はしわのわかば はしわのわか葉 はしわのわか葉はしがき このひとまきは、卯月のつきたちごろ、みちのくの大原の里新山(ニヒヤマ)川のあたりにて初桜を見、また鶴がね、亀がね、かまくら山なンどを見やり、あるは山吹ノ柵、大さくら、検断(ケムダム)桜を見、中尊寺の田楽祭、また、さるがう、また葉室中納言の処女(ミムスメ)を達谷麿(タカヤマロ)がぬすみしものがたり、土御門泰邦卿のこゝろ葉の詠歌(ウタ)、時鳥の物語リ、また配志和(ハシワ)の式社(ミヤシロ)、安日ノ社、また神星社のゆゑよし、また黒介(クロダスケ)といふ里の百歳(モゝトセ)の老妷(トシ)が物語、また石手(イハ)堰(ヰ)ノ式社(カミヤシロ)にもうで…