泥棒日記 (新潮文庫)作者:ジャン ジュネ新潮社Amazon「裏切りと、盗みと、同性愛が、この本の本質的な主題である」というジャン・ジュネは、本書『泥棒日記』において、「あなた方」とか「あなた方の世界」という表現をくりかえし、自分が生きてきた世界と自分に悪の烙印を押し、ノーを突きつけてきた世界とをはっきり区別しようとしている。 親に捨てられた孤児として生まれ、少年時代から盗みを行うようになったジャン・ジュネは、数々の刑務所へ何度も投獄されながら、乞食、男娼、泥棒としてヨーロッパ各地を放浪する生活を二十年にわたって続けたという。自伝的作品である『泥棒日記』が特異なのは、作者が裏社会の人間として生…