ヒトの身体に棲みつく細菌叢は、腸だけではなく、口の中、皮膚にも存在しています。腸では酸素がない状態ではないと生きられない細菌が多いのに対して、口腔内や皮膚には酸素があっても生きられる細菌も多く存在しています。そのため、腸内のフローラとは全く異なった細菌叢を持っていますが、口腔内でも皮膚でもそれぞれの場所に合ったフローラのバランスを保っています。 今回は、皮膚常在菌のお話です。 まず、「表皮ブドウ球菌」。これは皮膚表面や毛穴に存在します。表皮ブドウ球菌は汗や皮脂を餌にしてグリセリンや脂肪酸を作ります。脂肪酸は肌を弱酸性に保ち抗菌ペプチドを作り出すことで、黄色ブドウ球菌の増殖を防ぎます。グリセリン…