カオスの縁 ――無節操日記 このページをアンテナに追加 RSSフィード

2115-12-31 ご案内のこと このエントリーを含むブックマーク このエントリーのブックマークコメント

『機動戦士ガンダムAGE』各話解説、全話完了しました。

下記の目次からお進みください。

『機動戦士ガンダムAGE』各話解説目次

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2017-03-18 信じようと信じまいと

 冬はバイタルが低下するのでどうにも色々捗りませぬ。

[] 失楽園(上・下) 23:20  失楽園(上・下)を含むブックマーク  失楽園(上・下)のブックマークコメント


失楽園 上 (岩波文庫 赤 206-2)

失楽園 上 (岩波文庫 赤 206-2)

失楽園 下 (岩波文庫 赤 206-3)

失楽園 下 (岩波文庫 赤 206-3)


 妖怪だの悪魔だの神話伝説だのにのめりこんでいた高校時代、「いつか読むぞ」と思ってた古典作品がいくつかありまして、その中でも大きかったのがホメロスオデュッセイア』、ダンテ神曲』、ミルトン失楽園』、ゲーテファウスト』。

 今回、ようやくそのうちの三つまで読んだぞ、という感じです。まぁ時間かかりましたが。


 正直な第一印象を述べますと……「これ、すっごい二次創作っぽさがあるな」でした(笑)。旧約聖書のスピンアウト二次創作。原典をリスペクトし、原典の記述を逐一参照しつつ、原典に書かれてなかった部分を(後付け設定まで含めて)想像力で埋めていくという営みが、とても熱烈な原作ファンによる二次創作っぽさを醸し出していて、ちょっと共感すら抱いてしまった感じがします。いやほんと。

 天地創造の際に天使ラファエルがどの辺にいたか、とか。なんかこう、親近感を覚える想像力の使い方なんですよな……。


 ダンテ読んだ後だからか、「あ、プロテスタントの価値観かなり強目なんだな」といったような事が感じられたのは、それなりに順番を意識して読んできた成果かなぁと思ったり。

 あと、太陽、地球、月と惑星に関する説明で、ちょっとコペルニクス地動説を意識して書き方が曖昧になってたり、天動説地動説両論併記みたいになってるのも面白かったり(笑)。その辺も作者ミルトンへの好感度が少し上がる所です。


物語の始まりが地獄に落とされた悪魔たち、ことにサタンが不屈の闘志を見せて再起をはかる段だったりして、正直途中まで悪魔側を応援しながら読んでました(笑)。なんかこう、『仮面ライダー』のショッカーとかを見る時のような、微妙な憎めなさがあって。回想シーンで、天使軍と激突して情勢不利になった時にまさかの新兵器の開発・投入を意欲的に行うあたりも昭和特撮における悪の秘密結社っぽい……(笑)。彼らの顛末、もうちょっとじっくり見たかったかも。


 まぁ正直なところ、私にとってキリスト教の価値観、考え方というのは未だにどこか遠い、カッコに入ったままの状態で、距離がある分だけやはり没入しきれない部分はありました。まぁ、そこを実感することも含めての読書醍醐味なので、とりあえず本書については一旦これで良しとしましょう。

 さて、どんどん先に行かねばなりません。次。

[] 西洋中世奇譚集成 東方の驚異 23:20  西洋中世奇譚集成 東方の驚異を含むブックマーク  西洋中世奇譚集成 東方の驚異のブックマークコメント



 正月あたりにぼちぼち読んでいた本。中世ヨーロッパの、真偽の怪しい胡乱でハチャメチャな書簡とかそういうアレ。まぁたまにそういうのを読みたくなるわけです。


 アレクサンドロス大王がアリストテレスに宛てた体の手紙とか、東方に存在すると考えられた伝説的な王プレスター・ジョンの書簡とか。中身については、奇想天外な怪物だのとんでもない派手な建造物だのという話。その辺は私の趣味として適宜眺めていたわけですけれども。


 呆れたというか首をひねったというか、感心したのは、こんな与太話の中でさえ、プラトン『国家』やトマス・モア『ユートピア』的な「倫理的に正しい理想郷」が登場して、そこには酒飲みはいません、嘘つきも一人もいません、云々とやることで、ヨーロッパ人らしいとでも言うべきか、なんというか……みたいな感想。なんなんですかねぇ。


 まぁ本書の内容自体は、私みたいな与太話好きが味読すればいいという感じの内容でありました。これ一冊でただちにどうこう、って感じではない。けど与太話も数を揃えて比較検討すれば、それなりに面白いものが出て来たりするかもなのだ

 というわけで、次。

[] 新・動物の「食」に学ぶ 23:20  新・動物の「食」に学ぶを含むブックマーク  新・動物の「食」に学ぶのブックマークコメント


新・動物の「食」に学ぶ (学術選書 37)

新・動物の「食」に学ぶ (学術選書 37)


 最近寝る前にちょっと古典じゃない系の本もちまちま読んだりすることがありまして、その関連で。

 あと、たまに自然科学分野に立ち寄りたくなるのですよな。


 実のところ、これ読み終えたのは本記事を書いているよりだいぶ前なので細部はけっこう忘れかけております(笑)。まぁでも、なかなかに面白かったと記憶。

 こういう本にちょくちょくと先入観や思い込みを正してもらったり、知識をアップデートしてもらえるのが楽しかったりするわけです。ニホンザルも含む猿の中には肉食する者もいるとか。同じ種類の猿でも住んでいる地域によって食べるもののレパートリーに違いがある=猿にも食文化がある、つまり文化を持つのは人間だけではない! とか。

 自分の狭い知見が更新される楽しさと興奮があるので、こういう本をたまに読むのがやめられないのでありました。


 重厚古典に比べると、比較的さらさら読めたわけで、古典読みに疲れた時のリフレッシュに良いですね。またこういう本を探してちょくちょく挟んでいくのも良いかも。

[] ネットロア 23:21  ネットロアを含むブックマーク  ネットロアのブックマークコメント



 これも就寝前の息抜きにちょこちょこ読んでた本。

 ネット掲示板などで語られる都市伝説を、民俗学の説話研究などと接続しようという試み。ネットでの都市伝説を収集紹介する本ではなく、それらを研究するための視点を充実させようという内容でした。


 まぁ、何と言いますか、本書に掲載されてる論考の初出はかなり古く、そのため話題の中心が2ちゃんねるだったりして。なんかこう、今さらスレッドフロート式掲示板の仕組みとそこでのローカルルール等について折り目正しく説明されると、こそばゆいというかモヤモヤするというか……という感想も正直あったわけですが(笑)。

 ネットはどうしても移り変わりが激しいので仕方ない部分もありますけれど……そういう部分を差し引いても、いろいろと示唆に富む面白い本でした。インターネットが登場した事で現れた、新しいメディアと機械とインターフェースだと思っていたものについて、より広い視野から、既存の延長線上にある想像力である、あるいは既存の分析方法を援用して考えることが出来ると示されることが、非常に刺激的で。

 たとえば長大なHTML上の文章が、テキスト全体を見渡すことが出来ずに順繰りに読んでいかないといけないという特徴を持つことについて「巻物と相似だ」と指摘されたりすると、思わず膝を叩きたくなるわけですね。そういえば画面をスクロールする、の「スクロール」には巻物って意味もあったのでした。

 他にも、様々な示唆を受けたり。


 とはいえ、こうして面白く分析されてみると、ではさらに最近出たばかりのネット怪談なんかも分析してもらいたくなるわけですよね。本書で言及されてるような怪談が主流だった時期から、また時代は流れて、さらにスマホやその他の新しいネット界隈のサービスが出て、それにまつわる新しい怪談も出てきてたりしますし。

 たとえば、SNSとスマホの位置情報を絡めた怪談。数年の間更新がなく音信不通だったとある人のアカウントから突然意味不明な書き込みが来て、その位置情報で現在地を見たら湖のど真ん中……つまり水の底だった……なんていう怪談もTwitterなどで見かけます。

 あるいは「きさらぎ駅」っていう、見た事も聞いた事も無い駅に突然着いてしまって、周囲は無人で何か不気味……という報告を、Twitterで写真付きでやっていくという怪談もあったり。

 なんというか、我々現代人が、新しい文明の利器やデバイスを次々手にして、そのたびにそれら新しい環境にマッチした怪談を生み出して怖がり続けてるという事に、何とも言えない面白味を感じたりします。

 この本の著者の人に、「きさらぎ駅」怪談の分析、やってほしいなぁ(笑)。


 古典縛りの読書も、もう3年目とかになると「最近出た本も読みたい」となるわけですが、一度古典から完全に離れてしまうと、逆に「古典を読むぞ」という気力がもう戻って来ない気がしてなかなか難しいところ。とはいえ、やっぱたまにはこういう本読むと楽しいので、たまに隙を見て読んでいきたいと思います。

 さてさて。

[] アイデア大全 23:21  アイデア大全を含むブックマーク  アイデア大全のブックマークコメント



 本書の著者である読書猿さんのブログはまれに読みに行ったりしていて、その方がついに著書を出したというので買ってみた次第。

 ジャンルとしては実用書、あるいはビジネス書ということで、普段ならまず手に取らないタイプの本なのですが、著者を信頼して手に取ってみて、見事に予想のはるか上の楽しい読書体験をもらったのでした。

 うむ、良い本だった。


 発想やアイディア、ネタ出しのための方法とか、その手の話は断片的に目にしたりはするし良く見るわけですけど、それらを人文学としての視野の広さで、数千年の射程でまとめなおし、体系立てて分類整理して見せた手並みが、流石というか何というか。方法論別にまとめられているから自分にあった方法を探しやすいし、また手広くカバーしてるから、目の前の方法に別な方法をミックスしてさらに発想を発展させるようなサジェストもできるという。

 ともかく、何かのネタ出しをする時に使えるツールが一気に増えて、なんとも心強い感じがした読後感でした。


 大体、実用書は普段読まないと言いつつ、一応小生、小説を書いたりもする人間なので、アイディア出しネタ出しの需要はあるわけなのですよね。なので、こういう形で強力な内容の本を手元に置くことが出来たのは非常にラッキーでした。うーむ、さすがの手際であります……。


 と、なんというかベタ褒めするしかなくてちょっと面映ゆい、そんな読書感想でした。世の中広いなぁ……。

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2017-01-07 えくすかりばーがらてぃーん

 2017年ものんびりマイペースに進めてまいります。どうかよしなに。

[] 2017年の目標 23:10  2017年の目標を含むブックマーク  2017年の目標のブックマークコメント


 達成されないことに定評がある年初の目標設定記事であります。

 まぁ、年初に決めた方向性そのものがキャンセルされることも多々あるので、意味あるの? という感じではありますが(笑)。一応やっておきますか。


 とりあえず読書ですが、例年通り60冊を目標値とします。去年は『文語訳旧約聖書』はじめ難物が多かったため大幅に下回りましたが、今年は今のところそこまで難物を読む予定はないので、もうちょっと健闘したいです。

 とはいえ、一冊と言っても薄い本厚い本あるんで冊数換算意味ないんじゃね? という話もあり、いっそページ数で目標立てても良いのでは? という話も耳にしたりします。余裕があったら今年、ページ数換算も試してみて、来年以降の目標に反映させても良いかしら……。


 あと読書関係でもう一つ、『プリニウスの博物誌』は今年中に読み終えたいですね。今ちょうど半分、全6冊中の3冊目まで終わってますが、これを最後まで。大判の本なので通勤中の持ち歩き用にはせず、自宅でチマチマ読んでおります。こういうのを読み進める時間もしっかりとりたい。


 自分用wikiは、今年は目標には組み込まず様子見で。しかし余力があれば、今年あたりから大学図書館へ出向いての情報収集を再開したいかもですなぁ。大学卒業生は半年五千円で図書館が使えるのだ。

 原典読みを進め、自分用wikiへの情報反映方法も拡張してきた今なら、以前より効率的に利用できるに違いない……。


 あとは、去年から始めた料理を続けていく事ですかねぇ。机の上でやる趣味の他にも、やはり何かスキルアップしていく趣味が一つくらいあっても良いし、料理はわりと性に合ってるようなので。ま、毎度おなじみの移り気が出ることもあり得ますけど、とりあえず続くところまで続けたいのじゃ。


 そんなところです。

 今年もアウトプットよりインプットを優先する地味な一年になる予定ですが、充実させていきたいと思います。さて、がんばんべ。

[] アーサー王の甥ガウェインの成長記 23:10  アーサー王の甥ガウェインの成長記を含むブックマーク  アーサー王の甥ガウェインの成長記のブックマークコメント



 たまたま書店で見かけて衝動買い。中世に書かれた、アーサー王伝説関連の騎士物語の一つということで。

 昨年、マロリー『アーサー王の死』を読んだことでようやく念願のアーサー王伝説に触れられたわけですが、それ以外にも関連する作品は色々あるようで。とりあえず日本語で読める形で手に入るのはありがたいなーという事で、読んでみた。


 物語としては、解説にもある通りわりとシンプルな貴種流離譚。特に難しいと感じるようなところもなくシンプルに楽しく読みました。

 そんな中、突出して面白かったのは、やはり話の本筋から外れて、中世ヨーロッパにその名を知られた焼夷兵器「ギリシャ火薬」の製法が事細かに述べられているところ。しかも、瀝青や硫黄など実際に有効そうな材料と、やれヒキガエルだのオオカミの睾丸だの竜の血だのといった怪しげな材料とが併記されていたりして、最近こういう中世の怪しいレシピ(魔女のつくる薬とかの記述でよく出て来る)をメモるのがマイブームな私をいたく喜ばせたのでした(笑)。その上注釈によれば、この部分はギリシャ火薬の製法に関する記述としては最古級のものの一つであるとかで。

 アーサー王伝説関連を軽くおさえる程度のつもりだったので、そんなものが載っているとは予想もしていなかったので驚いたわけですが。しかし、むしろそういう予想もつかなかったモノと不意に出会っちゃったりするのが原典を読む楽しみでもあるなと。


 アーサー王伝説という関連で言えば、『アーサー王の死』も本書も数ある作品の一つで、本書を読んだからとて全貌がつかめるわけでは無いのでしょうけれども。それでも、当たれる範囲で原典に当たっておくと意外に発見があったりするもので、なかなか楽しい読書でありました。敵に押されて敗走するアーサー王とかいう珍しい場面も出てきたり、本作ならではの場面もあるということで、作品ごと時代ごとのイメージの変遷も掴むのは大変そうです。

 まぁでも、とりあえずは作品単独として楽しみました。

 さて次。

[] 聖杯伝説 23:10  聖杯伝説を含むブックマーク  聖杯伝説のブックマークコメント



 昨年から『Fate/Grand Order』を遊び始めたわけで、これはまぁ、アーサー王円卓の騎士が重要人物として登場したり、ゲーム内用語として聖杯が登場したりしていたため、去年は例年になく「聖杯」という単語を見聞きした年でありました(笑)。

 それに加え、はじめてアーサー王伝説原典のひとつ『アーサー王の死』を読んだわけですけれども。その中で聖杯が登場するわけですが、その登場の仕方が想像とかなり違ったので、ちょっと興味を引かれたという事がありました。


 そんなもろもろで、久しぶりに古典読みキャンペーンから外れて、気の向くまま人文書を手に取って見たり。


 先に結論から言いますと、本書の人文書としての評価については、私個人の尺度で見る限りちょっと低めに見積もらざるを得ませんでした。最後の方、結論が聖杯伝説への考察から外れて現代文明批判とかに行ってしまったので、逆に学術書的な正確さをこの本から汲み出す事を断念せざるを得なかったという感じです。

 なのでまぁ、本書から自分用の勉強メモへ情報を移行するのはかなり慎重になるわけですが。そういう本だからといって、読んだのが無駄になるわけでもないのですよな。

 アーサー王関連の作品がどの国にどれくらいあるのか、といった辺りは本書で認識を改めた情報でした。原典だけを読んでると、逆にそのテーマにおける全景を把握するのに手間取ったりするので、たまにはこういう本で俯瞰してみるのも悪くなかったり。

 それにまた本書は図版も豊富なので、今まで文字でしかなかったイメージにかなり視覚的な情報がプラスされた分もありました。


 もろもろ含め、わりとそれなりに有意義に読めたのではないかと思います。まぁ、いずれより突っ込んだ内容の本にも触れてみたくはありますが。とりあえず今はこんなところですかね。

 さて、次。

ペン打ゴンペン打ゴン 2017/03/10 16:33 聖杯というと騎士ガンダムでも同じ題材の話がありました。
2010年代の通販限定販売のカードダス騎士ガンダムの新作で、わけあって王族の兄弟が聖杯を求める展開があったようです。
(僕はそのカードダスを買っていないので、詳細は確認できていません。)

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2016-12-31 2016年最後の更新

 今年はギリギリになりましたが、2016年最後の更新でございます。

 ぽつぽつと読書感想を置くだけのブログになってきましたが、まぁ引き続き、来年以降もたまに様子を見に来ていただければ幸いでございます。

 それでは良いお年を。

[] 2016年 19:46  2016年を含むブックマーク  2016年のブックマークコメント


 毎年恒例、年末の1年振り返り反省記事。

 今年も目立った活動をするでもなく、水面下でちまちま色々やっていた一年でありました。あと何年こういう感じで行くことになるか……まぁ、焦ってもしょうがないのでマイペースで。


      ○執筆・映画視聴など

 昨年、小説執筆を月末時間とって続けようと思っていたわけですが、気がつけばそちらは完全ストップになってしまっていました。

 また映画視聴も今年の初めごろに一旦ストップ。昨年からの流れがちょっと止まってしまった感じです。

 まぁ私自身は自分の移り気を知っているので動じませんが……しかし、小説を書くスキルはだいぶ低下していそうな気はする。その辺、どうしたもんですかね。悩ましいけど、一度になんもかも出来るわけでもないし、しょうがないかなー。



      ○読書

 今年読了した本は合計40冊。年初に立てた目標は50冊だったので、20冊足りない。ぐぬぬ

 まぁ、『ローマ帝国衰亡史』(旧漢字)の後半4冊、『文語訳旧約聖書』(文語)全4冊、ダンテ神曲岩波文庫版(文語)全3冊と、難物がいつになく続いたのでかなり苦戦した感じはあります。あと全冊読了してないから勘定に入れてませんが自宅でちまちま『プリニウスの博物誌』を読み進めてて、全6冊のうち半分の3冊まで読み終えてたり。また後述のように今年は自分用Wikiの編集方針をかなり変更・やり方を追加して、それに反映させるために以前読んだ本の再読もかなりやっていましたからな……『不思議の国のアリス』『鏡の国のアリス』とか、あと『論語』も頭からしっぽまで読み返したりしていました。その辺を加えて、まぁそれでも目標には届かんかな、くらいの結果。

 西洋古代のギリシャ古典辺りから読み始めた定番読みキャンペーンも、ついに中世からルネサンスの入口辺りまで到達してきました。まぁ本当はもうちょっと進むつもりだったんだけど。それでも、いずれ読もうと高校時代から思っていたダンテ神曲』をついに読むことができたり、重い腰をあげて『旧約聖書』を通読してみたら「ヨブ記」の迫力にびっくりしたり、『ガリヴァー旅行記』の想像をはるかに超えた厭世ぶりに驚いたり。なんだかんだで充実した読書でありました。

 この調子で来年は西洋近代文学にまで進出……といきたいところですが、先日古本屋で『プルターク英雄伝』全10冊とか買ってしまったので、時代的にまた後戻りする事になるかも……(笑)。


 まぁでも、なんだかんだで、この古典読みの取り組みも2年以上地道に続いております。早い段階で力尽きるかと心配もしていたんですが、そうならなかったのは何だかんだで楽しいからなんでしょうね。



        ○自分用wiki

 当初、一般名詞や固有名詞ごとに項目立てをするだけだった当wikiですが、昨年あたりから物語のモチーフごとに項目立てする領域を新設。

 さらに今年から、文章そのものを引用の形でメモするタイプの項目立てを新設しました。まぁこれ、口述するゲームシヴィライゼーション』やってて思いついたんですけど(笑)。

 理想は、どんなテーマ、単語持って来られても即座に3つくらい気の利いた引用文が用意できる状態。日ごろからコツコツと溜めて行こうかと。まぁ引用文の提示ってキザったらしい部分もあるわけですが、『シヴィライゼーション』で新しい技術開発した時にパッと出る引用文とか好きなので。まぁ、どう使うにせよとりあえず如何様にも動けるよう準備しておこうと思い立ったのでした。

 何より、これによって、文学とかエッセイとかもwikiへ反映するものが出来たことになります。少なくとも読書のモチベーションはかなり上がるのだ。


 で、そんな具合に新しい項目立てを作った結果としてwikiの項目数は劇的に増加、目標の500を越えて700項目ぐらい増えることになりました。とはいえ当初の想定と条件が違うので、目標達成に数えて良いのかどうか……。

 まぁでも、wiki関連については確実に充実していた一年でした。まだまだ地味な修業期間が続きますが、気長に続けていくことにします。



      ○ゲーム

 今年は例年になくゲームやってた気がする。面白いゲームが無いと、なんかゲーム情報サイトを未練がましくうろついたり新しいゲームにちょっと触っては離れて愚痴ったりするわけですが、いざ面白いゲームに当たると「メインの取り組みが進まない」と愚痴るわけで、我ながら難しい(笑)。

 今年はまず『シヴィライゼーション』にハマったのですよな。時間泥棒として有名なシミュレーションゲーム。個人的に『ギレンの野望』みたいな戦略シミュレーションには苦手意識の方が多かったのですが、本作は武力で相手を倒す以外にも、科学力を高めて、文化力を高めて、外交力を高めて、など複数の勝利方法があって、非常に肌にあっていました。いわゆる内政屋なので……w

 また、世界史知識がふんだんに散りばめられているところ、前述した要所要所に小洒落た引用が開陳されたりする雰囲気も楽しかったり。なんだかんだで色々試してみたりして、楽しみました。そうね、丸一か月分の自由時間がこれで飛んだかな……。


 そして今年の後半、ひょんなことから『Fate/grand order』に手を出してしまってさぁ大変なのであった。こちらは現在進行形で大変。よもやこの私がこんな必死にガチャを廻す日が来るとはな……w

 まぁ特にリセマラもしてないけど引きは良く、チュートリアルガチャヘラクレスを、その後数日で礼装月霊髄液を引いて不動の守護神が完成、さらにその後のクラス別ピックアップで見事にセイバー・アルトリアさんを引き、という感じで実に理想的な形で戦力が充実していったと思います。

 9月上旬から始めて、大車輪で育成とシナリオ進行を頑張った結果、どうにか終章レイドイベントに間に合い、エンディングを見るところまでたどり着くことができました。終局特異点イベントが年末にあって7章クリアが参加条件、と知った時点で5章終盤だったからね……ぶっ続けで6章7章を駆け抜けた時はマジで死ぬかと思いました。まぁでも、その苦労に見合ったプレイ体験をさせていただいたし、楽しかったので良しとしましょう。

 とりあえずまだ持ってないサーヴァントが山ほどいるので、無理にならない程度にがんばりますかね……。いやー人理を救うってお金がかかりますね(おい


      ○料理

 毎年6月ぐらいに連休とるんですけど、今年はどこにも行く予定がなく。さりとて何もしないのもなーと思って、ふと料理なぞ始めてみたのでした。

 前々から興味はあったし、このブログの草創期、一人暮らししてた頃にはちらっとやってたりしたんですけどね。今回再スタートを切ってみた次第。そしたら案外楽しくて、半年ぐらい、和・洋・中華といろいろ作って食べたりしていたのでした。

 自分用にちょっと辛めの中華作って舌鼓を打ったり、同居しているおばあ様のリクエストに応えてグラタンに挑戦して及第点もらったり、肉じゃがに挑戦して苦戦したり……なんだかんだ充実しておりました。素人でも案外美味しくできたりするし、また自分で煮物とか煮魚作ってみたりするうちに、今まであまり好きじゃなかった料理の味わいどころが分かってきて、この歳で新しい好物の食べ物ができたりと、やはり新しい事を始めてみると発見があるし、生活が変わるし、楽しいわけです。レシピ集なんかもなんだかんだこの半年で10冊くらい買ってしまった(笑)。

 休日の息抜きに趣味で作る程度なんでそこまで本格的でもないですが、これもやる気が続く限り、来年も続けてみたいなーと思える趣味でございました。さてどうなりますやら。

 


      ○総じて

 今年はかなりインドアで、去年にもまして地味な活動をしていた一年でありました。ひたすらインプットインプット。こんな調子で大丈夫なのかって不安もまぁ無いでもないですが、しかし確実に前進もしているので、じっくり取り組むことにしています。

 もういっそのこと30代の間は修業期間と割り切っても良いかもしれない。まあ、そうやっていつまでもスタート切らないのも問題なので考えどころではあります。

 まぁでも、それなりに充実しているから良いのかな。

 そんな感じで来年以降もマイペースで進めていく事にします。よろしければ今後ともご贔屓に。

[] 神曲 19:46  神曲 を含むブックマーク  神曲 のブックマークコメント


神曲 上 (岩波文庫 赤 701-1)

神曲 上 (岩波文庫 赤 701-1)


 先日『旧約聖書』を読んだ事で、ようやくいくつか、学生時代から「いつか読もう」と思ってた有名古典を読むための最低限の予備知識を得られたので、ガンガン進む事にしました。というわけでダンテ


 何も考えずに岩波文庫版を手に取ったのですが、これが事実上の文語訳でありまして。まぁそれだけなら無理して読み切ってしまう手もあったのですが、人物名がイタリア語読みになっていて、誰が誰だか分からないというところで決定的に躓きました。「カエサル」が「チェーザレ」になってるんだもの、初読では判断つきませんがな。そして、その辺の有名人物の名前を把握しながらでなければ作品全体の意図が分からないだろう事は序盤でなんとなく想像がついたので。

 というわけで、

 比較的平易な現代語訳かつ、詳細な注釈つきの講談社学術文庫版も用意して、交互に読むことにしました。お蔭で倍近い時間かかりましたが……(笑)。


 読む前の段階では、一抹の不安があったというのが正直なところでした。というのも、作者ダンテの初恋の人が重要人物として出て来るとか、ダンテの政敵が地獄に落とされてるとかいう話を耳にしていたからで、なんか私情や私怨が作品世界をせせこましくしてるのでは? という疑念があったわけでした。

 では実際読んでみたらどうだったかというと……せせこましいなんてとんでもない、むしろとんでもないスケールの大きさを誇る話だったので素朴にびっくりしたのでした。実際のところ作者ダンテの私情も私怨も入ってはいるのでしょうが、むしろこのとんでもないスケールの大きさの中ではそうした私情こそが実感をかろうじて持たせてくれるアンカーになっているような気すらしました。いやほんと、すごい。


 実際、読む前に想像してたのと実物とがこんなに違ったのも珍しい気がします。

 古代ギリシャ・ローマの文化が見直されたのがルネサンスだ、という通り一遍の知識から、それ以前は相当下火になってたんだろうし、『神曲』はキリスト教の世界観を描いた作品だと思ってたんですね。

 なので地獄編の早い段階で、アッシリアの伝説の女王セミラミスとトロイア戦争の主因を作ったパリス、エジプトの女王クレオパトラに円卓の騎士トリスタンというメンツが並んで地獄の責め苦を受けてるとかいきなり出てきて衝撃を受けたわけですよ(笑)。Twitterでその驚きをツイートしたら「まるでFateみたい」と言う人が続出したわけですが。

 とにかく、ギリシャ・ローマ神話の話題が縦横無尽に登場することにカルチャーショックを受けたのでした。それどころか、ダンテ自身が天国の様子を詩として表現する力を与えた前とアポロン神に祈るという一節まであって。

 どうも解説その他総合すると、まるで日本の神仏習合のように、ギリシャ神話の内容をキリスト教的に読み替えるというケースがあったようですね。まったく意外でした。おかげで、ダンテはあわやメデューサに石にされそうになったりなんだりの大冒険となり。なんかこう、慣れるうちにガイド付きでテーマパークを回っているかのような楽しい気分になってきたりもしました(笑)。


 天国篇では、これも想像してたキリスト教天国イメージと違った、太陽系の惑星巡りになっていて、しかもそこで太陽系の天体が天国の各階層として扱われている背景に、以前読んだアリストテレス『形而上学』を読んだ時に感心した、太陽系の天体とオリュンポスの神々を対応させていくロジックがある事も解説から察せられて、なるほどそうなってるのか! と膝を打ったわけでした。いやはや、背伸びしてアリストテレス読んだかいがありました。

 そういえばキリスト教神学とアリストテレスの関係性についてはぼんやり耳にしたことはあったわけですが。よもやこんなすごい事になっているとは。本書を読み進めるうちに、かつては戸惑うばかりだったキリスト教神学に、以前よりも触れられそうな気がしたりもして、そういう意味でも有意義な読書だったかなと思います。


 正直、本書の内容のうちどれくらい把握できたかといえば、おそらく二割にも満たないでしょう。当然の話で、本書はキリスト教神学やキリスト教史、ダンテの時代の政治情勢、ギリシャ・ローマの古典知識などが頭に入っていないと完全に話が通じないという内容です。少なくとも私は神学と中世以降の西洋史はさっぱりなので。

 とはいえ、古典作品というのは必ずしも初読で十全な理解を目指すようなものではない、特に本書のような大著であればなおさら、というのが私の基本スタンスなので、分かった範囲内だけでも楽しめた部分は多かったというのが素朴な感想なのでした。

 上記のようなギリシャ神話フィーチャーぶりもそうですが、地獄の底に到達したダンテたちの脱出経路、そこから見えて来るとんでもないスケールの世界像、特にコキュートスに閉じ込められたルシフェルを中心とした南北の反転が、物語の構造、意味反転の構造として面白かったのでした。


 これほどの大著ですから他にも個々の感心したポイントなどは列挙すればキリが無く。ともあれ、つくづく有名作品というのも実際に読んでみなければ分からんもんだと改めて思った次第でした。

 さて、とりあえずこいつを読み終わった辺りで2016年は一つの区切りになりますが、来年もガンガン進めていく予定です。

[] デカメロン 19:46  デカメロンを含むブックマーク  デカメロンのブックマークコメント


デカメロン(上) (講談社文芸文庫)

デカメロン(上) (講談社文芸文庫)


 ボッカッチョの、これも名前はたびたび聞いたことある有名作品。とりあえず読んでみたわけですが。

 講談社文芸文庫版で読んだのですが、こちらの版だとかなり中身が省略されていて。1日に10人が一つずつ奇譚を話してそれが全10日という構成なのですが、そのうちの丸々1日分が略されていることもあったりという感じ。

 これでも「枠物語」としての全体像は把握できはしますが、やはりどうせ読むなら省略無しで読みたかったなぁという感じではありました。ちょっとその辺拍子抜けかなぁ。


 印象に残るのは、やっぱり艶笑譚ですよね(笑)。直接的な表現こそなけれ、かなり明け透けな下ネタトークが頻出してきて、最近こういう艶笑譚を読む機会なんてあまりありませんでしたからなかなか新鮮でした。

 まぁもちろん、単に散漫とそういう話が散らしてあるわけでは無いのでしょう。恐らく極めてベタな読み方ですが、冒頭、猖獗を極めるペスト流行の惨状を描き、そうした背景の中であえて若者たちが艶笑譚に花を咲かせるというのが、エロスとタナトスの対比になっているわけですよな。圧倒的な死に取り巻かれているからこそ、性(=生)を大らかに肯定できるバランスになってるのかなと思ったりはします。

 そういう特殊な条件下での共同生活という、特異な設定の緊張感が背景にずっと流れていて、単に個別の話を並べるだけにならない効果をあげている辺りがやはりさすがだという事なのかなと思った次第。


 まぁ、とりあえず今はそれくらいの理解で次へ行こうかと思います。いずれ機会があれば、省略されてないヤツを探して読んでみるかも。

[] メルヒェン 19:46  メルヒェンを含むブックマーク  メルヒェンのブックマークコメント


メルヒェン (新潮文庫)

メルヒェン (新潮文庫)


 やんごとない事情で、ちょっと寄り道してヘルマン・ヘッセ


 うーむ、アンニュイな作品集でありました。

 なんだろうなぁ、十年以上前、学生の頃に読んでたら絶賛してたんじゃないかな、という読み味(笑)。ほのかな幻想味と、童心礼讃、戦争嫌悪。うーん。

 もちろん、今でもそれらを良さとして受け取る感覚がまったくなくなったわけではないのですが……たとえば本書所収「アウグスツス」や「アヤメ」なんかも素朴に良い出来の短編と読む気分もあるんですけど……うーん、私も世間ずれしたってことなんですかね(笑)。

 たとえば「別な星の奇妙な便り」なんかが顕著なんですけど、納得しきれない気分の方が強かったのですよな。「戦争をする心性」を外のもの、理解できないもの、自分とは縁のないものとして描く限り、戦争という人類の行為にたいするアンチとして弱いだろうと今の自分は考えるので。この作品のテーマ的な強さに共感できなかった部分があったりするわけです。

 まぁでも、巻末の解説によればヘッセ自身がナチスドイツに追われる経験などもしているそうなので、あまり即断すべきでは無いのかもしれないですが……。私にはそうした経験がまるで無いわけですのでね。


 なんかこう、煮え切らない感想にはなっていますが、個々の表現から受けた刺激なんかはけっこう楽しんだ部分もありました。ここ最近あまり受けてなかった刺激を受けたような感じで。まぁ、たまの息抜きにはなったようにも思います。

 来年あたりには近代文学にも着手できるでしょうし、ヘッセの『車輪の下』あたりももしかしたら読む事もあるでしょう。その時にまたじっくり向き合おうかなと思ったことでした。

 とりあえず今回はこんな感じの感想で。

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2016-10-27 全て遠き理想郷

[] 新約聖書外典 23:40  新約聖書外典を含むブックマーク  新約聖書外典のブックマークコメント



 先日の旧約聖書に続き、新約聖書外典も読んでみました。

 まぁ、「旧約聖書外典」というのは、「ギリシャ語に翻訳された聖書には入っていて、現在のユダヤ教における旧約聖書正典には入っていないもの」という事で明確に指すものが決まっているわけですが、新約聖書外典というのは現在の新約聖書に入っていない文書がいろいろ含まれるため膨大な数あるらしく、この講談社文芸文庫に入っているのはそのうちの一部という事のようです。それに、中身も若干抄訳。

 とりあえず、気になったのは性嫌悪モチーフの多さだったりしました。『新約聖書』の福音書あたりに比べて、性交渉に対する忌避を示唆する部分が圧倒的に多い。また、聖人の話によって熱心な信仰を得た若い女性が夫との性交渉を拒否、夫が起こって聖人を讒訴、処刑しようとするという展開がほとんどパターン化しているように見えます。

 どうもその辺含め、ちょっと首をひねりながら読んでいたような感じ。

 その他、注釈にさかんに指摘されているグノーシスの思想という辺りはあまり詳しくないため、その辺もちょっと読むときにネックになっていたかも。

 まぁそんなわけですんなり飲み込めた感じではなかったですが、魔術師シモンの逸話とか、いくつか面白い話も読めたのでとりあえず良しとします。一度目を通してさえおけば、後で用事があってもすぐ戻れますし。

 とりあえずそんな感じの読書でした。

[] 自省録 23:40  自省録を含むブックマーク  自省録のブックマークコメント


自省録 (岩波文庫)

自省録 (岩波文庫)


 自分の将来の創作とかその他もろもろに使えそうな事をメモっている自分用Wikiですが、先日ちょっと編集形式を変えまして。そしたら、今までスルーでも良いかなーと思えてたタイトルにも手が伸びるようになったんで、ローマに引き返してこんな本を読んでみたり。ローマ五賢帝の一人、皇帝マルクス・アウレリウスの警句集という感じ。


 とにかく読んでて驚いたのは、一国の統治者の言葉とはとうてい信じられないくらい、圧倒的に自己完結した哲学が語られてた事でした。称賛も名誉も、自分とその周辺の人が死んでしまえばすべて塵に帰る程度のものであり、永劫に続く宇宙に対してはほとんど意味を為さないのだから顧みる必要が無い、みたいな、万事そんな調子であって。それが権力者として謙虚であるべきとかそんな生易しいものじゃなく、もっとストイックで内向的な倫理なので。正直、タイトルと著者その他全部伏せて読まされたら、とても世界史に冠たる大国の皇帝が書いたとは信じられなかったと思います。しかも、善政をしいていたという……。

 ほんと、人事をどうしようとか、人民の統治とか、そういう話が全然出て来ないの、異様ですらある。


 同じ意味のことを繰り返し書いているのも、自分に繰り返し言い聞かせているようで、なんともいえないストイックさを感じます。

 確かに、こういう人が善政を敷くというのは分からなくもない(実務方面で優秀な人材が部下にいれば)。けど、たとえばこの人が選挙に出たら勝てるかっていったら勝てないよなぁ多分、とか、まぁそういう事も考えてみたりw

 いろいろ思うところがありました。こういう箴言集的なものはなんだかんだ好きなので、折を見ていろいろ読んでみようかと。

[] ユートピア 23:40  ユートピアを含むブックマーク  ユートピアのブックマークコメント


ユートピア (岩波文庫 赤202-1)

ユートピア (岩波文庫 赤202-1)


 有名古典を着々と読み進めております(ペース遅すぎですが

 そんなわけで、これも。


 とりあえず、学生時代は厭うていた「古いものから順番に読む」というのの有り難さを感じつつの読書でした。プラトン『国家』を読んでおいたのが、この作品の理解にかなりプラスだったのは間違いない。あれが後世に与えた影響って大きかったのだなぁと。


 読んでいる間の所感としては、だからプラトン『国家』読んだ時とかなり似ていた感じでした。理想的な国家像を突き詰めていけばいくほど、多様性が失われ管理社会化が進んだディストピア的な国になっていってしまうのだなぁという感慨。

 とはいえ、本書はそうしたところを『国家』から引き継ぎつつ、そうした「理想」から微妙に距離をおこうとしているところにクレバーさを感じたところもあって。具体的には、ユートピア国の見聞を話す人物と、書籍全体としての語り手トマス・モアが別人であり、最後にトマス・モアから「ユートピア国のすべてを現在のヨーロッパで実現可能とは思えない」と述べさせたこと。というか、そもそも本書がフィクションとして綴られている事、でしょうか。このわずかな距離の取り方のおかげで、読者私と本書との溝がだいぶ埋まったような感じでした。

 『国家』の感想の時にも書いたけれど、一度徹底的に、「理想の国」「理想の全体像」を構想しシミュレートしてみることはすごい重要なんだと思うのです。理想だけが、現実を相対化する。場当たり的に現実の問題に対処しているだけでは、社会全体はどんどんチグハグになってしまう。

 しかし理想は、理想であるがゆえに、どんどん先鋭化し暴走してしまう。理想国家は容易くディストピアになってしまう。なので、そこでちょっとだけ最後に「理想」から距離をとっておく、というのは見事な処し方だなぁと思ったわけでした。


 いやしかし。こんな極めてポリティカルな内容の本が、がつがつ読まれてたんだとしたら、大したもんだとは思います。個別の政治問題を云々する前に、こういう国全体に対する思考シミュレーションを体験したかどうかって、けっこう大きいのかなという気も。こういうのが日本と西欧の政治感覚の違いとして出るのだとしたら、まぁそりゃかなわんなぁ、みたいな気分にもなったりしたのでした。

 まぁそれでも、本書を日本語で読めるというのはだから、ありがたいことなのでしょうね。


 とりあえずそんな。

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