ぼくの町には大きな木がある。 樹齢何百年という木らしい。 この木を見るために遠くから いっぱい人が集まってくる。 もの心ついたころには 当たり前のようにあった木。 「この木は私たち人間とは違った速度で 少しずつ。少しずつ。でも確実に ゆっくりと静かに育んでいる。」 その言葉を耳にしたときから 僕はこの木に対する想いが変わった。 自然界で生きる大変さ。 でも雄大で、力強く どことなしか、 僕たちを守ってくれている。 そんな気がする。 僕はたまに、この木を眺めに来た。 静かな時間が流れる。 目を閉じ、大きく深呼吸をする。 僕の心は浄化されたように 落ち着き。新たな活力が生まれる。 きっとこれが こ…