「全部だ、冷凍庫のチューペット丸ごとかっさらう」仲間の誰かが放ったこの一言が あの日、まだ幼かった僕たちを『盗み』へと駆り立てたこれはまだ僕が幼稚園児だった頃の夏の話当時僕が通っていた幼稚園では、お昼の給食の後にデザートとして1人1本ずつチューペットが配られていた。 夏ということもあり、このチューペットを冷凍庫でカチカチに凍らしたものは毎日の楽しみの1つとなっていた。こんなに甘く冷たい魅力的な代物を前にして 当時まだ3,4歳のガキンチョたちは1日1本で満足できるはずもなく、クラス内でチューペットを奪い合う争いが頻発した。隣の子の分をこっそり奪いとる程度ならまだしも、時にはチューペットを食べてい…