ホテル・ニューハンプシャー〈上〉 (新潮文庫)作者:ジョン・アーヴィング新潮社Amazon 一流ホテルを経営するという夢に取りつかれた男とその家族の物語、それが『ホテル・ニューハンプシャー』だ。アメリカ文学には、無垢なるものとしての夢に取りつかれ、それを執拗に追い続ける男がしばしば登場する。『ホテル・ニューハンプシャー』でも言及される『グレート・ギャツビー』や『白鯨』はその典型である。 江藤淳は『アメリカと私』の中でアメリカ社会を適者生存という競争原理がむき出しになった社会として描いている。弱いもの、社会に適応できないものは生き残れないのはどこの社会でも同じだが、アメリカ社会はそうした競争原理…