〈昭和の忘れもの〉モノ・コト編㊴ 【『小さな恋のものがたり』みつはしちかこ著(立風書房、学研)】 「呪縛」や「亡霊」といった不穏なワードが続いたので、今回は目一杯メルヘンタッチな話題である。 『小さな恋のものがたり(1~46集)』通称「ちい恋」は、1967年から半世紀に亘って刊行された、みつはしちかこ氏の4コマまんがだ。叙情まんがと謳い、高校生の小川チイコ(チッチ)と村上聡(サリー)の淡い恋物語が描かれた。 毎年5~6月に新刊が発売されるのが恒例だったが、発売日には待ち焦がれたファンが大挙して書店に押し寄せた。メインの読者は圧倒的に若い女性だったと思われるが、存外、中高生の男子も周囲の目から隠…