平野啓一郎『ある男』 今日は読書の話題。最近読んだ本2冊の感想。 1冊目は平野啓一郎の『ある男』。未読の作家の本を読んでみようと思い選んだのがこの本。平野啓一郎といえば純文学畑の作家という印象があったが、読み物としてもおもしろい作品だった。 まず、「序」で、作者らしき人物である「私」がこの話の主人公である城戸という弁護士を読者に紹介する。そして城戸が依頼を受けた女性の経験した出来事から物語が始まる。 里枝という宮崎県に住む女性は、結婚4年にして夫を不運な事故で亡くす。夫は谷口大祐という名前であったが、訪ねてきた夫の兄は、その遺影を見て弟とは全くの別人だという。自分が愛して結婚生活を送っていた男…