港町に住む小学三年生のケンとユイは、 いつも一緒に遊ぶ仲良しコンビ。 二人の秘密基地は、波止場の隅にひっそりと佇む、 古びたカニの看板のすぐそば。 看板は、かつてこの町で一番賑わっていた海鮮料理店のものだったが、 今は錆び付き、片目も取れてしまっている。 ある日、ケンとユイは看板の前にしゃがみ込み、 カニの物語を想像していた。 「昔、このカニは海の王様だったんだ。宝石のように輝くハサミを持って、美味しい魚をたくさん捕まえて…」 ユイが目を輝かせながら話すと、ケンもワクワクした。 「きっと、このお店には魔法の料理があったんだ!食べると元気が出るような、特別なカニ料理…」 その日の夜、ケンは不思議…