🌿あの日の僕たちへ(Dear Our Past Days)🌿 🎼 written by 蒲鉾さちこ🌿 ほととぎす 語らふ声は それながら あなおぼつかな 五月雨《さみだれ》の空 こんな返歌をするのは、 わからないふうをわざと作っているらしいので、 「では門違いなのでしょうよ」 と惟光が言って、出て行くのを、 主人《あるじ》の女だけは心の中でくやしく思い、 寂しくも思った。 知らぬふりをしなければならないのであろう、 もっともであると源氏は思いながらも物足らぬ気がした。 この女と同じほどの階級の女としては 九州に行っている五節《ごせち》が 可憐であったと源氏は思った。 どんな所にも源氏の心を惹《…