笏を手にした恐ろしい形相の閻魔大王が目の前に座っていた。私の人生の是非が言い渡されようとしていた。 「それでは始めよう。あなたは生前に詐欺を働いていましたね? それで何人もの老人からお金を巻き上げている。還付金がありますよと言って口座の暗証番号を聞き出し、有り金すべてを引き出して自分のものにしていた。間違いありませんね?」 老人の電話番号が書かれたリストを高い金を払って入手した。片っ端から電話して、引っ掛かった奴らから回収した。投資した金と自分の費やした労力に対して相応の報酬を手にしたというだけのことだ。私一人だけがいい思いをしたというのではない。それにこんなことで騙される人間の方がどうかして…