説と並行して読めばよかったのかなぁ。ちょっと失敗。

 とはいえ、「イナンナの冥界下り」や洪水神話など、いくつかシュメール神話のイメージを補強する内容に触れられたので、まぁまぁ有意義だったのではないかと。


 なにげに、病気平癒のための呪文なんかも収録されていて、面白かったりしました。そういうのって案外どこでも似たような感じになるのかな、というか。以前、中国の少数民族のそういう呪文をたまたま読んだことがあったのですが、「腹痛の悪霊、去れ」「頭痛の悪霊、去れ」みたいな部分はほぼ同じ趣向だったんじゃなかったかな。


 そんな感じで。細々とした読みどころを拾った感じですが、まぁ無駄ではなかったくらいの読後感でありました。

 さて、どんどん次。

[] 民間説話 23:43  民間説話を含むブックマーク  民間説話のブックマークコメント



 昔話の話の筋を分類整理する「AT分類」というのを知ったのは、実は今年に入ってからなんですけれども。そのAT分類の編纂者であるスティス・トンプソンによる昔話・民間説話学の概説入門書。非常に内容が充実していて、概説書として必要な事が余さず簡潔に説明されており、面白い読書でした。

 それにしても、AT分類や、同じトンプソンによるモチーフ分類なんてすごく重要で、よく参照される仕事なんじゃないかと思うんですが、これらそのものの日本語訳ってされてないんですね。意外に、この手の学術的に重要な仕事でも日本語で読めないというケース多いのかも知れないと思ったり。


 類似した筋の昔話が、互いに交流の無い離れた場所に、それぞれ独自に生まれることもある、という話があるわけです。ちょくちょくそういう主張を目にする機会があって、私も何となく、そういう事もあるかなと思って受け入れてきたんですが……しかし本書のように、各説話の筋ごとに徹底的に収集、地域ごとの分布を調べ、話の細かな差異ごとにさらに細かく整理して話型の伝播の経緯を推測する……というのをここまで緻密にやっているんだなというのを見せられると、まぁあまり気安く、下調べもせずに「没交渉にそれぞれ独自発生したんじゃないの」なんて言うわけにはいかんのだなぁ、と痛感させられたわけでした。

 とはいっても、著者トンプソンがそういう事を否定しているわけではなく、特に本書中盤の北米におけるネイティブアメリカンの説話を分析するについて、一部西欧の民間説話と似た展開を見せる話について十分な根拠をもって「互いの話が影響関係に無かった事は論証できる」と述べている部分もあり。だからそういう事はあり得る話だというのは本書も認めているわけですけれども。しかしそれはやっぱり、徹底して調べ上げた後だから言える結論なのだなという、そういう「推論の重さ」に関する認識を改めさせられたという感じです。


 他にも、北米の説話なんてなかなか接する機会がありませんのでそこもなかなか面白かったですし、総じてこの分野への知見を大幅に広げることができた、非常に有意義な読書でした。これから、いずれ『千夜一夜物語』なんかも読みたいなと思ってる私の予備知識拡充にもってこいの一冊で。

 ……しかし、それにしても同じトンプソンの「モチーフ分類」って読んでみたいですのぅ。うーむ。

 あと、本書の訳者注釈で、トンプソンが紹介している話型に近い日本の昔話が挙げられていたりするんですが、そちらにもけっこう知らないのがあって。日本の昔話も一回みっちりやっておいた方がいいなぁとも思ったりして……。

 さてさて。どこまで出来ますことやら。

[] 小規模マルチ日記:秘密基地的なアレ 23:43  小規模マルチ日記:秘密基地的なアレを含むブックマーク  小規模マルチ日記:秘密基地的なアレのブックマークコメント



 穴倉生活をしつつ、徐々に生存のための最低限の資源が整ってきたので、いよいよ仮拠点を作る事になりました。

 で、私が仮拠点作る場合、大体いつもそこそこ開けた平らな土地に、小さめのログハウス作るのがパターンです。今回もそうしようかと思っていたのですが……協力プレイの面白いのはこういうところで、弟氏の希望や展望を聞いているうちに、どんどんいつもと違う方向に計画が走り出したり。

 ちょうど、リスポーン地点からすぐ近くに、山岳地形の高台があり、その側面がちょっとえぐれてる場所があったわけです。そこにはめ込むような形で拠点を作ろう、という話になりまして。よっしゃそれなら拠点の外見は任せた、俺は採掘や畑づくりの準備するぜと言って作ってもらったところ、


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 こんな感じになりました。

 何というか、そこはかとなく……秘密基地っぽい!w

 いくつになっても心惹かれるわけですよ、秘密基地。シングルでこんな拠点作った事なかったんで、なかなか新鮮でございました。

 しかも、この拠点を軸に東方向へずっと山岳バイオームが続いていますから、採掘していれば自然とエメラルドも掘れるという、大変合理的な立地。


 さらに。いつも通り階段掘りで地下を目指していたところ、


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 わずか十数段下でスケスポに遭遇。

 この時点で、まだ鉄装備一式そろえられるほどの鉄が無く、おまけにバージョン1.9での戦闘もほぼ初体験という状態だったため、このスケスポひとつ制圧するのにエラい手間がかかりました。結局、私と弟氏と二人で各4回ずつ死につつどうにか制圧。とんだ大騒ぎでした。

 で、チェストの中身ですが……


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 ……あれ。金リンゴの出現率ってけっこうレアじゃなかった?

 拠点の真下でいきなり金リンゴに遭遇するという。なんか想定外の幸運に見舞われて戸惑う展開です。

 スケスポは後々トラップに改装すれば弓矢を標準装備にできるし、わりと順調なのでは……。


 しかも、後々判明する事ですが、この拠点のほぼ真下がスライム湧きチャンクでもあり。なんかやたら神がかった場所に拠点建てたっぽい。

 まぁ、序盤はちょっと順調すぎるくらいの方が楽しいからねー。


 そんなわけで、生活インフラを整え始めました。なんだかんだでこの段階が一番楽しい気もするマイクラサバイバル。次回はそんな生活インフラの紹介などなどのんびりやっていきたいと思います。

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2016-04-20 yahoo!

[] 実験医学序説 23:53  実験医学序説を含むブックマーク  実験医学序説のブックマークコメント


実験医学序説 (岩波文庫 青 916-1)

実験医学序説 (岩波文庫 青 916-1)


 なんか最近、人文系の本ばかり読んでいて、そろそろ少し理系の空気が吸いたくなったので手に取りました。実は以前たまたま松岡正剛「千夜千冊」でこれが取り上げられているのを読んでいて、ちょっと個人的に温めているテーマと関連が深そうだったので、いずれ手に取ろうかなと思っていたのです。


 もちろん医学は門外漢なわけで、どんなもんかなーと思っていたわけですけれど……結論から言うと大変に面白い本でした。

 一応有名な本らしいという事なんですが、どうなんでしょうかね。私は千夜千冊で見かけるまで知らなかったのですけど、そうでもないのだろうか。いや、タイトルに「医学」と入ってるんで、医学系の人しか手に取らなかったとしたら、大変にもったいないと、そう思ったからなのですが。

 「科学の考え方とはどういうものか」「科学的な方法とはどういう方法か」という事を、ここまで簡潔に説明した本は早々なかろうと思ったわけです。非常に丁寧でわかりやすいと思う。理系……そして人文系の人も、読んどいた方が良い本なのだろうと。

 端的に一般教養としてすげぇ大事な本だと思ったわけでした。


 科学の規範について述べているというと、一方ですごい堅苦しい本のように思えるわけですが、実際読んでみると案外そういう感触が無い。なんでかというに、ベルナールが根本のところで「実験者の自由」という領分をきちんと確保してるからなんだな、と思ったことでした。

 実験を行う際は、それまで自分が持っていた仮説や思い込みは捨てて虚心に起こった事をありのまま観察しなければならない。そこに観察者としての自由は無い。けれど、「どんな実験をしようか」という構想段階はどれだけ自由でも良いってベルナールは言うんですよね。既存の学説に反するからといって自分の構想を引っ込める必要も全然無いという。いざ実験を行う時に、フラットに観察ができさえするならば。

 なので、自説に固執するような学者には容赦ないけれども、どこか伸び伸びとした自由さが担保されてるように読めて、非常に心地よい読書感でした。そういうところも含めて、すごく良い本だと思った。


 また、医学関連の記述でも、けっこう面白い知見を得ることができました。特に生理学とかその辺の認識がかなりクリアになった感じ。

 動物の身体を「ミクロコスモス小宇宙)」と言ったりしますけど、あれってただの修辞じゃなくて、正に生き物の体の中というのは「もう一つの環境(ベルナールいうところの内界)」であって、そうした内側の環境を持っている事が生命の定義ですらあるという事なのだなぁ、と。

 無生物は、外部からの刺激を受けて、それに対する反応という形でしか運動することが出来ない。ところが生物は、自分の体の中で、血流や内分泌やホルモンや神経伝達物質などの「刺激」を自前でサイクルさせることが出来るので、外部からの刺激を待たなくても自律して動くことができる、ということなのだな、と。この認識一つで、劇的に「生命」に対する認識が変わりました。実にエキサイティングな読書になったという事で、嬉しい限り。

 本書は科学の本なのでこういう話を混ぜ込むのはどうかと思いますが……しかし、道教で人間の体の各所に神格と、神様が住む宮殿の存在を仮構する考え方なんかも連想してしまいます。脳とか内臓とか、体の各所に神様が住んでいると見て、しかもその住環境としての宮殿を人体の中にあると見なすんだよね。そのような「体の中のもう一つの世界」というイメージが生まれた源流に出会ったような、そんな気分にもなったり(笑)。


 そんなわけで、タイトルから想定してたよりはるかに有意義で楽しい読書でありました。

[] ガリヴァー旅行記 23:53  ガリヴァー旅行記を含むブックマーク  ガリヴァー旅行記のブックマークコメント


ガリヴァー旅行記 (岩波文庫)

ガリヴァー旅行記 (岩波文庫)


 引き続き、実は読んでなかった有名作品を地道に読んでいくシリーズ。実はこれも読んでいなかったのだ。

 幼年期の私の書棚には、親が揃えてくれていた世界名作童話シリーズがずらっと並んでいて、大体読んだはず。当然ガリバー旅行記もあったでしょう。

 そしてまた、原作『ガリヴァー旅行記』には『天空の城ラピュタ』の空飛ぶ城の元ネタ、ラピュータが登場する事も知っていたわけで、中学高校時代をジブリ作品マニアで通していた私がこの辺読んでなかったのは怠慢なのですけれども……。でも結局あのころ、こういう作品をほとんど手に取らなかったんだなぁ。ナウシカの元ネタナウシカアが出てくる『オデュッセイア』も一昨年まで読まないままでした。

 ようやく今、手に取ったぜ。



 小人国、巨人国のあたりは、比較的平静な心境で読み進めていました。

 リリパット国では、主人公ガリヴァーの行動よりも、ガリヴァーに対する小人国側の対応の描写の方が面白かったり。作者のスウィフトは政治家を志した時期もあったとかで、その辺の描写にけっこう具体性があって興味深かったりしました。領土で巨人が捕獲された国の安全保障シミュレートみたいな感じ。

 巨人国の方もそこそこ面白く読んではいたのですが、後から思えばこの辺までが小手調べだったのかも。

 ラピュータ、バルニバービ、ラグナグを巡る第三篇は、読んでいる最中はいまいちピンと来なかったというか、腑に落ちない感覚がありました。前二つと何か空気が変わった気はするのだけれど、何がどうとは言えないような。

 第四篇のフウイヌム国渡航記を読んで、ようやく第三篇の意図も見えたような気がしたという、私にとってはそんな読書でした。


 とにもかくにも、フウイヌム国渡航記の「ヤフー」には、やっぱり唸ってしまった次第で。小説でこれほどの衝撃を受けたのは久しぶりだったし、その衝撃が動揺を経て皮肉な形で腑に落ちていく感覚は、なかなか斬新な読み味でした。これは確かにすごい。

 そこで、第三篇以降、スウィフトが読者の価値観を圧倒的な力技で相対化していこうとしていたらしい事が見えたような気がしたのでした。バルニバービ国の研究所で、研究者たちがまったく将来性の無い珍妙な研究をしている……つまりそれは、研究を重ねる事でテクノロジーが発展して文明が「進歩」していくイメージの相対化だったのでしょう。その後、ラグナグに立ち寄って不死人たちを見て、年を重ねればそれだけ知恵を充実させてより賢い賢者になれるというガリヴァーの考えが否定されることで、個人にとっても「時間を重ねればそれだけ人は進歩する」という観念を否定されることになります。

 第三篇がこうして「進歩」を否定して、そして続く第四篇が人の「理性」を相対化していくという構想だったんでしょう。

 最終的にガリヴァーが「馬に話しかける変人」へ行き着くというエンディングも含めて、まったく圧倒されるテーマの突き詰め具合でした。


 第三篇読んでる辺りで、Twitterに感想ツイートとして「スウィフトの厭世観」という書き方をしたのですけれども、第四篇を読み終えてみると、同じ厭世でもそんじょそこらの世捨て人とは厭世具合のケタが違う……というのが正直な感想でした。

 まぁ、その厭世具合にまったく完全に共感したかというと、やはり少し距離をとってもいたのですが。作中、ガリヴァーがフウイヌムたちの徳を称える文脈でソクラテスに言及するのが印象的でした。確かに考えてみれば、フウイヌムたちの国の徳はプラトン『国家』をどことなく思わせる内容でもあり(生まれた子は国が管理するとか)。そうするとまぁ、私が『国家』読んだ時にどう感じたかという辺りが、そのままガリヴァーに対する私の距離のあけ方ではあります。

 その辺、ヨーロッパの理想郷の系譜にこの作品も連ねて眺めてみてもいいのかもな、と思ったり。


 ともあれ、想像していたよりはるかに刺激的な読書でした。読んでみるものですねぇ。

[] 昔話の形態学 23:53  昔話の形態学を含むブックマーク  昔話の形態学のブックマークコメント


昔話の形態学 (叢書 記号学的実践)

昔話の形態学 (叢書 記号学的実践)


 自分で調べた事を自分用にまとめたウィキをここ数年ずっとやっていたのですが。用語や固有名詞、国名や年号ごとに項目を立てる他に、最近「物語のモチーフごとに項目を立て、そのモチーフを含む話をメモする」というのを始めました。以前『グリム童話集』を読んでいるうちに思いついたことで、たとえば「動物の言葉を聞き分ける」とか、「人が鳥に変身する」といった項目を立てていくわけです。

 まぁ私は専門の学者じゃないし、このウィキも自分の創作に役立てるのが第一義なので厳密な分類とか網羅とかは最初から想定していません。気になったところだけを抜き書きしているわけです。


 とはいえ、こういう事を始めたにあたって、一応先人の取り組みというのを少しは見ておこうかなという気分になって、またちょうど今年に入ってから本書のタイトルを再三目にする機会があったので、思い切って手に取ってみたのでした。


 昔話の構成要素を、定項(コンスタント)と可変項(ヴァリアブル)に分け、定項である「登場人物の機能」だけに注目していくという発想はなかなか示唆的でした。主人公を助ける補助者は老婆バーバ・ヤガーだったり動物だったり色々あるが、主人公を補助する役目を負ってるという意味では変わらない。そして、魔法昔話において登場する機能の数は限られていると言い、さらにそうした機能の組み合わせによる話の構造はほぼ一つのパターンのバリエーションと組み合わせとして表現できるという、かなり大胆な内容でした。


 一つのアプローチ法として「こういうやり方もあるのか」という刺激はすごく受けたのですが、同時にこう、私の個人的な趣味との乖離もあって、微妙にもどかしい読み味だったというのも正直ありまして(笑)。

 バリエーション豊富な多くのものに共通の構造を見出そうとすればするほど、細部は落としていかざるを得ないわけです。本書であれば「可変項」としてその辺が早い段階で議論からそぎ落とされているわけですが。しかし実は、私が関心あるのはどちらかというとその細部の方なんですな(笑)。そこにちょっとした行き違いはありました。


 また(以下、おそらくその道のプロによりとうの昔に指摘されてるだろう話を、インプレッションだけで雑に述べるわけですが)、やはり様々ある魔法昔話を1つのパターンに落とし込めるというのは綺麗な結論ですが、正直さすがに分けた方が良いものも交じってない? みたいな感じも少々ありました。たとえば、本書では「歌う骸骨」系の話(主人公が殺されるが、主人公の骨を旅人が笛などに加工したところ、殺人者の罪を告発する歌を歌い始めて事が露見し、殺人者が処罰される)も魔法物語の機能で説明できることが示されてるのですが、大半の魔法昔話にある主人公の出立や、敵対者との対決もしくは難題の突破といった重要要素が含まれてないこの話を、一つに括っちゃって良いのかいなという感触はあったわけでした。確かに、こういう話ですら単一の機能群で記述できるのは凄いわけですけど、分類としては分けた方が色々見えるような気もする。


 あと、複雑に入り組んだ昔話は、こうした一連の機能が複数連結されていると読むわけですが、その「つながり方」にも分類が可能なように思えたわけです。話によっては、途中で主人公が変わるケースもあるわけですよ。本書では双子の兄弟のうち片方が危機に陥ったところでもう片方が駆け付けるタイプの話を扱ってますが、『グリム童話』なんかだと、主人公が美しい姫と結婚する事になるんだけど、それを実家に知らせに行ったところ魔法にかかって姫の事を忘れてしまって別な女性と結婚するなりゆきになり、今度は姫の方が主人公になって男の記憶を取り戻すって展開の話が複数ある。完全に途中で物語の能動的な中心、つまり主人公が変わるわけですよ。

 ストーリーにおいて主人公が変わるって、無視できない要素のハズで、そこはまた踏み込んで分類できる上位のパターンを用意した方がクリアになるんじゃないかなと、そんなことを考えながら読んでいました。



 まぁ、そんな感じでいろいろ思うところはありましたが、昔話という対象について考える時、見方を変えたい時の視座というか、角度の選択肢が増えたのは確かで、こういう読書もいつか役立つことがあるいはあるでしょう。そんな感じでした。

 さて、次も昔話関連の本を読む予定。

[] 小規模マルチ日記:realms始めました 23:53  小規模マルチ日記:realms始めましたを含むブックマーク  小規模マルチ日記:realms始めましたのブックマークコメント



 前々から、マルチプレイに興味はあったのですが、不特定多数の人たちが入るところだとどうにも煩わしく感じてしまう性質で。何度か誰でも参加OKのマルチサーバーに入った事はありましたが、大体短期間でやめてしまっていました。

 そんな次第でずっとシングルでやってきたわけですが、一人でやってるとそれはそれで、モチベーションの維持が案外難しかったりして。


 そんな昨今だったのですが、最近うちの弟氏がPC版のマイクラを購入したという話を聞きまして。まぁ身内でやるなら気心も知れてるし、良かろうと思って試してみることにしたわけです。

 で、Realmsのサーバーを借りました。

 自分でサーバー立てるのが環境的に難しいとか面倒とかいうのもありますが、実のところ、購入以来何度となく素晴らしいアップデートと届けてくれたマインクラフト、もう何年も遊び続けてて、正直コストパフォーマンス良すぎだろうと思ってた部分もあったわけですw 今後も良いアップデート来てほしいし、毎月少額をMojangに払うくらいでちょうどいいよなーと思うくらい、遊ばせてもらってますから。


 で、まぁそういうわけで、


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 原木伐採中の弟氏をパシャリ。

 マルチプレイで最初から、というのは初めてなので、ちょっと久しぶりに未知のゲームに触れるようなワクワク感。

 とりあえず最初は、リスポーン地点のすぐそばにあった小山に穴を掘って仮拠点にしておりました。


 バージョンは1.9。今までプレステ版しかやってなかった弟氏はもちろん、私もこのバージョンは初めてなのでいろいろ手間取ったり。特に戦闘とかな!

 とはいえ、平原スタートで、周囲に羊、牛、ニワトリがおり、木も生えているのでまずまずの恵まれたスタート地点でした。すぐ近くに山岳もあるので、エメラルドも狙えるし。

 とりあえず、小規模の畑作って食糧難を脱そうとあくせくしてみたり。



 うちのブログ、たびたびマイクラ記事が中断しては新しく始まるの繰り返しでどうにも申し訳ない次第ですが、まあこういうわけでまたしても、またしても最初からのスタートです。そういう性分なんでな、すまんなぁ。

 まぁでも、相変わらずこんな感じですが、これからまた始めていきますので、毎度よろしくお願いいたしまする。

 

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2016-03-15 何が君の幸せ 何をして喜ぶ 分らないまま終わる、そんなのは嫌だ!

 年初の目標で映画視聴と小説執筆を掲げましたが、気まぐれな小生、さっそく方向転換です。

 書籍からの情報インプットにあまりに興がのってしまったため、しばらく映画と小説はお休みしております。ちょっと思い切って『プリニウスの博物誌』買ってしまったので、ウキウキしながら読んでるところ。

[] 生きる 00:01  生きるを含むブックマーク  生きるのブックマークコメント


生きる[東宝DVD名作セレクション]

生きる[東宝DVD名作セレクション]


 黒澤映画。これも、「定番映画見よう」ってわざわざ取り組んでなかったら絶対見なかっただろうストーリーの話。24時間テレビとかでこのストーリーのドラマやりますって言われたら300%見ないなw


 序盤の入りにくさという意味では、ここまで見てきた黒澤映画の中で一番だったかもしれない。主人公にぜんぜん共感できなかったのですよねぇ。やりたい事が多すぎて時間がいくらあっても足りないと日々嘆いている身としては。

 なので、中盤くらいまで、もうこれ見るのやめちゃおうかなと思ってたくらい見るのがつらかったです。うーん。


 後半、ようやく主人公が目標を見出して頑張りはじめるわけですけど、それを主人公の葬式場面で進めていくわけですが……そちらはそちらで、なんか見てて、つらかった。


 自分の余命を知って、人生を閉じるにあたって何をしようか悩んでいた主人公がようやく目標を見出した、という流れなのに、結局ストーリーとしては日本の役所組織のダメっぷり批判みたいになっていくのが、なんかとてつもなくツラかった。これ、二重の意味でツラいんだよね。

 元々、黒澤監督の現代日本舞台にした作品は大体どれも気分的にツラいというのは過去の感想でも書いたのですが、要するに日本社会の閉塞感とかそういうのが純粋にツラいわけですよ、私も過去そういうのに良い思い出が一つもないわけなのでね(笑)。でも、そこを批判するだけが眼目の作品であるなら、まだマシというのはあります。その批判に頷いて見ていれば良いわけですからね。しかし、この『生きる』という作品において、そういう「日本社会批判」は、おそらく、ミスリードなのです。


 主人公の葬式の場で、公園造成の功績が主人公にあることを最初は否定していた同僚たちが、徐々にそれを認めるようになってきて、同時に主人公の努力、頑張りに気づいて感動して、「我々も同じように頑張らなければ!」って決意するんだけれども、後日談で結局元通りのお役所仕事に戻っている事が示されます。それで、やっぱ主人公はすごかった、みたいな印象を残して終わったように見えるんだけど……。

 しかし、後任の課長さんたちが失敗するのは、当たり前なんですよね。


 主人公が公園のブランコで歌を歌っている、有名らしいシーン。その場面を目撃したお巡りさんが、「主人公の様子があんまり楽しそうだったので」声をかけずに見逃してしまった、と言っています。

 そう。「楽しかった」んですよ。唐突に目の前に現れた死期を前に、自分のなすべきことが分からず惑っていた主人公は、最後に何かを作り、残すことができて「楽しかった」のです。その楽しさこそが彼のモチベーションだった。

 けど、主人公の葬儀の場で、彼の生前を思い返している同僚たちも、また主人公の最も近くにいた家族たちも、そこが見えてないという、残酷な脚本なのです。主人公がせっかく仕事に対して喜びを見いだせたのに、一緒に仕事をしていた同僚たちの誰一人として、その喜びを共有していないのです。

 だから、主人公を突き動かしていた「喜び」「楽しさ」というモチベーションを理解していない後任の課長さんたちが、同じことをしようとして失敗するのは、実は当たり前なんですよ。

 もうね、本当にツラかった。だから私にとって、この作品は「黒澤明監督作品の中でも特にヒューマニズムに溢れた作品」とかいう世評とはまるで逆の、恐ろしい日本的ディスコミュニケーションを描いた残酷な作品です。


 なんかさ、日本だとスポーツ選手の舞台裏を紹介するんでも、とにかく「血のにじむような努力をした」とか、つらい側面ばかり強調するじゃないですか。でも、本来、スポーツ選手がトレーニングをしているとき、肉体的な辛さ以上に「楽しさ」もあるはずなんだよ。目標に向かっている楽しさ、自分が前進している実感からくる楽しさが。

 実はその楽しさこそがモチベーションなのに、日本人ってなぜかそういう「楽しさ」には目を向けないんだよな、とずっと思っていました。そして、まるで「我々のために辛さをひたすら引き受けてくれた人」であるかのように英雄視して、祀りあげて、それを傍から見て「感動」する。でも、それって本当は貧しい見方なんだよね。


 ……というわけで、黒澤監督の現代日本を舞台にした映画は、見てて辛すぎるくらい、日本人のダメなところを浮き彫りにしてくる素晴らしい作品なのですが……うん、だから、見るのは辛いんだよ!w

[] 遊星よりの物体X(1951年版) 00:01  遊星よりの物体X(1951年版)を含むブックマーク  遊星よりの物体X(1951年版)のブックマークコメント



 タイトルとしては、後年のリメイク『遊星からの物体X』が有名ですが、本作は白黒時代のもの。

 あんまりスプラッタだったり怖い映画だったりすると苦手なんだけどなーとビクビクしながら見ましたが、まぁこの時代の映画はまだしも、過激さは抑えめなんで安心して見れます。


「ガイガーカウンターが激しく反応しています! 放射線量が高い!」 って言ってる場所に普段着でガシガシ近づいたり、「UFOが氷の中に埋まってます、爆破して取り出しましょう! あれ、UFOも一緒に爆発炎上しちゃった、てへぺろ」とかいう展開だったり、わりとゆるふわ系な描写で大変リラックスして見られました(笑)。中盤まで怪物出て来ないし。

 とはいえ、話の見せ場というか勘所は大変シンプルで、それがシンプルなセンスオブワンダーを感じさせてくれて、視聴感覚としてはとても楽しかったです。昔の映画のネタでは楽しめないという場合もありますが、逆に昔の有名作品は皆ネタがかぶるのを避けるので、古い作品が案外新鮮に楽しめたりするケースもあるんですな。まぁ、私がSFあまり詳しくないせいかもしれませんが、詳しくないせいで楽しめたなら万々歳ですから(笑)。


 そんなわけで、当初の心配とはかけ離れた、怪奇SFのわりにどこか牧歌的な空気を感じる、私好みの作品でありました。

 テーマ的に、「学問の発展や、ジャーナリズムによる報道の重要さもいいけど、緊急時には緊急時の対応ってもんがあるだろ」という辺りが強調されるのは、まぁ平和だからですよね。でも、あの科学者さんとか最近のハリウッド映画なら間違いなく死んでるキャラだと思うんだけど、なんだかんだ生き残るあたり、この時代の映画は優しいなぁw

 そんな感じでした。

[] アルゴナウティ00:01  アルゴナウティカを含むブックマーク  アルゴナウティカのブックマークコメント


アルゴナウティカ (講談社文芸文庫)

アルゴナウティカ (講談社文芸文庫)


 今年から岩波文庫縛りを緩めているので、こんなのも手に取ってみました。ちょうど復刊されたということもあり、アルゴー船の冒険譚を描いた叙事詩

 元々、アポロドーロス読んだ時に、ご存知ヘラクレスに竪琴の名手オルフェウスに、アキレウスの父ペレウスにと、有名人が多く集い、さらに水の上を走れるほどの俊足な英雄とか、千里眼で地の底すら見ることが出来る英雄とか特殊能力持ちもたくさんいて、さながら漫画ワンピース』か、あるいはアメコミアベンジャーズ』かというノリに感心したわけです。一度触れてみたかったわけでした。


 読んでみると、さすがに昨今のエンタメ小説ほど派手ではないとはいえ、各キャラクターが自分の能力や持ち味をいかして活躍してるし、エピソードもとんとん拍子に進んでいくのでテンポが良いんで、想像以上に「普通のエンタメ」として読めたのでびっくりしたのでした。これなら普通の読み物として、神話系詳しくない人にも勧められるかも。

 あと、何より、主人公のイアソンがちょっと気弱で頼りないという、この時代の叙事詩には珍しいキャラ付けされてるように読めるのが良いですね(笑)。金羊毛入手のための試練も、ドーピングでクリアしたり、あるいは船旅が行き詰って絶望して地面にうずくまりっぱなしだったり。なんか親近感わくぞ、という感じ(笑)。


 いくつか、資料としての面白い部分もありましたが、まぁ普通に面白い話、面白い小説を読んだような気分でした。

 こういうのもたまには良いですのぅ。

[] ローマ帝国衰亡史(1〜10) 00:01  ローマ帝国衰亡史(1〜10)を含むブックマーク  ローマ帝国衰亡史(1〜10)のブックマークコメント



 昨年9月から、コツコツ読み進めてたのがようやく終わりました。ついにやってやったぜ。

 古本屋で入手した岩波文庫で、中身が旧漢字、おまけに1冊あたりのボリュームも大きいのが全10冊。さすがに骨が折れました。他の本も並行して読んでいたとはいえ、まさか半年かかるとは……。


 本書の内容が、その後の歴史学の発展によりかなり更新の余地がある古い内容であり、またギボン個人の観点からくる記述の偏りなんかも散見されるという批判はネットで見かけました。そういう意味で、本書の内容を鵜呑みにしてそれで終わりというわけにはいかない。また、その「古さ」がどの程度なのかつかめていない私には、本書の情報をどの程度使って良いのかも分からないわけです。

 また、私は西洋史は今まで大の苦手にしていた次第で、本書の内容のうちどのくらいが頭に入ったかというと、おそらく1割にも満たないでしょう。

 それでも、これを読んだ事は決して無駄にはなっていない。それは確信しています。


 分かる分からないとは別に、一定時間、その対象に取り組んだっていう感覚は、それ自体が絶大な効果を自分自身にもたらすのですよね。自信がつく。

 高校で世界史の授業あったけど、ほとんど覚えていません。時代と共に国境線が、王朝がぐりぐり変わって、慣れない横文字の人名が大量に出てきて、ものすごい苦手なままこの歳になってしまいました。

 本書は何よりも、私の中の苦手意識を追い出すのに、最適だったと思います。とにかく、上っ面だけだろうと通り一遍だろうと、とりあえず知っていない事には興味も関心も持ちようがないというのがあって、本書はヨーロッパ史の「通り一遍」をインプットするには恐らく最上だったんじゃないでしょうかね。

 恐らく、今後私が読書をする中で、歴代ローマ皇帝や、ビザンツ帝国、トルコの王朝名、あるいは十字軍なんて文字を見かけたとしても、もう怖がりはしないのだろうと。今までは、そういうのでとっさに怯んだりしていたわけですが、多分、もう怖くない。

 この自信が欲しかったんですよ。これだけで、もう値千金なのです。


 また、内容とは別に、こんだけの長さの本を読めたっていう、ボリュームに対する自信にも、多分なっていくでしょう。全3巻くらいの本なら、躊躇せずに挑めるんじゃないかな、という感じ。

 前述の通り古本屋でこれを買ったのですが、全10冊のうち最初の1冊には開き癖も少しついてるし多少汚れもあったのに、2巻以降はまっさらに綺麗で、「あぁ……(察し」という状態になったのですよね(笑)。何となく、前の持ち主に勝ったぞ! 的な感興もありつつ。

 そんなような、充実感はかなり感じております。


 個別の感興については、まぁ並べればきりがありません。こんだけの長さですからね。

 ただつくづく印象深かったのは……1000年以上の期間を扱っていることを割り引いても、一体この本で言及された「殺害された人の数」って何億人くらいになるんだべ、という事でした。武装した兵士を除いて、単純に非戦闘員に限っても、とんでもない膨大な死者の数がゴロゴロ無造作に書かれている事に、わりと戦慄したんですよね。

 21世紀の日本という平和な国に住んでるのはもちろん、世界全体で見ても戦争法というもんがそれなりに尊重されてる時代に生きてるんであまり意識しませんでしたが、そういうのが無い状態ってこんなにシビアだったのだなぁ、と。そういう肌触りは、さすがに色々と考えさせられたのでした。

 そんな感じで。


 ゲームのミッションとかで、一つクリアすると挑戦可能になるミッションが新たに開放されたりしますが、私の読書において、本書を読んだことでトライ可能になった本や領域はおそらくとんでもない広範囲になるはずです。その事に胸を躍らせつつ、でも当面そこに挑むのは我慢して(笑)、引き続き基本図書を追う日々に戻りたいと思います。

[] エッダ 00:01  エッダを含むブックマーク  エッダのブックマークコメント


エッダ―古代北欧歌謡集

エッダ―古代北欧歌謡集


 書店店頭で見かけて、なんか放っておいたらそのまま品切れ絶版古書店でしか手に入らないコンボが発生しそうに見えたので勢いで購入。前々から気になっていた北欧神話や英雄叙事詩を収めた歌謡集です。


 単著としては、若干読みにくさはありました。大量の固有名詞、断片的なパートの集まりで、これだけで全体像をつかむのはちょっと辛いかも、という感じ。入門書や概説書を挟まずに原典に当たると、こういうゴツゴツした手触りで戸惑ったりすることがあるものです。


 とはいえ、読み味としてはなかなか面白かったですね。ようやく北欧神話に触れられたという楽しさもあったし、またエンタメ小説アニメ漫画で見かけた名前や用語が次々出てきて、あぁネーミングの元ネタがここだったのか、というのが異様にたくさんあったので。ギリシャ神話よりも多かった気がしますね(笑)。ラグナロクベルセルク、ヨーツンヘイムにヨルムンガンドユグドラシルフェンリル、と。この感想を書いている時点で放映中のガンダム作品『鉄血のオルフェンズ』の敵組織、「ギャラルホルン」というのも北欧神話からのネーミングなんですな。知らなかった。

 なんかこう、和製RPGや日本的中二病想像力の故郷に触れたような感触があって、なぜか懐かしいような気分にもなったりw


 英雄シグルズの話は、以前読んだ『ニーベルンゲンの歌』と同じ原型から派生した物語のようで、ある程度イメージを思い浮かべつつ差異に注目して読めたのも、結果として良かったと思います。


 なんかこう、北欧神話って想像してたよりも殺伐としてるな、とか、『ニーベルンゲンの歌』でもそうだったけど、ゲルマン系(って括りで良いのかな?)の神話や英雄叙事詩の、結末が破局で、しかもその破局を予言とかそういう形でたびたび予告していくこのスタイルは一体何なんだろうかなー、などと思ったり(笑)。


 まぁ、単純にいろいろと示唆も受けました。その辺はまた随時、自分用wikiに放り込んでいきたいと思います。


 そんな感じで。地味だけどまた一つ、重要なところを押さえられたのかな。またいずれ、機会があったら北欧神話ももう少し掘り下げたいところです。

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2016-01-21 エリックのスイトン・ジツ! ワザマエ!

[] スターウォーズEpisode7 フォース覚醒 23:33  スターウォーズEpisode7 フォースの覚醒を含むブックマーク  スターウォーズEpisode7 フォースの覚醒のブックマークコメント


 見てきました。まぁなんだかんだで気になったので。


 私はスターウォーズについては、エピソード1と、飛んで4〜6を見ていますが2,3は見ていない状態。結果的には、4〜6を見ていれば十分楽しめるのかなという印象を受けましたが、まぁその辺どうなのか。

 とりあえず以下、ネタバレ注意。




 これはとんでもない横綱相撲だぞ、というのが率直な感想でした。

 既に、スターウォーズという認知度の高い、評価も高い先行するストーリーがあるので、その先行する認知度の高い世界観、道具立て、キャラクターを贅沢に贅沢に使っていく感じ。悔しいけど(笑)、やっぱミレニアム・ファルコンが初めて画面に登場した瞬間に興奮しちゃうし、Xウイング初登場でワクワクしちゃうし、R2-D2起動で嬉しくなっちゃうのだ。

 その上で、「敵を裏切って味方側で頑張る男の話」とか「巻き込まれ方主人公の話」っていう王道ストーリーをテンポ良くまとめていく堅実さと、「ストームトルーパーの中の生身の人間」とか「女性ジェダイ」とかいうシリーズに対する新機軸も盛り込んでいくという。この、セオリーとセオリー外しのさじ加減も実によく出来てて、本当、その辺の作り方の安定感も含めて、こりゃ横綱相撲だよなぁと思ったわけでした。


 背景になる惑星とかも、今のCG技術ならもっと見たことも無いような風景、植生、見た目の舞台を用意できると思うんですけれども、大体地球上でロケした映像なんですよね(Twitterでそう書いたら、過去作でのロケ地をいろいろ紹介したサイトをフォロワーさんが紹介してくれて、想像以上にロケで撮影してたんだなとびっくりしたりもしたのですが)。

 その辺もまた、「スターウォーズらしいこだわり」なんでしょうねぇ。実際、CGをガンガン使いまくるよりも、そういう「ロケっぽさ」があった方がスターウォーズっぽい。


 ただ、以上述べたような事は、諸刃の剣でもあろうな、と思ったのも事実でした。つまり、「それでこそスターウォーズだ」と思ってくれるような、「スターウォーズらしさイメージ」が既にインストールされてる人と、そうでない人とで、この映画に対する感じ方、場合によっては評価もすごく大きく隔たってしまうだろうな、という事。

 本作を見るまでは、Twitterで流れてきた「あえて過去作を見ないで、エピソード7から見るのもアリだろう、新主人公の視点で作品に感情移入できるのは新しく見始めた者だけの特権かもしれないぞ」という意見にわりと賛同していたんですが、見終わって以降は、「これは過去作を先に見るべき」と思いましたしリアルで聞かれた時もそう答えるようにしました。もしかしたら、今作からスターウォーズに入門した人にとっては、微妙に食い足りなさがあったかも? と思ったり。


 まぁ、私個人は非常に楽しんだので良いんですけれども。

 印象に残ったのは、やっぱりカイロ・レンのキャラクターですね。敵のボスが頼りないっていうのも、既にダース・ベイダーの強烈なイメージが先行してあるからこそ投げられた変化球だよなぁ、と。その辺、人間味をあえて敵側に出すことで良い味になってるというのは結構感じました。ストームトルーパーもそうで、カイロ・レンが癇癪起こして暴れながら衛兵呼ぶ声を聴いて、ストームトルーパーたちが顔見合わせた後、思わず回れ右して帰って行ってしまうシーンで笑ってしまいました(笑)。その気持ち分かるぞ、と思うとともに、やっぱあのいかめしい鎧の下に人間入ってるんだなあと思わされる作劇です。

 今後、味方の新世代ジェダイが成長していくんでしょうが、それに合わせて敵側のカイロ・レンも歩調を合わせてパワーアップしていくのでしょう。その辺の脚本の工夫は素直に面白かったかなぁ。


 それにしても、『帝国の逆襲』でダース・ベイダー御自ら雪の惑星の反乱軍基地に乗り込んで来てたの見た時から思ってたけど……帝国側のボス、ほんとフットワーク軽いよなw


 一番気になった、というか分からなかったのは、レジスタンスとファースト・オーダーのパワーバランスですね。冒頭の過去説明文では、ファースト・オーダーはかつての帝国軍の「残党」と書かれてるんですけど、残党と呼べるほど敵側が縮小してるのに、未だに「レジスタンス」を名乗ってるの? という辺り。まぁ惑星まるごと超巨大砲にしちゃうような技術力が帝国軍側に残ってるなら、まだレジスタンス側も主導権を取れてないのかも知れませんが。


 まぁ、いろいろ思うところはありつつ、面白かったので次も見ることになると思います。とりあえず今回はこんなところ。

[] オペラ座の怪人(1925年版) 23:33  オペラ座の怪人(1925年版)を含むブックマーク  オペラ座の怪人(1925年版)のブックマークコメント


オペラ座の怪人 [DVD]

オペラ座の怪人 [DVD]


 白黒でサイレント映画な『オペラ座の怪人』。怪奇映画見るの、けっこう久しぶり?


 なんでしょうかね、サイレント映画で音声入ってないせいなのかどうか、役者さんが全員、すごいオーバーアクションで、大ぶりな演技のままテンポよく話が進むので、間延びせずに楽しく最後まで見ることができました。セリフが字幕として適宜入るのも良いテンポ作りになってて。ホラーと言いつつ、所作が大ぶりなせいでけっこう笑ってしまうところもあったりします。

 で、オペラ座の怪人ことエリックの隠れ家に仕込まれた数々の、忍者屋敷のごときギミック、道具立て、仕掛けなどなどが目まぐるしく作動して事態を動かすのも面白いです。なんかこう、一昔前のアクションRPGのギミックみたいよね(笑)。

 そんな感じで、音声による演出が封じられてる分、見た目に訴える様々な手練手管が存分に楽しめるわけで、非常に楽しい視聴でありました。


 視聴中何を考えていたかと言うと、まぁ、結局中盤辺りまで、かなり怪人エリックの方に感情移入してたんですよね、実は(笑)。これはもう、『キングコング』見てた時にコングに感情移入してたのと気分としては変わらないわけです。彼の悪事は許容はできない。ただ、外見で好かれることがほぼ期待できないだけに、それ以外で考えられるあらゆる事でヒロインの気を引こうとした挙句、ものの見事にドン引きされて恋に敗れていく、そのいじらしさに、何やらチクリとした一抹の同情というか、そういう感覚が残るわけですよw

 大体こういうキャラってそういう描かれ方したりしますよね。悪人に徹してれば良いものを、たまに真っ当な感情や行動を表に出したがために破滅したりするんだ。わりとそういうのに弱いのですよねぇ、私。

 実際、怪人の行動とかも微妙に憎めないわけです。水遁の術には大笑いしたし。ちょっとした所作が妙に人間臭くて笑ってしまったりする。

 怪人であるがゆえに、その行動のちょっとした滑稽さに妙な親しみ感じてしまうという意味では、『仮面ライダー』のショッカーの怪人に近いかも知れない(笑)。見終えて、何とも言えない気分になりました。


 古い怪奇映画って、どうも「割り切れなさ」が仕込まれてるような気がします。『フランケンシュタイン』もそうでしたが、あの怪物は社会一般の価値観から見れば共生する事はあまりにも絶望的なんだけど、あの怪物自体には「悪意」は無くて、また望んで生まれてきたわけでもない。単に意思疎通が出来ないだけだったっていう。

 本作の怪人エリックにも、やはりそういうニュアンスが載っていたように思います。中盤で彼の過去の犯罪歴が明かされるわけで、そういう意味では彼は「悪人」として描かれるけど、エリックがヒロインに抱いてる恋心は本物であることも本人が熱心に口にしているわけで。

 ……と書いているうちに、なんかスーパーマリオクッパ思い出してきたw


 なんか、そういう微妙な割り切れなさを、白黒時代の怪奇映画から感じることが多い気がします。シンプルに善悪で切れないモヤモヤとした感じも、怪奇の一部なのですかね。

 そんなことを思いつつ。

[] 西洋中世奇譚集成 皇帝の閑暇 23:33  西洋中世奇譚集成 皇帝の閑暇を含むブックマーク  西洋中世奇譚集成 皇帝の閑暇のブックマークコメント



 おととしから続けている古典読み、基本的には読んでなかったけどいつか読もうと思っていた名作古典を読むという取り組みなんですが、年初にあたってちょっと息抜きに、寄り道をしてみました。というわけで、ヨーロッパ中世の、不思議な話ばかり集めた奇譚集。

 まぁですね、もともと私は、妖怪だの怪異譚だの伝説だのの話を集めたり分析したり深読みしたり勘繰ったり、という辺りを興味関心の一番ベースのところに持っている、『宗像教授伝奇考』愛好者ですから。こういう本が面白くないわけがないというか、まぁホームグラウンドに久しぶりに帰って来たようなものです(笑)。実に楽しく読んでおりました。こういう本をずっと延々読んでいたいねw


 細かな発見はたくさんあったわけですけど、ちょうど昨年末読んだばかりの『アエネイス』の作者、ウェルギリウス中世イタリアでは完全に魔術師扱いになってるのとか、まるで日本の空海や行基のように温泉発見伝説が語られてたりとか、「どうしてそうなった」という話がゴロゴロ出てきて、実に面白い(笑)。

 他にも、柳田国男が触れてた「椀貸伝説」と比較できるのでは、と思えるような伝説があったりとか、いろいろ横断的に比較したいと思える話がいくつかあったりして、非常に刺激になりました。もちろん、地理的な隔たりを無視して似てるモノを安易にくっつけたらそれこそ宗像教授になってしまうわけですが(笑)。

 でも、そういう誘惑に心惑ってしまうこと自体が楽しいのだよw


 そういう関心を脇に置いても、純粋にイメージとして心躍る逸話もあったりして、読み物としても非常に楽しい本だと思います。

ペルシャには、セレナイトという、その光沢が月とともに増減する石がございます。

 ……なんて、もうこの一文だけで心躍るよね。これだけでもう、ファンタジーな物語とか作りたくなる。そんなイマジネーションの種としても、とても素敵な内容だったと思います。

 まぁ、時々キリスト教的価値観による説教みたいな内容も挟まるので、そういう関心で読んでる人にとってはところどころ冗長に感じる部分もあるかもですが、差し引いても余りある面白さだと思います。


 そんな感じで、大変楽しい読書でした。

 昨年、『グリム童話集』を読んだのを境に、説話のモチーフを核にして情報をまとめていく勉強法が分かって来たので、こういう原典を読むことの楽しさもだいぶ分かって来ました。なので現在、こういうの読むのが楽しくてしょうがないですねぇ。良い兆候なので、どんどん行きたいと思います。

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