Amzonより グレイス・ペイリーの短編集『その日の後刻に』から、「反戦」をテーマにした短編をご紹介します。ただし本作には、「反戦」に関する明確な言葉は一切登場しません。物語に仕掛けられた「エニグマ(暗号)」を読み解きながら、その深層に迫りたいと思います。 『オインク・オインク』 ある午後、若い父親たちが学校帰りの子どもたちを迎えにやって来る。「私」は自宅の窓からその光景を眺めている。子どもたちが駆け寄ると、父親たちは笑顔で抱き上げ、肩に乗せて歩いていく。 その中のひとり、肩の上に乗った幼い女の子が、もぞもぞと動きながら「オインク・オインク」と豚の鳴きまねをした。すると父親は突然顔をこわばらせ…