今回ご紹介するのは、津村記久子『アレグリアとは仕事はできない (ちくま文庫)』です。 アレグリアという欠陥複合機を相手に孤軍奮闘するOLの姿が、淡々と描かれている滑稽な小説です。 冷静に読むと結構暗い現実を書いているのに、はじまりから、クスクス笑ってしまうのは、作品の根底を流れる一種のユーモアのせいでしょう。 しかし、読み進めていくうち、機械相手に本気で怒っているアホな女の話が、いつの間にか、人の利益を優先させる人のなかで自分だけ甘い汁を吸おうとする、ズルい(、、、奴らへの怒りと逆襲の物語へと逆転していきます。 嫌な話なのに、何故か笑えて何故かスカッとする。何故何故だらけのお仕事小説です。 そ…