この時期に降る雨のことを「愉英雨(ゆえいう)」と呼ぶことがあるのだそうです。この前の朝のニュースで言っていました。 愉英雨の「英」は花を意味して、温かな雨が春に咲く花々を愉しませる様子を表しているとのこと。季節の移ろいを花の姿に映して感じとる、美しい日本語です。 「英」の字はわたしの名前にも使われていて、これが花を表す文字であることを、この歳になって初めて知りました。そういえば双子の娘たちの両方の名前に「花」の字を入れたのはわたしで、これも縁あってのことでしょう。稽古場の床の間には芍薬が活けてあり、花びらが一枚一枚ほどけるように開いていく様子が、柔らかな雨に喜ぶ姿のようにも見えます。木本の牡丹…