小説家(1901年(明治34年)1月10日〜2002年(平成14年)1月19日) 秋田県生まれ。 小説家の渡辺温は、実弟。
★ 天瀬裕康さんが「回想「あの場所から」幻視」を、浜田雄介さんが「一九六六年 渡辺啓助のヨーロッパ」を、八本正幸さんが「無力のかけら、そして丹下順子さんのこと」を、それぞれ『Ω』6号(Re.オキュルス倶楽部)に寄稿されました。 ・『Ω』6号、Re.オキュルス倶楽部、発行人:渡辺東、A4判79ページ、2023年12月25日発行、1,100円(本体1,000円+税) ※販売については、書肆盛林堂のHPをご覧下さい。 seirindousyobou.cart.fc2.com
渡辺啓助『密林の医師』盛林堂ミステリアス文庫を読了。 昭和19年に春陽文庫として刊行された本の再刊だが、そのオリジナルは戦地の慰問用として刊行され、ほとんどが海外の戦地に送られたため、国内にはほとんど残っていないのだという。ほとんど残っていないどころか、現時点で確認されているのは日下三蔵氏が所蔵する1冊だけであるようだ。 収録されている作品は表題作以下「異境冒険小説 陸鰐島の囚人」「ジャガタラお春」「ビルマの桜吹雪」「冒険小説 チベットの雪豹」「伝記小説 無装荷松前」「沙漠のヨシツネ」「砂底の聖火」の8編。いずれも、東南アジアなどの海外を舞台とした作品で、香山滋の秘境冒険小説に通じる魅力ある作…
★ 横井司さんが、渡辺啓助『空気男爵』(皆進社)に「解説」をお書きになりました。 ・渡辺啓助『空気男爵』(《仮面・男爵・博士》叢書 第2巻)、監修 新井康、皆進社、A5判304ページ、3,080円(税込) ※皆進社のHPも、ご覧ください。 kaishinsha.stores.jp
★ 八本正幸さんが「ドッペルゲンガー日和」を、天瀬裕康さんが「啓助先生の「ふしぎな空間」を、浜田雄介さんが「渡辺啓助の不思議な「窓」(資料紹介)」を、『Ω』第5号にそれぞれ寄稿されました。 ・『Ω』第5号、Re.オキュルス倶楽部、2022年4月15日発行、頒価1,000円
●『晩酌の誕生』 飯野亮一 ちくま学芸文庫 読了。 元々酒は、神人交歓の場で大勢が集まって飲むものであった。時代が下るにしたがって、次第に独りで飲む習慣が広がってゆく。山上憶良「貧窮問答歌」にある貧しい庶民の独酌や、大伴旅人の独り飲む酒の歌から語り起こし、主にページが割かれているのは江戸時代の庶民の晩酌の様相である。 関連情報としての油の生産にも話が及ぶ。江戸時代になると油の生産量が増え、比較的安価な照明を庶民も利用できるようになった。これが晩酌に関係する。暗くなるとさっさと寝てしまう生活よりも、夜も灯りの元で起きている生活の方が、晩酌の習慣も普及するというものである。 様々な肴でもって晩酌を…
以前古本市で買った本。1978年発行。 安部公房「赤い繭」 赤い繭、洪水、魔法のチョーク、事業の4編から成る作品が「赤い繭」ということらしい。 大坪砂男「ロボット殺人事件」 三原則ロボットものの殺人事件。理屈は通るが鮮やかという印象はない。 小隅黎「α-ケンタウリ」 世代宇宙船による恒星間航行の計画。作品としての完成度は高くないと思う。小隅黎(柴野拓美)の想いを込めた作品か。 林耕三「猫島物語」 ガリバー旅行記みたいな話か。 城昌幸「幻想唐艸」 幻想的なことは分かったが話はよく分からなかった。 中村真一郎、福永武彦、堀田善衛「発光妖精とモスラ」 映画モスラの原作。ゴジラ映画のヒットを受けて書か…
37.渡辺啓助『密林の医師』(盛林堂ミステリアス文庫) →昭和19年に陸軍恤兵部が発行者となり春陽堂文庫出版株式会社から《春陽文庫 大衆小説篇》の一つとして刊行された慰問用の書籍を初出誌を底本として復刊。解説は日下三蔵。 38.ロバート・ブロック、オーガスト・ダーレス/三門優祐訳『アーカム・サンプラー書評集』(同上) →季刊誌『アーカム・サンプラー(The Arkham Sampler)』掲載の書評8本収録。
●『明治・大正・昭和 日米架空戦記集成』 長山靖生編 中公文庫 読了。 いい気なもんだぜ感が漂う、無邪気な戯言が多かった。コメントを付けたい作品は少ない。福永恭助「科学小説 暴れる怪力線」は、戦前の防諜小説にありがちな「わるいがいじんをやっつけてやりました」であらすじ紹介が済むような作品ではなく、ちょっとした予想外の起伏と展開とが好ましい。河岡潮風「日米石油胆力戦争」は、今でいうサラリーマン、当時の腰弁を覇気がない人間の屑とののしる暴言ぶりが(伏字)を遠巻きにして眺めているみたいで楽しい。明治の作品なので、その文章には著者の意図しない古くささの魅力がある。 ●注文していた本が届いた。『囁く電話…
盛林堂ミステリアス文庫の新刊は渡辺啓助。この前皆進社から出た『空気男爵』がやや期待外れだったので、今度の啓助はどうだろうとおそるおそるページをめくってみた。だがこれは大当たりだった。まだ最初の二篇を読んだだけだが、めっぽう面白い。短い枚数で波乱万丈の物語を要領よく語る腕の冴えがみごとだ。一篇目は放浪医師の話、二篇目はコモド島でコモドオオトカゲと戦う話で、どちらも日本男児が秘境で大活躍する。二篇とも昭和十七年、つまりシンガポール陥落の年に発表されたもので、当然ながら大国策小説である。しかしいくら国策に沿っていたからといって、たとえばイギリス文学でいえば、『キム』や『知恵の七柱』を読まないのはあま…
★『新青年』趣味23号の通販が始まりました。以下の場所で扱っています。 よろしくお願い申し上げます。 書肆盛林堂 seirindousyobou.cart.fc2.com 文生書院 www.bunsei.co.jp 日本の古本屋 www.kosho.or.jp アマゾン https://www.amazon.co.jp/dp/B0C5X86SZS/ 『新青年』趣味23号 表紙 西山彰「横溝正史『八つ墓村』より」 特集「横溝正史」 Contents(A5判・340ページ) 父の仕事机によせて 野本瑠美 映画「猛襲」あれこれ 浜田知明 横溝正史における改稿の意欲 ――『死仮面』の場合―― 山口直孝…
★『新青年』研究会の会誌『新青年』趣味 23号 特集「横溝正史」を、以下の予定で頒布いたします。 ・頒布予定 ・第三十六回文学フリマ東京 期日 2023年5月21日(日) 時間 12:00~17:00 会場 東京流通センター 第二展示場 (かー31) https://bunfree.net/event/tokyo36/ アクセス 東京モノレール「流通センター駅」徒歩1分 https://bunfree.net/access/tokyo-trc12f/ 頒価 2,000円 ※書肆 盛林堂、文生書院、アマゾン、日本の古本屋でも販売を予定しています。詳細はお待ち下さい。 ★(2023-5-23記)文…