今年源氏は五節《ごせち》の舞い姫を一人出すのであった。 たいした仕度《したく》というものではないが、 付き添いの童女の衣裳《いしょう》などを 日が近づくので用意させていた。 東の院の花散里《はなちるさと》夫人は、 舞い姫の宮中へはいる夜の、 付き添いの女房たちの装束を引き受けて手もとで作らせていた。 二条の院では 全体にわたっての一通りの衣裳が作られているのである。 中宮からも、童女、下仕えの女房幾人かの衣服を、 華奢《かしゃ》に作って御寄贈になった。 去年は諒闇《りょうあん》で五節のなかったせいもあって、 だれも近づいて来る五節に心をおどらせている年であるから、 五人の舞い姫を一人ずつ引き受…