「自己を突き詰めると普遍的なものになる。」そのような言葉であったか、以前、井上雄彦氏が語っていたのを今回の映画で思い出した。 アンゼルム・キーファーは1945年ドイツ生まれで、現在を代表する美術作家であるが、彼の創作活動の核心部分は、彼は自分の内だけに存在する「瓦礫」と、そのような人が作り壊す行為をあざ笑うかのごとくに繁殖する「自然」を見つめていることだと思った。第一の「瓦礫」とは、物心ついた時期に当たり前のように積まれてあった戦争で壊されたものであり、他方同じく幼少期に見つめていたのも、人が介することのない絶えず輪廻していく自然物である。果たしてそれら二つの情景を生み出したものはいったい何か…