木枯《こがら》しの 吹くにつけつつ 待ちし間《ま》に おぼつかなさの頃《ころ》も経にけり 初時雨が降りそうな様子の見える頃 朧月夜の内侍から源氏に手紙が届く🪷 〜木枯しが 吹くたびごとに訪れを待っているうちに 長い月日が過ぎてしまいましたよ。 【第10帖 賢木 さかき】 中宮は悲しいお別れの時に、 将来のことをいろいろ東宮へ教えて行こうとあそばすのであるが、 深くもお心にはいっていないらしいのを哀れにお思いになった。 平生は早くお寝《やす》みになるのであるが、 宮のお帰りあそばすまで起きていようと思召すらしい。 御自身を残して母宮の行っておしまいになることが お恨めしいようであるが、 さすがに…