自治会の作業の終わりがようやく見えてきたので、アルバイトの通勤時間や休憩時間を使ってプルースト『失われた時を求めて』~第五編「囚われの女」(集英社文庫、鈴木道彦氏訳、2007年)を読んだ。 芸術への疑問が記された「囚われの女」 『失われた時を求めて』の邦訳では、翻訳者による訳文の違いがよく話題になるが、この第五編からはプルースト没後の刊行で、プルースト自身が最終的な推敲を行っていないのでテクストに曖昧な部分がある。このためどういうテクストを採用するかも翻訳者の判断にゆだねられ、誰の翻訳がいいのか、訳文だけでは一概には決定できない。結局、自分が選んだ翻訳者を信頼して読むしかない。 さて「囚われの…