ほととぎす 語らふ声は それながら あなおぼつかな 五月雨《さみだれ》の空 源氏の君が一度だけ会った中川辺の女人、 源氏の歌への返歌💐 〜ほととぎすの声ははっきり分かりますが どのようなご用か分かりません、 五月雨の空のように 【第11帖 花散里 はなちるさと】 ほととぎす 語らふ声は それながら あなおぼつかな 五月雨《さみだれ》の空 こんな返歌をするのは、 わからないふうをわざと作っているらしいので、 「では門違いなのでしょうよ」 と惟光が言って、出て行くのを、 主人《あるじ》の女だけは心の中でくやしく思い、 寂しくも思った。 知らぬふりをしなければならないのであろう、 もっともであると源…