「耳なし芳一」を書いた小説家、小泉八雲ことラフカディオ・ハーンは、アメリカに住む友人あての手紙の中に、日清戦争の勝利が日本人にもたらすであろう影響について次のように書いていました。 「今回の戦争は何としてもひどい事件だ。これによって日本は、家康時代のように完全な独立国になるだろうが、しかしそれが日本にとって最善のことなのか私にはもはや保証できない。国民は依然として善良だが、上流階級は腐敗してきている。昔の礼節、昔の信義、昔の温情は日に照らされた雪のように消えつつある」エルウッド・ヘンドリック宛、1894年(明治27年)9月 平井呈一訳『明治文学全集48 小泉八雲集』 日本を愛し、日本に帰化した…