岡部杏里さんのファースト作品集。見開きで四首、計百首が掲載されている。 めちゃくちゃよかった。 多くの単語をひらがなに開き、平易な言葉で誰にでもわかるように、しかし誰でも簡単に切り取れるわけではない感情を歌にしているという印象を受けた。 「ごあいさつ」のごあいさつの一首目はこんな歌。 天井がどうして僕をぺしゃんこにしようと思わないのか不思議 いきなり心にくる。一人で部屋にいるとき、ぼんやりと天井を見つめる。「どうして僕をぺしゃんこにしようと思わないのか」と思うということは、自分自身が天井であれば、僕のことなんかぺしゃんこにしてしまうのにという自分自身への肯定感の低さの現れなのかなと思い、とても…