■ 導入 とにかく、やる気が出ない。 何を見ても、何をしても、心が凪(なぎ)を通り越して、無機質な砂漠のようだ。 訪問診療の現場で「今後の心臓はすべて任せる」と言われた。 かつての私なら、技術者としての信頼に胸を熱くし、二つ返事で引き受けていただろう。 だが、今の私にはその言葉が、ただただ重いプレッシャーとしてのしかかってくる。 「任せる」と言われても、その先には山積みの課題がある。 心不全を見逃したらどうなるのか。 胸水をどう評価するのか。 「異常なし」と言ったその一言が、本当に患者を守れるのか。 「撮れる」と「任せられる」の間には、想像以上の深い谷がある。 まだ、心エコー研修を始めて半年ほ…