夕食はお寿司だった。母の命日の前後に父と外食をするのが習いになっている。特に「そうしよう」と言い出したわけでもないし、食事中に母の思い出話に花が咲くようなこともない。 ただ、ちょっと良いものを食べる言い訳に、墓参りの後に外食という形式が定まった感じだ。父はビールを飲む。僕は何も飲まず、食後にお茶を飲むだけ。2人とも、それほどたくさんは食べない。ただ、普段あまり自宅では食べない類の魚を選ぶ傾向はある。こういう時の「せっかくだから」の感覚は、父も僕も似ている。 読んでいない本について堂々と語る方法 (ちくま学芸文庫) 作者:ピエール・バイヤール,大浦康介 筑摩書房 Amazon ところで今夜は、左…