この句が良寛の辞世の句と言われ、「今美しく咲いている桜でもいつかは必ず散る」、「散る桜も残る桜もやがては等しく死を迎える運命にある」などと注釈されると、つい納得してしまいます。「私は命を終えていくが、残されたあなたたちも命を終えていく「諸行無常」の定め」などとなれば、なおさらです。さすがに、「咲いたからには散るのは覚悟」と言われると、賛成する人は多くないでしょう。「桜花 散るも残るも 散る桜」は論理的に違和感がなく、「散る命 残る命も 散る命」は良寛の句と似ているが、「白桜 赤い桜も 白桜」となると支離滅裂になる、と考えたA君は普通の注釈に不満を持ちました。 最初の「散る桜」と次の「残る桜」の…