クワガタムシ

クワガタムシ

(動植物)
くわがたむし

概論

昆虫の一種で、コウチュウ目クワガタムシ科に属する昆虫の総称。一般に雄の大顎が大きく発達し、兜の鍬形に似るのでこの名がある。体長1cm未満のものから、大顎を含めて10cmを越えるものまで非常に多くの種類がある。よく目に付く昆虫であり、特に子供の夏休みの遊び相手として高い地位を獲得している。小学生にとっては昆虫採集=クワガタ探しと言っても過言ではない。そのような愛好者の多いグループであるが、分類の難しいグループもあり、特に熱帯地域を中心に多くの新種が今でも見つかっている。
近年は熱中的なコレクター(生き虫が対象)が多く、大形のものは高価で取引されている。また、外国産の種の輸入が解禁され、色々と問題を引き起こしている。

分布

東南アジアに分布の中心がある。熱帯アフリカにも多い。しかしながら、南米には少ない。
日本では当然ながら南の方へ行けばいくほど種数が増える。ただし、ルリクワガタなどの仲間は九州以南には分布しない。

生態

一般に夜行性で、灯火にも飛来するが、ルリクワガタ類やヒメオオクワガタなどに代表される、冷涼な高緯度地方や高い標高の地域に生息する種は、昼間活動する。
成虫の食物は、大型種ではマルバネクワガタ属などを除くと、樹液や腐敗した果実などのように糖分とそこに繁殖した酵母菌を多く含む餌に集まる種が多い。このようなパッチ状に点在する餌資源を雌雄の出会いの場とすることで雄による雌を巡る激しい資源防衛(雌自身、或いは雌のやってくる餌場の独占)のための闘争行動を行うグループとして進化したたと考えられる。
このような食性のクワガタムシは飼育下では、昆虫ゼリーと言われる専用の人口餌が開発、市販されているので、これを与えるのが便利である。また、リンゴやバナナを与えてもよい。
他に新芽や若枝に集まって大顎で傷をつけて出てきた汁を吸うもの、一生朽ち木の中で過ごし、朽木内の他の昆虫を捕食しているもの、成虫になってからの摂食活動をほとんどしないものなどもも知られている。
基本的に成虫は一夏でその一生を終えるが、オオクワガタやヒラタクワガタ、コクワガタなどは、成虫で2,3年生きるものもいる。
幼虫は朽木を食べ、野外では2、3年かけて成虫になる。種によって選考する朽木の好みの腐朽状態が違う。

ブームとその問題点

現在は空前のクワガタ生き虫ブームであるといっても過言ではない。そのようなクワカブ飼育ブームにも一時陰りが見えたが、そこから盛り返すきっかけを作ったのがムシキングである。
一部愛好家の圧力などによって植物防疫法によって生体での輸入が禁止されていた海外産のクワガタムシやカブトムシの輸入が解禁され、今日では数多くの海外産のクワガタムシやカブトムシが国内で飼育、繁殖されるに至っている。そのように大量に輸入され、養殖されたクワガタは、以前は限られたマニアだけのものだったが、現在では小学生ですらクワガタを学名で呼び合い、さらにム○キングの影響によって、在来のクワガタを自分で採ったこともないのに、外国のクワガタを飼育するという異常事態を招いた。また、モラルの低い愛好家によって飼育繁殖された海外産、或いは国内の他地域産のクワガタムシ、カブトムシがゲリラ的な放虫、もしくは偶発的な逃亡により、日本の自然の中へ放たれることにで、巨大な外国産クワガタによる餌場の独占により、生態系の攪乱が懸念されている。しかも、従来はそのような外国産クワガタは日本の冬は越せないとされていたが、東南アジアのクワガタの分布の中心は高標高地にあり、平均気温は日本と同じ程度か、低いほどである。ヒートアイランド現象によって気温が上昇した市街地では、簡単に冬を越せてしまうというのが最近の見解である。また、東南アジアのオオヒラタクワガタと日本のヒラタクワガタは亜種の関係にあり、種のレベルでの差異はない。しかしながら、「これらは交尾してもその子孫は生まれない。生まれたとしても生殖能力を持たない」とされてきた。しかし、最近の研究ではこれらの交雑は可能であり、その子孫も生殖能力を持っていることが分かった。そして、野外でもこれらの雑種と思われる個体が採集されており、さらに多くの東南アジア産ヒラタクワガタが野外で発見されている。今、日本のヒラタクワガタは、人間の欲望のために絶滅の危機に瀕していると言っても過言ではない。また、国内での特徴的な亜種の移動による遺伝子の汚染も懸念されている。それに加え、国外からクワガタとともに入ってきた寄生性のダニの遺伝子汚染も起きている。
また、日本が高値で東南アジアのクワガタを買うため、東南アジアの農村では、耕作を放棄し、クワガタを探す者が増えているらしい。日本人が東南アジアの文化、産業も揺るがしている。
インターネットオークションを中心に、輸入が禁止されているはずのクワガタやカブトが高値で取引されているのも見逃してはならない。需要があるから供給があるわけで、愛好者個人個人が法律に触れるものは買わないと言う規範意識を持つべきである。
また、国内での採集(特にオオクワ)の非常識な採集は地元との摩擦を招いている。冬季の材割などは今後は自粛していくべきだろう。

日本のクワガタ

オオクワガタ Dorcus hopei binodulosus
コクワガタ Dorcus rectus rectus
ハチジョウコクワガタ Dorcus rectus miekoae
ミシマコクワガタ Dorcus rectus mishimaensis
ヤクシマコクワガタ Dorcus rectus yakushimaensis
 トカラコクワガタ Dorcus rectus kobayashii
アマミコクワガタ Dorcus amamianus amamianus
 トクノシマコクワガタ Dorcus amamianus kubotai
 リュウキュウコクワガタ Dorcus amamianus nomurai
 ヤエヤマコクワガタ Dorcus amamianus yaeyamaensis
ヤマトサビクワガタ Dorcus japonicus
アカアシクワガタ Dorcus rubrofemoratus
スジクワガタ Dorcus striatipennis striatipennis
 ヤクシマスジクワガタ Dorcus striatipennis koyamai
ヒメオオクワガタ Dorcus montivagus montivagus
 キュウシュウヒメオオクワガタ Dorcus montivagus adachii
ヒラタクワガタ Dorcus titanus pilifer
 ハチジョウヒラタクワガタ Dorcus titanus hachijoensis
 ツシマヒラタクワガタ Dorcus titanus castanicolor
 イキヒラタクワガタ Dorcus titanus tatsutai
 ゴトウヒラタクワガタ Dorcus titanus karasuyamai
 タカラヒラタクワガタ Dorcus titanus takaraensis
 アマミヒラタクワガタ Dorcus titanus elegans
 トクノシマヒラタクワガタ Dorcus titanus tokunoshimaensis
 オキノエラブヒラタクワガタ Dorcus titanus okinoerabuensis
 オキナワヒラタクワガタ Dorcus titanus okinawanus
 ダイトウヒラタクワガタ Dorcus titanus daitoensis
 サキシマヒラタクワガタ Dorcus titanus sakishimanus
チョウセンヒラタクワガタ Dorcus consentaneus
スジブトヒラタクワガタ Dorcus metacostatus

ノコギリクワガタ Prosopocoilus inclinatus inclinatus
 ミシマイオウノコギリクワガタ Prosopocoilus inclinatus mishimaiouensis
 クロシマノコギリクワガタ Prosopocoilus inclinatus kuroshimaensis
 クチノエラブノコギリクワガタ Prosopocoilus inclinatus kuchinoerabuensis
ハチジョウノコギリクワガタ Prosopocoilus hachijoensis
アマミノコギリクワガタ Prosopocoilus dissimilis dissimilis
 トカラノコギリクワガタ Prosopocoilus dissimilis elegans
 トクノシマノコギリクワガタ Prosopocoilus dissimilis makinoi
 オキノエラブノコギリクワガタ Prosopocoilus dissimilis okinoerabuanus
 オキナワノコギリクワガタ Prosopocoilus dissimilis okinawanus
 クメジマノコギリクワガタ Prosopocoilus dissimilis kumejimaensis
ヤエヤマノコギリクワガタ Prosopocoilus pseudodissimilis

ミヤマクワガタ Lucanus maculifemoratus maculifemoratus
 イズミヤマクワガタ Lucanus maculifemoratus adachii
アマミミヤマクワガタ Lucanus ferriei
ミクラミヤマクワガタ Lucanus gamunus

アマミマルバネクワガタ Neolucanus protogenetivus protogenetivus
 ウケジママルバネクワガタ Neolucanus protogenetivus hamaii
オキナワマルバネクワガタ Neolucanus okinawanus
ヤエヤママルバネクワガタ Neolucanus insulicola insulicola
 ヨナグニマルバネクワガタ Neolucanus insulicola donan
チャイロマルバネクワガタ Neolucanus insularis

ネブトクワガタ Aegus laevicollis subnitidus
 ハチジョウネブトクワガタ Aegus laevicollis fujitai
 ナカノシマネブトクワガタ Aegus laevicollis asaii
 ガジャジマネブトクワガタ Aegus laevicollis matsushitai
 トカラネブトクワガタ Aegus laevicollis abei
 アマミネブトクワガタ Aegus laevicollis taurulus
 オキノエラブネブトクワガタ Aegus laevicollis tamanukii
 オキナワネブトクワガタ Aegus laevicollis nakanei
 イヘヤネブトクワガタ Aegus laevicollis doii
 ヤエヤマネブトクワガタ Aegus laevicollis ishigakiensis
 ヨナグニネブトクワガタ Aegus laevicollis mizunumai
オガサワラネブトクワガタ Aegus ogasawarensis ogasawarensis
 チチジマネブトクワガタ Aegus ogasawarensis chichijimaensis

アマミシカクワガタ Rhaetulus recticornis

キンオニクワガタ Prismognathus dauricus
オニクワガタ Prismognathus angularis angularis
 キュウシュウオニクワガタ Prismognathus angularis morimotoi
 ヤクシマオニクワガタ Prismognathus angularis tokui

ルイスツノヒョウタンカクワガタ Nigidius lewisi

チビクワガタ Figulus binodulosus
オガサワラチビクワガタ Figulus boninensis
マメクワガタ Figulus punctatus
ダイトウマメクワガタ Figulus daitoensis
イオウマメクワガタ Figulus

ツヤハダクワガタ Ceruchus lignarius lignarius
 ミヤマツヤハダクワガタ Ceruchus lignarius monticola
 ミナミツヤハダクワガタ Ceruchus lignarius nodai

ルリクワガタ Platycerus delicatulus delicatulus
 ウンゼンルリクワガタ Platycerus delicatulus unzendakensis
ホソツヤルリクワガタ Platycerus kawadai
コルリクワガタ Platycerus acuticollis acuticollis
 トウカイコルリクワガタ Platycerus acuticollis takakuwai
 キンキコルリクワガタ Platycerus acuticollis akitai
 ミナミコルリクワガタ Platycerus acuticollis namedai
ニセコルリクワガタ Platycerus sugitai

マダラクワガタ Aesalus asiaticus asiaticus
 ヤクシママダラクワガタ Aesalus asiaticus sawaii

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