かきつめて 海人《あま》の焼く藻《も》の 思ひにも 今はかひなき 恨みだにせじ 源氏との別れを悲しみ 涙にくれる明石の君🪷 (源氏の君に by 明石の君) 〜かきあつめて 海人が焚く藻塩火のように物思いが尽きず、 悲しい気持ちでいっぱいですが、 今は申しても甲斐のないことですから、 お恨みはいたしません 【第13帖 明石 あかし】 このたびは 立ち別るとも 藻塩《もしほ》焼く 煙は同じ 方《かた》になびかん と源氏が言うと、 かきつめて 海人《あま》の焼く藻《も》の 思ひにも 今はかひなき 恨みだにせじ とだけ言って、 可憐なふうに泣いていて 多くは言わないのであるが、 源氏に時々答える言葉に…