『BRUTUS』914号/マガジンハウス/2020年4月15日刊 インターネットの普及によって情報がタダで手に入るようになったから雑誌が売れなくなった、という話が嫌いだった。フリーライターをしていた頃は特に、出版関係者の口からそういう話を聞くと「人のせいにされてもなー」とうんざりした。既に出来上がった状況に原因を求めても、結果は一ミリも動かない。非生産的だと思うから嫌いだった。 加えて、因果論として疑わしいと思っていた。若い頃に私が時々買っていたのは、ファッション関係なら『Olive』か『装苑』、カルチャー関係なら『QUICK JAPAN』や『relax』、テレビはあまり見ないわりに『テレビブ…