小説家、詩人などによる、珈琲に纏わる文章を集めた本。しゃれたデザインの表紙カバーを飾るのは有吉佐和子が珈琲を飲んでいる写真。ところが僕にはコーヒーカップというのはこういう形、という固定的なイメージがあって、それに照らすと、有吉佐和子が手にしているのは紅茶茶碗にしか見えない。あの形状のカップだったら、僕はおいしい紅茶をいただきたい。 作家と珈琲 平凡社 Amazon それはともかく、本の中ほどに、パウリスタという名前のカフェが出てくる文章が続く。(佐藤春夫の「芝公園から銀座へ」、古川緑波の「甘話休題」、広津和郎の「正宗白鳥と珈琲」。)どこかで聞いたことのある店名だと思ったが、すぐ思い出した。僕の…