禅の言葉に「生は生を徹して生きる、死は死に徹して死に切ること」というものがあります。この力強くも、どこか逆説的な言葉に、強く心を惹かれます。ただ生き、ただ死ぬ。それがなぜ、生と死という根源的な対立を超えることに繋がるのでしょうか。 この深遠なテーマを、自分なりに納得できるまで探求していく5回に分けたブログシリーズを始めたいと思います。今回は、まずこの言葉の出発点となる禅の公案を見ていくところから始めましょう。 私が手に取った『禅の問答集ー生き方への問い 公案で学ぶ』という本に、次の公案が紹介されていました。『碧巌録』第四三則です。 引用はじめ 34 状況に応じてなじむ――洞山無寒暑(とうざんむ…