ランキング参加中はてな文芸部 男が飛び起きた。いつの間にか寝入っていたようだ。「ああ、夢だったのか」。おもわず口に出た。なまめかしい夢だった。〝ドアを開けるとミドリさんが来て、びしょ濡れのままおれの胸に飛込んできた……〟「あれは、あの夜のことだ。しかし、どうしてミドリさんの顔に。そうか、立候補すると言ったからか。馬鹿な、こんな俺にそんな資格があるものか」 男は、大きく伸びをするとベッドから飛び出した。 気のおもい毎日がつづいた。辞表をだす勇気ももてず、悶々とした日々が繰りかえされた。相変わらず部長の嫌みなことばや、かつての同僚からの憐憫を受けていた。そんな煩わしい日々のある退社時に、雨宿りをし…