自分の中にある狂気というと大げさかもしれないが、ちょっとした怒りや反感、わだかまりのようなものは誰しも心に秘めているもの。それを解放するきっかけとなるのが「キャンディマン」なのではないか。つまりは、そこに出現する狂気は自分自身の中から滲みだしてくるということで、他者はあくまで媒介に過ぎない。 それは、鏡が重要な役割を担っていることによって暗示されている。冒頭のユニバーサルやMGMの表示が反転していることからも、そこに大きな意味が籠められていることが伝わってくる。 本作の中で使われるコインランドリーという場の持つ特性も興味深い。コインランドリー(Laundromat)には近隣の住民が集まってきて…