大衆と群衆の違いはどのあたりにあるのだろうか 〜似てるようで違うような… 1.具体的な人間を指すものではない。 【柄谷行人『探究』】 2.社会的な現象である。 【デュルケーム『社会学的方法の基準』】 3.社会的な現象を規定する概念である。 【ドゥルーズ/ガタリ『哲学とは何か』】 4.集団的な人間存在の在り方によって現れてくる。 【ホーマンズ『ヒューマン・グループ』】 5.集団から個々人へと影響を与える。 【ミード『精神・自我・社会』】 6.群衆は我を忘れさせ、相互感染し暗示にかかった状態になる。 【ル・ボン『群衆心理』】 7.大衆は人間類型的であり、経済システムの変化により都市へと大移動したこ…

当時のロシア・アヴァンギャルド芸術に象徴されるように、彼らは新しい「未来」の到来を予告したが、やって来るはずのものは未決定な複数の可能性の空間、すなわち「未知」に向けて開かれていた。だが、前衛党がこの可能性の空間を占拠すると、それは革命というただひとつの時間に翻訳された。その時間は単線的な「進歩」の観念に根ざしており、未来はあらかじめ決定されていた。レーニンの死後、記念碑とレーニン廟は、前衛党の歴史＝過去と未来を、不滅＝普遍＝正統なものとするためのプロパガンダとして機能することで、集団が夢見る可能性の空間としての「未来」を植民地化した。あらゆるユートピアの夢はレーニンの遺体とともに氷のように凝…

ポリス市民は、〈土地〉（そこで生まれるもの、食物や物質だけでなく歴史や言語といった歴史学や地質学のようなものも含めて）と〈民主制〉（これは政治的なものだけなくアーレントのいう活動のようなものではと考えています、しかしポリスには奴隷制度や女性に市民権がない問題もあります、本文の議題を考える時に市民ではない立場からも思考することは重要だと考えられます）と〈友愛〉を大切にしていたようです。ドゥルーズはこの三つを哲学を考える上で大切なものだと考えていました。この三つの要素の関係から、人間の社会がどのように展開していったのかを考えてみるのがよいのではと考えています。 日本的なホモソーシャル（男性社会独自…

伊藤さんのガタリ本を読み始めました。 フェリックス・ガタリの思想: 生の内在性の哲学 作者:伊藤守 青土社 Amazon 内容についてはいろいろ思うところもありますが、そりゃまぁそういうものなので置くとして、11頁に「フェリックス・ナド」という名前が登場し、誰やろかと気になって確認してみたら「ステファヌ・ナドー」のことだったり、引用元の書籍がATGと略号で示されているので何からの引用やろかと思って読んでいると実はATPの誤表記だったり。ちなみにATPとは『千のプラトー』英訳版のタイトルA Thousand Plateousの略号だと思うのですが、本の後ろにある文献一覧を見るとガタリの著作の略号…

ボディースタディーズを牽引しているロンドン大学ゴールドスミス校のリサ・ブラックマンによる非物質的に身体を論じるというプロジェクトをまとめた本です。 例のごとく、私がこれ重要だなと思ったところを中心に意訳し、概要をつかむことを目指します。 Immaterial Bodies: Affect, Embodiment, Mediation (Published in association with Theory, Culture & Society) (English Edition) 作者:Blackman, Lisa SAGE Publications Ltd Amazon 第1章 情動の主体…

分裂症者は、資本主義の極限に位置する。彼は、資本主義の発展の傾向であり、その剰余生産物であり、そのプロレタリアであり、皆殺しの天使である。彼はあらゆるコードを混乱させ、欲望の脱コード化した流れをもたらす。――ドゥルーズ＝ガタリ『アンチ・オイディプス』*1 「女は〈ダンディ〉の反対だ」*2というボードレールの愚説を華麗に覆した女性がいる。だれもが知っているファッションブランド「CHANEL」の創業者、ココ・シャネルだ。 女性のショートヘア、ハンドバッグに肩紐をつけたショルダーバッグ等々、シャネルが現代ファッションに及ぼした影響は枚挙に暇がないが、レディーススーツの発明も彼女の功績の一つに数えられ…

なんとも奇妙な年である。今年にガタリ本が4冊も出るとは。 4月 [決定版]四つのエコロジー: フェリックス・ガタリの思考 作者:上野 俊哉 コトニ社 Amazon 7月 フェリックス・ガタリの思想: 生の内在性の哲学 作者:伊藤守 青土社 Amazon 9月 異界の歩き方――ガタリ・中井久夫・当事者研究（シリーズ ケアをひらく） 作者:村澤和多里 村澤真保呂 医学書院 Amazon 10月 www.jimbunshoin.co.jp

曇り時々雨。 『遠藤周作短篇集』を読み終える。遠藤文学は自分の弱さを日本という土地で見つめながら、ヨーロッパ的なカトリックの信仰に生きるということについて深く考え抜いた結果であり、偉業だと思う。研究者的には、遠藤が岩下壮一の創設した聖フィリッポ寮に住んで吉満義彦の謦咳に接し、また神山復生病院で自分の弱さと直面したことは興味深かった。岩下壮一の残したものは大きい。 歩いていたら大喜利好きの修士1年目の若者に会う。学期末だからレポートをたくさん書いているらしい。頑張ってね。 山森さんの2冊目の単著が出るとのことで、大変めでたい。前著『ジル・ドゥルーズの哲学：超越論的経験論の生成と構造』に続いて『フ…

四国でのキャンプツーリングは、美しい自然と歴史的な名所が織りなす魅力的な冒険です。笹原に覆われた山々や、独特の風景が広がる道路で、まるで天上の楽園に迷い込んだような感動を味わえます。四国ツーリングで絶対に外せない絶景道や名所を厳選してご紹介します。ぜひ、旅の計画に参考にしてみてくださいね。 香川県 １．屋島ドライブウェイ 愛媛県 １．佐田岬メロディーライン／国道197号線 ２．石槌スカイライン＆瓶ケ森(かめがもり) 林道／県道12号線 高知県 １．五段高原四国カルスト ２．足摺(あしずり) サニーロード／国道321号線 ３．龍河洞(りゅうがどう) スカイライン ４．国道381号線四万十川 ５．…

（8/2）ひとまず100点選書。第一弾の選書なので推薦本には頼らず。蔵書とアマゾンのブックリスト、これまでの読書経験と知識を駆使して、読みたい本を直感で選んだ。 今のところ順番はランダムだ。3500の選書リストが完成するまでには適切な分類法を見つけようと思う。その際、選書やリスト作成におけるルールも付記する（表紙画像は載せない、アマゾンや出版社ページへのリンクは貼らない等）。 （8/3）200点選書。 （8/4）300点選書。 （8/5）400点選書。そろそろ分類しないとね。日本十進分類法を参考にする予定。 （8/9）500点選書。 （8/10）600点選書。 （8/11）700点選書。 （8…

今まさに、ポストモダン批評の視座から、『ガバ穴ダディー』におけるタチ男優としての島田課長を肯定的に捉えるという改造への躍動が行われんとしている。フランス現代思想の巨匠たちの言説を借りつつ、その存在の意義を再考してみよう。 まず、ジャック・デリダの「脱構築」の概念を援用しながら、中間管理職としての島田課長を再評価してみよう。デリダは、テクストの中に潜む二項対立を解体し、新たな意味を浮かび上がらせる手法を提唱した。この視点から見れば、横柄な振る舞いをする指示厨は、「勃たざるタチ役」という矛盾を内包した男優として、実社会における権力構造やヒエラルキーを可視化する存在として機能していると言える。島田の…

理解を超えたものの魅力 暗黒の形而上学：触れられない世界の哲学 作者:飯盛 元章 青土社 Amazon 『暗黒の形而上学 触れられない世界の哲学』は、2020年に哲学者ホワイトヘッドの研究書『連続と断絶──ホワイトヘッドの哲学』でデビューした飯盛元章の2冊目の著書となる。本書は著者がこれまでに様々な媒体に発表した文章をまとめた論集なのだが、しかし全体がひとつの明確なコンセプトに沿って書かれており、全体を一気に通読させる勢いがある。 そのコンセプトとは、「暗黒」「断絶」そして「破壊」だ。これだけ見ると、一体どんな物々しい本なんだと思われるだろうが、実際にはこれらの言葉は見た目ほどダークでネガティ…