バルセロナでこの像を見た時、大きな衝撃を受けた。自分そのものだ、と思ったからだ。大きく開いている扉を背にして、自分は柱に巻きついた縄をきつく握りしめている。柱に縛り付けられ、身動きが取れないと思いながら…。しかし、周囲では半パンにTシャツ姿の観光客たちが、陽気にはしゃぎながら扉を行き来している。 縄などなかった、ということに気づく。手放す縄さえない。夢を見ているんだ。その根底にあるのは、自分に罪はない、というきっぱりとした自覚だ。 金曜日の夜からずっとお籠りをしていた。こんなに寝れるのか、というほど寝た。その間、夢をいくつも見た。 自分はまだ子供で、自宅にいる。両親とドライブへ行くと言うので、…